資金調達
「どうしたの.......そんな難しい顔しちゃって」
深志は難しい顔しながら珈琲を淹れる深澤に声掛ける。
「いや.......あの、ほら、今日と明日行くじゃない?.......その、現地に、さ」
「うん、そうだね。それがどうしたの?」
「ほ.......ら.......デ、デート風に見られ.......」
深澤は顔を淡く紅く染めな柄、下を向いて話す。
その様子にクエッションマークを浮かべながら、思い出しかのように深志は伝える。
「あ、明日さ、岡田さんと村井さん来るから宜しくね」
「は?聞いていないんだけど、何時決まったのそれ、ねえ、聞いてないんだけど、わ、た、し」
深澤が深志の襟を掴み、鬼のような表情で迫る。
苦笑浮かべ謝罪の言葉を並べる深志。
「いやあ、ごめんって!いや、ほんとごめんなさい!さっき、そこで2人と会ってさ。話の流れでー.......的な?」
「まあ.......やっているという事実を記事にして書いて貰ってアピールして貰えると考えれば、良いか……それに今日は2人だし」
溜息を零しては、小声で折角のデートだったのに.......と呟く。
何か言った?と深志が問うと睨まれてしまう。
「それより、どうしようか。予算。絶対、明日聞かれると思うんだよね。一応、今まで協議中で交わして来たけど、そろそろそういう訳にもいかないでしょ。」
「総理はどう言っているの?」
「それがさ、増税であったりとか国債を駄目元で色々と提案してみたけど、増税はやっぱ反発が大きいだろうし、そんなに国民に負担を強いて良いのか。国債をこれ以上増やしていいのか。って2人で話し合った訳よ。もう総理が途中で溜息着いちゃって、もう一度考えて来いと」
「そうでしょうね、素晴らしい構想だと思うけど、やっぱり資金をどうするかが1番のネック。普通の政策じゃない、異次元の政策じゃない。それこそさ。」
「んー、何か良い.......ヒントないだろうか.......」
「そうね.......って、今日渋滞していない?早く出ないとかもね」
深澤が窓を見て、そう呟くと、深志は目を開き、思い出したかのように、手を叩くと深志はえ、何と深澤は驚き、視線を彼へと移す。
「そうだよ、近年、都内の医師が多い。地方から東京へと来る医師が多い。だったら何処か大きい病院を移転して貰えばいい、共同出資すれば資金は減らせる、後は多摩市にも協力要請しよう。そうすれば、移転して貰った病院はこのプロジェクトで一定の集客を見込め、ライバル病院は無い。競っていた病院は移転した病院が移転した分、収益取れるだろうから、プロジェクトの協力要請しつつ、プロジェクトで育成した人材を送れば、向こうにもこちらにもメリットが生じる。ただ病院の規模をもう少し大きくして貰おう」
「なるほど、だとすれば病院.......医療は大丈夫だろうけど、他はどうするの?教育機関や、介護施設とかあるでしょう。」
「教育機関は国立にしたいところだけど、最悪教育機関も介護施設も企業に参戦して貰おう。支援をある程度すれば、新たに拡げる所もあるだろうし、支援する分、こっちで建てれば安くなる上に収益も見込める。向こうもメリットがあるだろう。我々としてもその分資金が浮く。来期の予算に入れても違和感ない程度には」
「そうでしょね、一度総理に再度提案しましょう」
「そうだな.......彼女らには明日は私の中には案があるとだけ伝えておこう。総理の名前出すのは無しだ」
「それが無難でしょうね」
「扠、そろそろ向かおうか」