しっくす
今回は頑張って長めに書きました!! (当社比)完結目指して頑張ります!
「松は私を見放すというのか?左大臣の動きをさぐるため、その娘を娶った私の行いについては謝る。だが、私の想う女性は松だけだ。信じてほしい」
なにやら都合のいい話にも聞こえるけど、主上の表情からするに大真面目な話みたい。
主上、私が冷静でよかったね、そうじゃなきゃ今頃主上のこと引っ掻いてたよ……
「主上、私が思うには私と主上の間になにやら誤解があるようですが……?」
だってさ、私はその左大臣の娘(竹の妃)を迎えるための前段階じゃないの? ……はっ!まさか彼女もまた違くて、まだ好きな人がいるの?!
「ああ、確かに認識の違いがありそうだ。まず、言わせて貰おう。私は松のことが好きだ、この世で1番。松のことを桜子と呼べなくなり、敬語を使われるようになり、会話が減ったとしても、初めて会ったときからずっと好きだ」
…………うわ。照れてる。珍しいな……じゃなくて、私も過去最高恥ずかしいんですけど……でも、これだけは言わなくちゃ。
「私も、主上のこと昔から変わらず、ずーっと好きです」
そうだ。私はまだ恋を捨てきれてなかったんだ。一緒にいて嬉しかったのも、結婚を聞いて胸が痛かったのも、好きだったからなんだ。
「……松? それは本当か? ならなぜ私から離れようとするんだ?」
疑問いっぱいの主上に、私はしょうがなく今までのことを一つ一つ丁寧に説明していった。
「はぁ……なるほど」
「分かって頂けたでしょうか?」
「ああ、よく分かった。松が大きな勘違いをしていると言うのがな」
……? 謎だ。だが仕事はできる主上の言うことだから話だけは聞こう。
「詳しく説明していただけますか?」
「まず、教育費や結婚費について、あれは私の個人費を出している。知らなかったとは思うが、その頃松に縁談があって、そちらを無くさせるために私から持ちかけた。松を手にいれるためなら安い金だ」
……縁談なんて知らなかった。
お金の事はよく分からないけど、決して安くはない金額のはずだ。それを小さい子供が個人費でなんて……すごい。
「私が雇った教師は細かく報告してくれたが、時々授業から逃げられたのには困ったよ」
「ご存知だったのですか……」
恥ずかしすぎる。そんなに素敵な笑顔で話さないで!!
「でも琴だけは一度も欠席せず、再会したとき演奏してもらって、すごく嬉しかった……綺麗な音だったよ」
主上はなんでもお見通し! って訳ですね。はい。もうなにも恥ずかしくないでーす……
でも、そんなことはあまり問題ではない(お金って大切だけどね)。あの発言について、私は知りたいんです。
「私が主上にとてもよくしていただいているのは分かりました。ですが、なぜ私の両親に後宮入りのこと秘密にさせたのですか? 私、はっきり主上が面倒だとおっしゃっていたこと、知っております」
……驚いてる驚いてる! いっそのこと一思いに振ってくれ!!
10話で終わらないとサブタイトルがいえなくなっちゃう。(焦)