表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮の妃  作者: 実
1/8

ふぁーすと

初投稿です。変なところも多々ありますが、応援していただけるとうれしいです。

「ご結婚おめでとうございます、主上(おかみ)。」

 長年ずっと顔に張り付けてきた笑顔で、私はお祝いの言葉を夫である帝に言った。


 私は松の妃。本名はあることにはあるけど、呪詛とかに使われるとめんどくさいから、普通名乗らない。

 ちなみに松とは妃のランクのこと。この国は一夫多妻制で、金持ちの男には奥さんがたくさんいる。(平民は主に一夫一妻)帝の持つ後宮では偉い順に松竹梅とランク付けられている。

 ……つまり、何が言いたいのかというと、私はこの国で一番偉い女性なのです。


「これで後宮も賑やかになりますことでしょう。主上、私は嬉しゅうございます。」

「……そうか。」

 む、せっかく私が気遣って会話をしようとしたのに、表情ひとつ変えずにそれだけか。

「竹の妃様、これからどうぞ仲良くしてくださいませ。」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします、松の妃様。」

 まさに国一番の美人ってかんじ!そりゃ、左大臣の娘だもの、しっかりしてそうです。

 うんうん、平和だなー、おめでたいなー、なんてぼけっとしてたら、帝が

「えー……松。後で話があるから部屋で待っているように。」

 ?なによ、もうお役ごめんじゃないの?

「かしこまりました。」

 少しも疑問を顔に出さない私、どうよ。誉めて(( えと、お役っていうのは、

「姫様、そろそろお邪魔になってしまうかと。お部屋にいかれませんか?」

「……そうね。では上様、竹の妃様、そろそろ失礼させていただきます。」

 どいつもこいつも、私の思考を邪魔して! 礼をして、しずしずと退室する。自室まではわりと遠く、重い十二単で歩くとかなりつかれる。乳兄弟である侍女、右近がなにやら文句を言ってくる。

「姫様、帝の呼びかけへのお返事が遅く、失礼になってましたよ、ダメじゃないですか!」

「いいのよ、それも駆け引きなんだから!(大嘘)それより、その砕けた話し方なんとかならないの?!」

「申し訳ありません、無理です。」

「……他のとこなら即クビよ…………」


 妃が二人しかいない後宮はガランとしていて、さみしい。だから誰も聞いていないと油断して常に私達の会話は砕けている。

「でも右近。今日でここともお別れと思うと変な感じね。」

「それもそのはず、なんと姫様は後宮に5才から13年もいらっしゃのですものね。」

「本当。長かったわ……お妃教育なんてもう2度と受けたくないものね。」

「ですが何気に姫様も帝と楽しそうにされてたじゃないですか。」

「……そうかしら///」



 部屋につき、日も沈んで、そろそろ寝る準備を……と思っていると、帝のお渡りを告げる使者がやってきた。

「あら、忘れてたわ。右近」

「おまかせください、姫様。私は忘れていませんでしたよ。」

 確かに、右近の示す方を見ると、お渡りの準備がされていた。

「流石ね……」


 他の侍女達が下がり、右近と二人っきりになった部屋に聞き慣れた声が響いた。

「あー……邪魔するぞ?松」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ