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緊縛ダークエルフ  作者: クルクルパー
第三章 友よ、好敵手よ
35/49

3-10

●3-10


 そうして。試合終了。なんだかんだで、もちろんボロ負け。


 ワアッと湧くギャラリー。もちろん会長(と校長)の勝利を讃えてだ。文句はないよ。こてんぱんだもの。


 会長は、口々に祝福の言葉を述べる取り巻きと僕のクラスメイトに笑顔で手を振り、それから僕らに手を差し出してきた。


「こういう戦いも良いものですね。爽やかな気持ちになれました」


「ありがとうございました。次は……、負けませんから」


 ヤミノは向こうを向いている。そういうイジケた仕草が余計に情けないだろうが。


 ヤミノに一声かけようとしたが、その前に会長が握手の手に力を込めてきた。


「?」


 会長は僕の目をじっと見つめる。え、え? どしたの?


 会長の目。無数の光の煌く、黒い瞳。それは、宇宙を封じ込めたようで、とても、綺麗で……。星々が広がる。


 胃が、ふわっとした。足が床に着いていないみたい。瞳の宇宙に、吸い込まれそう……。


「あの、会長……?」


「あ、ごめんなさい。あなたは自分をしっかりと持っているようね」


 会長が目を細めた。星々の光は瞼に押し潰されていった。


「え? はあ……」


「なんだか私、満足してしまったわ。ボウリングはもう十分ね。次へ行きましょう。あ、それから、今夜も勉強会を行いますので興味のある方はどうぞ」


 会長は取り巻きの渡したブレザーを袖を通さずに肩に羽織る。


「恩田君、糖獄さん、それではごきげんよう」


 マントのようにブレザーを翻し、会長は去って行った。その後ろを、校長以下五十人あまりの生徒達が続く。僕のクラスメイト達は、ポーッとした顔でお見送り。




「あんちくしょー! 次やる時はギッタンギッタンにしてやる!」


 ようやく顔を上げたヤミノが、唐突に怒声を上げた。


「わっ」


 ヤミノの声に、クラスメイトの皆が一斉にビクッとする。


 今井さんとたもっちゃんが顔を見合わせる。それから、おずおずと、


「お、恩田君、糖獄さん、お疲れ様!」


「ナイスプレイングだったぜ!」


 と言ってきた。


「なんて……、白々しいか。すまん」


 そんな事を付け加えながら。


 ばつが悪そうに頭をかく仕草は、さっきまでとはまるで違う。今まではずっと会長に気を取られていたのだが、その会長がいなくなった今、まるで呪縛が解けたようだ。


「いやいや、いいんだよ。サンキュ。それにしても会長は強かったなー!」


 だから僕も笑顔で応える。皆会長のカリスマ性にやられちゃってたんだもん。


「むかつく! こんな小難しいゲームじゃなくて、砲撃戦だったら負けやしないのにー!」


 地団太踏むヤミノ。


 いや、そこまで難しいルールじゃないと思うぞ、ボウリングは。奥深いとかは別にして。


「あのメス犬、今度会ったら……」


 ヤミノは自販機の横にあったパンチングマシンに財布から小銭を入れる。ん? あの財布僕のじゃない!?


「こうしてやる!」


 パンチングマシンに拳を叩き込むヤミノ。しかし、傍から見ても完全に中心を外したパンチは、的の外縁部の硬い部分を殴っていた。


「うぎーっ」


 拳を抑えてうずくまるヤミノ。


「もう、何やってんだよ!」




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