IV 空き缶拾いから出来る二酸化炭素削減法
私は道端で空き缶が落ちているのを見つけると、積極的に拾ってくずかごに入れるようにしています。
時には吸い殻がびっしりと詰まっていて、さすがにあきらめてしまうこともありますが、少しくらいであれば、吸い殻を出すようにしています。
実は、空き缶拾いも二酸化炭素削減に効果的な方法だと考えています。
これによって、一人で1日1kg以上削減することも出来るのです。
計算法は次の通りです。
・アルミ缶の場合
アルミ缶に使われるアルミニウムはボーキサイト(酸化アルミニウムを含んだ鉱石)から作られます。
意外に知られていないことかもしれませんが、ボーキサイトから1トンのアルミニウムを作るのに使う電力は約21100kWhにも及びます。
これは一般的な家庭1ヶ月の電気使用量(240kWh)の88倍に当たります。
しかし、リサイクル品からアルミニウム1トンを作れば、そのわずか3%の電力(約590kWh)で済むのです。
これを踏まえて考えた場合、350mlのアルミ缶(重量16g)に入った飲み物を飲んだ後、それを道端に捨てて放置してしまった場合、計算上337.6Whの電気を無駄にしたことになります。
これは、32Wの蛍光灯1本を10時間半点灯させた時の電気量に相当します。
そして、また同じサイズのアルミ缶をボーキサイトから製造するために、また大量の電気を使うことになります。
一方、そのアルミ缶をリサイクルにまわした場合、計算上9.44Whの電気で製造することが出来ます。
アルミ缶をボーキサイトから製造した場合と、リサイクル品から製造した場合では、電気量に337.6−9.4=328.2Whの差が出ます。
1kWhの発電によって二酸化炭素が360g排出されるというデータに基づいて考えた場合、350mlのアルミ缶一つを拾ってリサイクルすることによって、二酸化炭素を0.328×360=118g削減することが出来るのです。
・スチール缶の場合
スクラップ品を再利用して鉄1トンを製造した場合、必要な電気量は550kWhです。
鉄を再利用した場合、鉄鉱石から製造した場合よりも電気量を75%削減出来るといったデータがあります。
よって、鉄鉱石から鉄1トンを製造した場合、必要な電気量は2200kWhとなります。
これを350mlスチール缶(重量35g)に置き換えた場合、鉄鉱石から作った場合では77kWh、リサイクルした場合では19.25kWhの電気を使う計算になりますので、計算上57.75Whの差が出ます。
1kWhの発電によって二酸化炭素が360g排出されるというデータに基づいて考えた場合、350mlのスチール缶一つを拾ってリサイクルすることによって、二酸化炭素を0.058×360=20.8g削減することが出来るのです。
ここでは触れませんが、プラスチックごみを拾ってリサイクルにまわすことでも二酸化炭素削減に貢献出来るはずです。
現に、プラスチックごみから石油を製造するといったプロジェクトもあります。
ごみ拾いは街の景観をきれいにするだけでなく、二酸化炭素削減にも一役買うことが出来ます。
私は、これが車を運転しない人が1日1kg削減を達成するのに有効な手段ではないかと考えています。
読者の皆様にも、ぜひご協力をお願いします。