II 化石燃料から出来る二酸化炭素削減法
車を運転する人は世の中にたくさんいます。
私自身も生活のためには車が不可欠です。
運転するからには当然二酸化炭素を排出しています。
私は、時にはノーカーデーを作って、運転を控える日もあります。
運転中に前方の信号が赤になって、止まるということが分かった場合には、ギアをニュートラルにするなどして、少しでも排出量が少なくなるような工夫をしています。
日本で排出される二酸化炭素の内訳を見てみると、まず工場などの産業が最も大きな割合を占めており、次に自動車、電車、バス、飛行機などによる運輸が大きな割合を占めています。
その運輸の中でも、自動車はもっとも大きな割合です。
では、車の運転によってどれぐらいの二酸化炭素を排出しているのでしょうか。
その疑問に応えるべく、自分なりに計算をしてみました。
結論から言いますと、ガソリンを1リットル燃やすと、二酸化炭素は2315g排出される計算になりました。
皆様が思っている以上に多くの量だと思います。
私自身も計算してみて驚きました。
計算法は次の通りです。
ガソリンの主成分は炭素数が5（ペンタン：化学式C5H12）から11（ウンデカン：化学式C11H24）までの炭化水素です。
それを踏まえた上で、真ん中を取って炭素数8（オクタン：化学式C8H18）で考えた場合、炭素の占める重量は計算上、約84％になります。
（炭素の分子量は12、水素の分子量は1なので、12×8／12×8＋1×18≒0.84となります。）
つまりガソリン100グラムを燃やすと、約84グラムの炭素が燃えたことになります。
二酸化炭素の分子量は44なので、ガソリン100グラムが燃えると、二酸化炭素は84×44／12＝308グラム排出される計算になります。
ガソリンの密度は約0.75g／mlですので、これを考慮すると、ガソリン1リットル（約750g）を燃やすと、二酸化炭素は2315g排出される計算になるのです。
他の燃料についても計算してみました。
灯油（主成分：炭素数12から16の炭化水素 密度0.79g／ml）を1リットル燃焼させた場合…2458g
軽油（主成分：炭素数17から20の炭化水素 密度0.8g／ml）1リットル燃焼させた場合…2494g
どの燃料においても、かなりの量になると思います。
軽油は1リットル燃焼時の二酸化炭素排出量はガソリンより多いですが、燃費で勝ります。
そのため、同じ走行距離で考えると、排出量はガソリンよりも少なくなります。
（同じ型の車で、同じ走行距離当たりの軽油の二酸化炭素排出量：ガソリンの二酸化炭素排出量＝15.2：17.1くらいです。）
そのため、欧州ではディーゼル車がかなり普及しています。
化石燃料を燃やした場合、排出される二酸化炭素は私達が考えている以上に多いです。
かといって、私は車の運転や、暖房の使用を否定しているわけではありません。
排出量が大きいということは、その気になって努力すれば、たくさんの量を削減出来るということなのです。
車の場合、ガソリンを0.43リットル節約すれば、それだけで冒頭の章で書いた一人につき二酸化炭素排出量を1日1kg削減という目標を達成できます。
もしノーカーデーを1日作れば、それだけで排出量をキログラム単位で削減出来ます。
また、どこかに出かける場合、車の代わりに他の乗り物を使うという手もあります。
例えば、電車を使えば電車の二酸化炭素排出量は車の約1／9〜1／10です。
ですから、東京〜名古屋間を車で運転していくのと、新幹線を使うのでは、排出量に関して言えば、今あなたがいる部屋の体積くらいの差が出ると考えられるかもしれません。
また自転車なら排出量は0です。
近距離であれば、自転車も有効活用してみましょう。
今、原油高が盛んに叫ばれていますが、これを二酸化炭素削減のチャンスと考えることも出来ます。
現に、今年（2008年）のゴールデンウィークでは車を控え、電車で出かける人がかなりいたそうです。
また、私がゴールデンウィークを利用して行楽地に行ってきた時、道路に長い車の列が出来てしまって全く動けずにいる光景を目の当たりにしました。
複数の人数で旅行する場合、マイカーを使えば電車より費用は安いと思いますが、それと引き換えに時間や駐車場の確保、二酸化炭素排出量、さらには気持ちの面で損をしてしまうかもしれません。
自動車会社には悪い気もしますが、私としては他の交通機関をお勧めしたいと思います。
車の運転をされる方は、積極的に取り組みてはいかがでしょうか。
（5月18日追記）
化石燃料を利用しているものとしては、他に、プラスチックがあります。
プラスチックは必ずしも燃やされているわけではありませんので、二酸化炭素排出と直接結び付けて考えることは出来ないかもしれませんが、ここでは化石燃料の削減という点で考えてみることにします。
レジ袋について集めた情報をもとにして計算をしたところ、レジ袋1枚を製造するのに石油は約8g使われているという結果が出ました。
別の資料によると、平均的なレジ袋1枚の重さは約4gと書いてありました。
これをあわせて考えると、レジ袋の製造にはその2倍の重量の石油が必要になることが考えられます。
また、さらに別の資料では、レジ袋1枚作るのに石油20ml（上記の記述に基づいて計算すると15〜16g）という記述がありました。
これだと、大体4倍くらいになります。
ちょっと情報が錯そうしてしまい、私自身何をあてにしたらいいのかと思いましたが、私達がレジ袋などのプラスチック製品を使用することで、その2〜4倍の重量の石油が消費されることになると考えることが出来るのです。
つまり、プラスチックの使用を100g削減すれば、あなたは200〜400gの化石燃料の消費を削減したことになります。
このことを頭の片隅に置いた上で、プラスチックを使うように心がけてみましょう。
（6月25日追記）
この度、私の知り合いの人から「東京〜名古屋間を車で移動するのと、新幹線で移動するのでは二酸化炭素排出量にどれくらいの差が出るの？」という質問をいただきました。
私はその時、東京〜名古屋間を360kmに設定し、自分なりに計算をして結果をその人に見せました。
その時の記述をアレンジした上でここに掲載します。
・燃費10km／lの車の場合
ガソリンは36リットル消費しますので、二酸化炭素は36×2315＝83.34kg排出されます。
・新幹線の場合
電車の吊り広告では二酸化炭素排出量は19g／kmと出ていましたので、これをもとにすると、二酸化炭素は0.019×360＝6.84kg排出されます。
その差は76.5kgになります。
これを27℃ 1気圧における体積に置き換えると、42770リットル（＝42.77立方メートル）になります。
これは長さ5m、幅3ｍ、高さ2.85mの部屋の体積に相当します。
別の例に置き換えると、たたみ10畳（1畳を1.8m×0.9mとして計算）、高さ2.64mの部屋の体積に相当します。
私はこの作品を執筆してから、車での移動距離を出来るだけ短くし、電車などを有効活用することを心がけるようにしました。
交通費は以前より高くなりましたが、それでも続けていきたいと考えています。
