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横綱  作者: 明日こそはシンデレラ
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大人気 冬の女王

この日も相撲会場は、満員御礼だった。

依然として無敗の冬の女王が入場すると、場内に拍手が沸き上がり、声援がとんだ。


「いよっ待ってました!!」


「冬の女王!!今日も頼むぜ!!」


世界中から、冬の女王の強さを見ようと客が集まり、相撲チケットは僅か1時間で売り切れた。以前は、冬の女王が登場すると、ブーイングの嵐だったが、年中冬の国というキャッチフレーズが世界中に広がり、観光客が増え続け、この国の経済は潤っていた。これも全て、冬の女王のおかげだった。


冬の女王は、最近ホッカイロのCMに出るようになり、そのホッカイロが飛ぶように売れた。近々、今度はシチューのCMにも出る予定だ。


春の女王達は、相変わらず小柄で細い力士ばかりで、冬の女王の豪快な突っ張りや突き落としが炸裂した。そしてこの日は、レアな大技が決まった。

アナウンスが流れた。


「ただいまの決まり手は、やぐら投げ、やぐら投げ。これで、だだいま冬の女王、200連勝中です。」


会場からどよめきの声が上がった。


観客「おお!!今のがやぐら投げか!!見に来て良かった。」


「両者の力の差があってこそ出来る技。冬の女王は相当強いってことだ!!」


「いいぞ!!冬の女王!!お前は横綱だ!!」


冬の女王は懸賞を受け取り、付き人に渡した。付き人が持っている篭の中は、懸賞で溢れ出し、付き人は2個目の篭を用意した。


取組は後半に差し掛かり、ここで、今までとは全然違う、モンゴル出身の大柄な春の女王が登場した。


観客「ここが正念場だな。」


「これは、もしかしたら、春が訪れることになるかもしれない。」


しかし、誰もが頭の片隅によぎった。


仮に、この春の女王が冬の女王に勝ったとして、今度は当分の間、春が続くことになるんじゃないかと・・・・。


しかし、会場内では、それは言ってはいけないという、暗黙の了解が流れていた。そして、取組が始まった。


「ハッケヨイ、ノコッタ!!」


両者、勢いよくぶつかり合おうとした瞬間、モンゴル出身の春の女王が足を滑らし、右手を土俵についてしまった。

激しい相撲を期待していた観客達は、腸が煮えくり返り、土俵に向かって座布団を投げ始めた。


観客達「何やってるんだよ!!ド素人みたいなことしやがって!!」


「モンゴルに帰れ!!」


「春を期待させるんじゃねえよ!!」


場内アナウンスが流れた。


「座布団を投げるのはやめて下さい!!」


後に、モンゴル出身の春の女王は、この一番がトラウマとなり、相撲をやめた。


冬の女王は、この後も順当に勝ち続け、連勝記録が250となったところで、今日の取組が終わった。


観客「今日も冬の女王は凄かったな。」


「俺は、あと10年は冬が続くと確信したね。」


観客達は、大満足して相撲会場をあとにした。

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