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最初はギルドにいくもの

ババアにある程度の旅の装備をもらったあと、俺たち二人はババアのなじみの商人の馬車に乗せてもらって近くの大きな町へと向かっていた。

サティの剣の腕はこの村では有名なようで、また、俺もブラックカードの持ち主としてそこそこ知られるようになっていたので、護衛として心強いからお代はいらないといわれた。

なんちゃってブラックカードとしては心がとても痛んでしかたないな!

目的の町には冒険者ギルドがあるらしく、ひとまずそこで滞在しながらさらなる旅の資金を稼ぐ予定だ。

最初は馬車から見える異世界の景色をみて楽しんでいたのだが、さすがに飽きてきて何気なくサティに話しかけた。

「サティって剣がかなりできるらしいけどそれでもパーティには入れなかったのか?」

「え、ええと、ほらブラックカードの連中は当然私よりもすごいやつが多くて?なかなか厳しいのよ。」

「でもそんなに強いならほかのパーティの用心棒とかすればよかったんじゃないのか?」

「そ、それは…」

これはなんかあるな。もう少し言及しようと思ったところで馬車が止まった。

どうやら目的地に着いたらしい。

「ほ、ほら目的地に着いたわよ!思ったより時間かかってもたもたしてると日が暮れそうだし、さっさとギルドに行っちゃいましょ?」

確かにまだ夕方とは言わないが少しづつ日が傾き始めていた。

なれない街で夜に徘徊するのは好ましくない。仕方なく言及をやめ、サティについて行った。

「ここがこの地方の中央都市、クロークよ。ここにはこの地方のすべてが集まってるといっても過言じゃないわ。」

クロークへの門を入る手前でサティが言った。

クロークは中央都市というだけあってモンスター対策で町を囲む真っ白な壁は頑丈そうな石造りで、高さも数十メートルあり、元いた田舎町の木製のものとは比べ物にならなかった。

「さぁ行きましょ。ギルドまでは何度か行ったことがあるから道はわかるわ。」

ギルドは中央の大通りを進んでいればそのうち見えてくるらしい。

なるほどすべてが集まるとは確かになぁ。

大通りはかなりにぎやかだった。

左右にはさまざまな出店が立ち並び思い思いに客引きをしている、ところによっては大道芸人が魔法を組み合わせたとても信じられない芸を披露したりしていた。

この通りはきっと夜にきても楽しいんだろうなと思いつつ歩いていると、ひときわ大きな建物が見えてきた。

「ここがギルドよ。さっさとパーティ登録しちゃいましょ。もう時間は遅いけど受けられるクエストがあれば受けちゃいたいし。」

ギルドはおおよそ予想通りだった。大半の部分は酒場として使われ、奥に受付と、おそらくクエスト依頼書がはってあるだろうコルクボードが見える。

中にはいると、酒場ではジョッキを鳴らす音や笑い声なんかが聞こえ、食べ物のいい匂いが充満していた。

冒険者たちはここで日々英気をやしなっていくのだろう。

イメージ通りの酒場なんだが…少し違和感を感じる。

まぁ、大したことじゃないだろう。

受付のほうに目をやると、さっきより少し近づいた分受付のお姉さんがはっきり目に入った。

金髪でかなりスタイルがよい。

酒場を見た感じ冒険者はやはり男が多いし、スタイルいいお姉さんのほうがうけがいいんだろうなぁ。

サティは迷いなく受付へと向かい、俺はそのあとについて行った。

「すみません、パーティの新規申請をしたいのですが。」

「はい、そちらの二人でということでよろしいでしょうか?」

受付のお姉さんの声は酒場の喧騒の中でもよく聞こえるものだった。

「ひとまずは二人で。残りの枠は募集ということで登録してもらってもいいですか。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」

「おい、俺はお前と二人で旅ムゴっ」

パーティーメンバーが増えることに異を唱えようとしたのだが口をふさがれてしまった。

口ふさぎから逃れようとサティと地味に攻防を繰り広げていたところ受付のお姉さんが何やら処理を終えたらしい。

「それではお二方のステータスカードをお預かりしてもよいでしょか。」

俺とサティはカードを受付の人に渡した。

「ブラックですか…これですと残り集まるかどうか…」

お姉さんは少し困ったような表情である。そりゃそうだ。

「しばらくはこのギルドの宿泊施設を利用するつもりなので希望者が現れ次第伝えてもらえませんか?」

「かしこまりました。ではサティご一行さまに幸運を祈っております。」

さっきの困った顔が嘘のようなとびっきりの営業スマイルでお姉さんはそう締めくくった。


祝 パーティー結成!


「さてケンヤ、クエストボード見に行きましょ?」

受付を後にした俺はサティに連れられクエストボードの前へと行く。

ところでさっきから冒険者たち特に男冒険者たちからのの視線が痛い。サティは何回かここに来たことあるといっていたし、サティのことを知っている冒険者も多いようだ。

そして、サティとパーティを組める時点で俺がブラックなのはばれるし、そのサティが美人だってんだから仕方ない。

「あいつサティとパーティかようらやましいなぁ。」

「仕方ないあいつはブラックカード持ちだ。俺らじゃ到底かなわないさ。」

「ブラックカードって言ったら一人で数パーティぶんだっていうしな。あーあ才能がうらやましいぜ。」

…あいつらの顔面に器用さ999のカードをたたきつけてきたい。

いやたたきつけてこよう。

「あ、ケンヤどこいくのよ!」

そいつらのいたテーブルへと歩み寄って、俺のカードをたたきつけた。

テーブルに。

ごめんなさい顔にたたきつける勇気はありませんでした。

しばらくは恐れたような様子の三人であったが、俺のカードに目を通し、それをそっと俺に返した後、直ぐ近くにいた酒場の店員に酒を一杯追加で注文した。

俺は店員からジョッキをうけとり、高く掲げた。気づくと皆そうしていた。

俺たちは顔を見合わせた後、それを高らかに打ち鳴らした。

ここは異世界。飲酒年齢制限なんてものはない。

だが、仲間の絆ってのはここにもある。

「ってちょっと、ケンヤ何勝手にいい感じに飲み始めてんのよ!」

「いいじゃねぇか!なんかいけるクエストでもあったのか?ないんなら俺はここでこいつらと飲ませてもらう。おっと勘違いするなよ?これは情報収集だ!ちゃんと意義があるんだからな!」

「うっ、くくぅ…べ、別にいいわ、私は一人で出店とか回るから!」

そういってサティは酒場を出て行ってしまった。

ここに泊まる予定とか言ってたしそのうち戻ってくんだろ。

「あんたケンヤっていうのか。ブラックカードなのにほぼ戦えないとは…あんたも苦労するなぁ…」

おそらく三人のリーダー格のおっさんが話しかけてきた。

「ブラックってだけで強いと思われるから大変なんだよ…お、そうだおっさん、一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」

「おう、答えられることなら何でも答えるぞ?」

俺はおっさんにさっき聞きそびれたことを聞いてみることにした。

「サティってパーティにまったく入れなかったみたいなんだが…何か問題があったりするのか?」

「いや特には…まぁあえて言うならブラックだってことと剣士自体の需要が少ないってことだな。」

「剣士自体の需要が少ない?それってどういうことだ?」

「あんたはパーティ募集してないし知らないのか。」

おっさんとは別の男が答えてきた。

「今の主流は剣士じゃなくてガンナーだからな。銃が台頭してきた今じゃ剣持つより同じ重さで銃と弾持ったほうがいいんだよ。消音器付ければ小戦闘なら音に大差はない、リーチが長いからふれると厄介なモンスターの対処も楽だしな。弾切れの問題はあるがそもそもそんなに撃ち込まなきゃいけない状況じゃ剣振っててもスタミナ切れでぶっ倒れちまう」

あぁ、これがさっき俺が感じた違和感か。酒場に剣をつってるやつがほとんどいないのだ。持っていても短剣で大きな剣を持っている人は皆無に近かった。

銃を使える人間がいればどんな剣の達人でも需要はすくないよなぁ…

「あんちゃんも持ってないなら小銃の一つくらいは持っておいたほうがいいぜ。」

もう少し男たちと話した後、俺はアドバイス通りに銃でも買いに行くといって席を立ち、ギルドをでた。

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