夢から転がり落ちてきて。
はじめまして。
この作品を読もうと思って頂いたことを光栄に思います。
まだこのサイトには不慣れでありますので
読者様には読みづらい点等多々ご不便をおかけするかと思いますが
ご指導ご鞭撻のほど、どうかよろしくお願いします。
夢魔、サキュバスと呼ばれる私達
リリス、リリンは有名な私達の仲間だ。
仲間というよりもご先祖様と言ったほうが正しいだろう。
そんな私達をあなたはどう想像するだろうか。
怪しい流し目は男を誘い
その艶めかしい身体は男を虜にする。
豊満なバストは男を溺れさせ
長い手足は男を絡めとって離さない。
やわらかなヒップが男の上に座り
そこから伸びる足はキスをさせるためのもの。
人間の女では並ぶともつかぬ美しさを持つ
それが私達の種族。
これは数百年の幾許の世代を重ねて
磨きぬかれた
私達は男を誘惑して
精気を吸って生きる妖怪だ。
生きるためにそういった店で
人間に混じり生きる仲間も少なくはないが。
不純物の多い精気よりも
自分に向けられたものや
特定個人の誰かに向けられたものは純粋で
そんなごちそうを求めて夢を渡り歩く。
私達はそんな種族だ。
そのはず、なのだ。
それなのに私は空腹に目を回していた。
本当であれば、男を次から次へと手玉に取り
精気を満腹まで吸っては渡り歩く
おまけにブランド物のバッグも買ってもらって
高級品を好きなだけ持って。
少なくともお姉様達はそうやって生きている。
私はそのお零れを頂いて生き延びてきた。
私はそんな生活が嫌になり
お姉様の下を飛び出した。
どんな男も私を相手にはしてくれない。
こんな平らな胸では。
どんな男も私を相手にはしてくれない。
こんなくびれもない体では。
どんな男も私を相手にはしてくれない。
こんな幼い身なりでは。
そう、私は出来損ないと言われてきた。
いつまで経っても成長することのないこの身体。
幼いままで、ともすればもう数十年はこの身体のまま。
しかし、まれにこの身体を好む男はいる。
そんな男に限って、夢にもぐりこめても
「夢だありえない」なんて言って私を振りほどくのだ。
夢でも据え膳喰わねばというのが男ではないのか
ならば現実でと繰り出せば
あの忌々しい青い制服の男が奪っていく。
そしてお姉様の下へと送り返そうとする。
ああ、忌々しい。
少しでもいい。
食べなければ死んでしまう。
空腹を紛らわせるように
私は誰かの夢に紛れ込んで行った。