第十四話「善悪と人生を断ずる」
■物語六日目、八月六日
風花は街を徘徊していた。
潮を護る事や、訓練校の事、全てを放り出して、ただ歩いていた。
彼自身にも、何故こんなにも虚無感が胸の内に広がるのかわからない。
わからないから、想いの巡る分だけ、街を巡りに巡る。
潮のそばにいなければ、と思う。
しかし、その気力が全く沸かない。
何故、たかだか桜子に拒絶されただけで、こんなにも心が波立つのか理解が出来ない。
そう、たかだか、焼きそばをひっくり返されただけなのに………!
風花の脳裏に何度も甦るのは、焼きそばを風花の手から弾き飛ばした桜子の感情を映さない顔。
そして、その次に幼い妹弟の悲しげに自分を見る目。
その二つが交互に浮かび上がり、もう、どうにも心を落ち着ける事が出来なかった。
だが、それもある意味、無理もないことである。
風花にとって、強い感情に晒されるのは、ほぼ十年ぶりのことだからだ。
妹弟亡き後、奴隷商人につかまり、東方大陸南方に船で運ばれた。
船は『ある事情』で転覆し、風花は妹の涼が因果を齎した《彼岸弓・弐式【一期一会】》によって命を永らえた。
そこは東方大陸南部に位置する鍋島地方であり、そこでタイ捨流の師匠に出会い、剣を学ぶ事になったのである。
師匠は老齢ではあったが、剣技はまだ生きていた。
風花が師の元で学んだのは七年間であり、師が亡くなった後、放浪の旅に出た。
放浪時代の風花は、野武士や浪人を見つけては襲い掛かり、殺すか深手を負わせるかして金銭や刀を奪い、その日の糧を得る誰とも心を通わせない日々であった。
全ての出来事を、殺意と憎悪に塗れた剣に託す毎日。
そこに情はなく、人の形をした獣そのものの人生。
他人と命の遣り取りをし、血飛沫を浴びる事でしか、世界への憎悪を発散できないでいた。
そんな中、ふとしたことで一人の男に出会った。
その男は東方大陸北方の桜濫幕府出身であり、武者修行のため、東方大陸最大の剣豪エリアである南部地方に来ていた。
その男とは冒険者ギルドで同じ冒険依頼を受け、ギルドのパーティ・マッチングでコンビを組まされたのが発端である。
始めはお互いに反りが合わず、何かとぶつかり合い、一度はコンビを解消した。しかし依頼内容がランク付け以上の難易度であり、協力なくしてクリアどころか命すらあぶないと中で再結成するという、いわば二人のコンビは消極的な緊急避難の産物であった。
冒険依頼を終らせ、冒険者ギルドには難易度設定についてクレームを入れて違約金をせしめ、二人は分配金について街の大通りを歩きながら話し合った際のことである。
「真夏屋、お前はいけ好かない男だと思っていたが、結局、俺を助けてくれたな」
「……たまたま行き逢っただけ。助けられたと思うなら、褒賞の割り当ては、オレが6のお前が4だ」
男は怒りもせず、笑ってその提案を受け入れた。
「ああ、いいよ。そのかわりだが、俺からの別の提案を受けてくれないか?」
「……内容によるぞ。もちろん、金次第だが」
「まあ、聞け。それに難しくもなければ、損な話でもない。桜濫まで来いってだけだ」
「…………は?」
「お前の喋りからして、出身は稟京だろ?なら里帰りだと思って来いよ」
「ふざけるな、なんで今更そんな遠い所までいかなければならない。水穣幕府界隈の方が冒険依頼も多い。喰っていくのに、ここが何処よりも簡単だ」
水穣幕府とは、東方大陸南部に割拠する武家政権の事である。
東方大陸中央部にある東方神楽帝国より、南部武家の棟梁として“征銃大将軍”の地位が与えられたのが始まりであり、現在は桜濫幕府と同じく、帝国と袂を別っている
水穣幕府界隈は、剣術が盛んであり、腕に自信がある剣客が多いために辻斬りや道場破りも盛んである。腕に覚えがある者も多ければ悪事を働く者も増えるので、追捕や断罪の冒険依頼が非常に多い。それこそ、腕に自信があれば合法的に殺剣を振るい、存分に人斬りをしつつ、他人からは感謝と共に多くの金を手に入れられる。
風花もある程度の世間の仕組みを知ってからは強盗まがいの行為をやめ、冒険者ギルドから依頼を受けることによって、堂々と人斬りをし、好きなだけ金を稼いでいた。
「だから聞けって。金は俺が用意する。いや、本当は貰いたい方だが、特別に手当てを出す。だから、稟京まで来てくれよ」
「何をするんだ」
この頃の風花は(今でもそうだが)かなり気が短い。面倒になるとその場で太刀を抜き、相手を斬ってしまう悪いクセがあった。
「落ち着けよ。学校を紹介しようと思っているだけだ」
「学校!?」
「そんなに意外か? お前の齢なら学校に行くのが普通だ。学校にいけば多くの知識や仲間にも出会える。お前は行きたいとは思わないのか?」
「別に。学校に行くよりも、依頼の一つでも受けていた方が、実入りがいい」
「そういうな。知識が貴重なのは、寺に通って本を借りているお前が一番よくわかっているはずだ。それに、そこで出会う仲間は一生の宝になる」
「オレに仲間などいない」
男の言葉にかぶせるようにして切り替えした風花に、男は年長者の余裕を見せた。
「まあ、お前がそう突っ張る気持ちもわかるが、それより聞きたいのは…俺はお前の仲間ではないのか?」
ニヤニヤ笑っていたかと思えば、いきなり真顔で聞いてきた男に、風花は気持ちが呑まれたのを感じていた。
「…フン、今日は第四金波に行こうと思っていたんだ。話の続きをしたければ、そこで奢れ」
第四金波とは、名店と謳われた金波寿司(現在は廃業)から三番目に暖簾分けが許されたこの界隈で有名な鮨屋の一つである。味に定評があり、大人気店の一つである。
「わかったわかった。そこで細かい内容をつめるとしよう」
「オレは行くとはいっていないぞ」
「さ、行くぞ」
「聞けよ」
「それは俺のセリフだ」
「ちょっと、待てよ、流雲!」
以上が、風花が妹弟を亡くしてからの簡単な顛末である。
この後、風花は一年以上の時間をかけて大陸を馬と船で縦断し、桜濫幕府首都稟京には訓練校に入学する三ヶ月前の一月初冬帰京し、桜神流雲の薦めのまま“そよかぜ先生”の元に身を寄せ、住み込みで歴史と軍略を学んでいた。
“そよかぜ先生”の姿はひょろっとした背が高く痩せぎす、性格は極めて穏やかであり、荒んでいた風花の心をゆっくりと癒してくれた。初めは頑なだった風花も、新たなる師の語りと思い遣りに心を開きだし、訓練校入学以降は週に一回だけになったが、とてもその日を楽しみにしていた。
そして、運命の七月二十八日。
その日、“そよかぜ先生”の小屋で、「時詠潮」と出逢った。
■物語三日前:桜濫暦二四一年七月二十八日、出逢いの時
風花は驚いた。
一月に反乱未遂事件を起こし、その後始末に桜濫幕府中で賑わっている最中に、その藩主が目の前にいるのである。何故ここにいるのか先生に尋ねると、
「攫ってきた」
と、あっさりとした答えが返ってきた。
風花は自分の耳を疑った。
「何故です?」
「人助けだよ。攫わなければ死ぬ事になる。その子にはこの世で一番価値のある存在だ。だから、他の何を犠牲にしてでも、攫う道を選んだ」
師の言葉に淀みは無く、当然の事を当然のように成す、ごく自然な態度で驚く弟子に優しく伝えた。
■take1:始まりの日、七月三十一日、一三:〇〇
この日の午後、美堂教官より臨時の午後半休が申し渡され、風花は運命を悟った。
時詠潮の願いを叶えるため、その障害となる“そよかぜ先生”を斬ろうと、心に誓った。
風花は急ぎ“そよかぜ先生”の小屋に走り、界廊の見える丘公園まで先生と潮を誘った。
三人で公園まで行くと、期待通り、他には誰もいなかった。
三人で先端の途切れた界廊をしばらく黙って見つめると、不意に潮がしゃべり出した。
「先生は、人の生み出した最も価値のあるものは、人の営みの記録だとおっしゃりました」
「いかにも。人は過去の記録から、歴史から全てを学び取り、より良い方向に向かう存在だ」
「では失敗し何も成せず、志の高さを記されなかった存在は無価値なものでしょうか?」
「記録も全てを網羅できるものではない。取捨選択は生きていく上で不可避的なものだ」
「その通りです。ですが、捨てることが自分にとって有益であっても、自分が自分で在り続けるために捨ててはならないものであっても、捨てなければなりませんか?」
風花の心臓が、大きく鼓動する。
『いままでごめんね』
最愛の妹の言葉が甦る。その言葉の裏には、妹は自分のせいで風花が辛い目にあったことを詫びていた。
断じて違うと風花は言いたい。涼や涼次を、ただの一度でも重荷に感じた事などない。
むしろ、その存在に救われていた。
頑張ろうと思った。
生きようと思った。
「難しい相談だな。しかし、自分が生きる事が第一だ。他人のために生きる事や尽くす事は美しいが、力がなければ出来ない。出来なければ両者共に倒れてしまう。捨てることも勇気であると思う。倖せとは、利己的なものだからだ」
敬愛する“そよかぜ先生”の言葉に、風花は愕然とする。
では、涼と涼次を捨てれば、自分は倖せになれたとでもいうのか。
……そんなものは、
倖せではない!
「先生は、利己的だと開き直る事が倖せへの道と説きますが、私はそうは思いません。私にとっての倖せは、大切な人に自分を覚えていてもらうために、どれだけの事が出来たかだと思います。折に触れて思い出し、あるいは逆に思い出してもらえることだと思います」
「そのために、命を失うことになるとしてもか?」
「はい、それこそ利己的な理由で、命を懸けます」
風花の感情の高ぶりに、二人は気がついていたのだろうか。
その時、“そよかぜ先生”は、風花が涙を流しているのを見て慌てだした。
「風花、どうしたのだ? 何故、泣いている?私と時詠潮がケンカをしていると思ったのか?」
“そよかぜ先生”はどこまでも優しい。先生は懐紙を取り出し、風花の涙をそっと拭う。
しかし、残酷だ。
“そよかぜ先生”は、自分が見ている人に対してのみ優しいのだ。
風花は漸く、その残酷さに気づいた。潮によって、気づかされた。
その時である。
向こう側の階段から、桜子たちが登ってきたのだ。
「あれ、あそこにいるのは、風花か? こんなところにいたのか」
桜子は当たり前のように風花の元へ近寄ってきた。
「風花、どうした!? 何故泣いている!? その男がお前に何かしたのか!?」
桜子は相手の言い分も聞かず、ただ状況を見ただけで激昂し、いきなり抜刀した。
「いや、ちょっと待て、誤解だ。私の話を聞いて欲しい」
「誤解? 私の仲間を泣かせておいて、『誤解』の一言で私が止まるものか!」
「いや、だから…」
“そよかぜ先生”は弱りきり、手を左右に振りながら、桜子の方へ歩いていく。
見れば山吹も雪蘭もクレハも剣呑な雰囲気であり、若い少女達の怒りはさしもの先生もあせらせた。
そうして風花に無防備な背中を晒した時、風花の右手が動き、抜刀した脇差が正確に敬愛する先生の左胸を貫いた。
桜子たちはいきなりの殺人に、驚いて足を止めた。
“そよかぜ先生”は、胸を貫かれたまま、風花に振り返る。
「…………ッ」
何かをいおうとして、血を吐いた。
その瞬間、時間が繰り戻った。
■take2:始まりの日、七月三十一日、一六:〇〇
約二時間前に戻った事に、風花はすぐに気がついた。
この時点で“そよかぜ先生”が、いや加治微風が絃律士であるとわかった。
風花は再び加治微風の元へ赴き、彼を斬ると決めた。
ただ、今回は相手も待ち構えていると予想した。となれば、それなりに準備が必要である。
風花は決められた手順で、とある場所に連絡をつけた。
「真夏屋風花」
すると、すぐに駆けつけてきた。
「ご助勢、ありがとうございます、吹雪様」
風花が一応の敬語で話しかけた相手は、山吹の姉であり、飛騨百万石の次期藩主である姉小路吹雪であった。
「いや、礼をいうのはこちらの方だ。よく知らせてくれた。時詠伯が攫われたのは私の責だ。全力で当たらせてもらう。あとは任せておけ」
吹雪は十人の手練れを引き連れていた。
「いえ、もし相手が仲間を呼んでいた場合はお願いしますが、加治微風はオレに斬らせてください」
「貴方は微風のことを慕っていた。それでも斬れるのか?」
「一度は殺しました」
その言葉に、吹雪は不思議そうな顔をする。風花は、時間が繰り戻った事について、誰もが気がついているわけではないと悟る。
「利己的な理由です。その理由は、捨てられないものです」
風花の強い視線に、吹雪は逡巡せずに了承した。
「貴方を信じよう、真夏屋風花。案内しなさい」
そして、界廊の見える丘公園に向かうと、加治微風は十人の剣客に身を守らせていた。
「やはり来たのか」
「時詠潮を返してもらう」
風花はその一言のみを伝え、吹雪に借りた十人の剣客たちに目線で攻撃指示を出す。
一瞬にして公園の静寂は打ち破られ、血風吹きすさぶ、修羅の巷と化した。
闘いは激しかったが、一瞬であった。
微風の連れていた剣客たちがどういった男達かは不明だが、吹雪の用意した抜刀隊の実力はその上をいっていた。
微風の連れていた最後の一人が斬り殺され、風花達は完全に包囲した。
「これで詰みだ。殺人は本位ではない。おとなしく時詠潮を渡せ。そして、もう帰れ」
風花としては、“そよかぜ先生”には死んでほしくはなかった。
しかし、加治微風は冷酷に唇を歪める。
「ふふ、少し多くの剣士を連れただけで、かほどに態度を改めるとは。真夏屋風花よ、お前の底も知れているぞ」
「それはどうも。オレの目的は時詠潮だけなんでね。他に頓着する必要は認めていな…」
風花は言葉を呑んだ。いや、地の底から這い上がるような恐怖に声帯を停止させた。
「真夏屋風花、いつからお前が、物事の善悪を決められるようになったのだ」
今まで聞いたこともないような無残かつ冷酷な声音が、誰よりも優しかった“そよかぜ先生”の口から聞こえた事に、風花は戦慄し、大きく後ろに跳躍した。
入れ違うかのように、生き残りの剣士たちは全方位から殺到した。
十本の白刃が煌く中、加治微風は嗤う。
白木の鞘に収められた刀を左手に持ち、第一の刃がその身に触れる寸前、抜刀した。
白木より放たれた刃は、真紅の風を導く。
右、左、背後、前と、全方位に一瞬で振り向き、呼吸するかの如く斬り伏せるその姿は、正に鬼神。十秒としないうちに、十人の手練れが絶命し、その身から流れる血液と屍が、比喩でもなく文字通りの屍山血河を成した。
想像を絶する強さを持った男は、全身に返り血を浴び、人を喰らった鬼の如き形相であり、別人にしか見えなかった。
信じられなかった。あれほど優しい“そよかぜ先生”が、これほどの剣士であったことに。
この世界には剣士のランクとして、下から剣士、剣豪、剣匠、剣候、剣王、剣帝(剣聖)とあるが、明らかに剣匠以上のランクである。正直にいって乖離調絃律《彼岸弓》抜きでは勝てないと悟った。
まして、相手には謎の時間を繰り戻す絃律がある。使用限界はあると予想はしているが、回数は不明である。極力、手の内を見せずに相打ちまで持ち込まなければならない。
すると、また桜子たちが公園に来てしまった。
これでは、自分が負ければ彼女たちまで巻き込んでしまう。
それだけは何としても避けなければならなかった。
風花は覚悟を決めて、立ち向かう。
■take3:始まりの日、七月三十一日、一八:二〇(フタマル)
三度目。
やはり時間を繰り戻された。
《彼岸弓》を使わず、温存しておいて良かったと思う。
《彼岸弓・弐式【一期一会】》は一人に対して一回しか使えない。
時間が繰り戻されれば、再度使えるかもしれないが使用不可の可能性があり、また予測されれば回避される可能性が高くなる。風花はなんとしても加治微風との会話から、時間遡行の使用回数を引き出さなければならない。
事前準備として、今度も姉小路吹雪に連絡をつけ、助勢を依頼した。
ただし、加治微風には手出しをしないようにと注文をつけた。
やはり、あの男だけは自分一人で決着をつけなければならない。
不思議な事があった。
吹雪に頼み、斥候をだしてもらったが、公園には加治微風しかいないと報告があがった。
護衛の剣客を連れず、何より時詠潮を別の場所に置いている。
一瞬、探しに行こうかと思ったが、それはやめた。
間もなく、公園には桜子たちが来る。ヘタをすれば斬られるか人質にされる恐れがある。
風花は公園に続く左側の道を選択する。
公園に行くと、果たして加治微風一人であった。
「潮も護衛も連れず、一人でどうした?」
一応、風花が聞いてみると加治微風は、いや“そよかぜ先生”は穏やかに答えた。
「なに、二人きりで決着をつけたくてね。お前が気にしているであろう、私の邂逅調絃律《慈悲三顧》は二回までしかやり直せない。今回が最後だ」
「…そう、か。では、はじめようか」
「その前に、一つ教えてほしい」
「…………」
「何故、そうまでして、私を斬ろうとする? 私がお前に何かしたか?」
“そよかぜ先生”の言葉は、微風に散らさせるほどか細く、悲しげであった。
風花も太刀を抜く前に、加治微風への殺意を明確に言葉にすべきだと思った。
「一言でいうのは難しい。だが、あえて一言にまとめるなら、“そよかぜ先生”は、オレの人生を不幸だと断じた……お前は何時から、オレの人生を判別する事ができるようになった」
明確な怒りと共に、風花の言葉は颴風よりも強力であり、
“そよかぜ先生”は、その言の葉の前に散っていった。
一抹の悲しさは、両者の殺意に取って代わり、今や両者の共通認識となった招かざる立会人が到着するまでの数十秒間を、万感の想いを無言に変換し、夕暮れの公園を埋め尽くした。
そして、風花は三度目にして加治微風を斃した。
死体の処理と桜子たちへの記憶の改変は、吹雪と共に秘かに来ていた“メイド”と呼ばれる女性の拒絶調絃律によって漠然とだが抹消された。何かのきっかけがない限りは思い出せないだろう。
思い出せないことは不幸であると思うが、倖せだと思える面もある。
《彼岸弓・弐式【一期一会】》を何人かの通行人に使い、瞬間移動を繰り返して一分もしないうちに訓練校に帰り着く。通行人は風花のことを気のせいだと思っただろう。妙に気になる人がいたとするなら、それは風花の瞳に泪があったからかもしれない。




