五話目
たったったっ・・・
夜の住宅街に私の足音が響いた。
少女に言われたのは、街のはずれにある大きな公園。今はもう使っている人がいなくて、近々壊されるみたいなことをいわれていた。
道を間違えないように、走っていく。
しばらく走った後、ようやく公園を見つけることができた。公園の名は『下川公園』だ。
「ここね・・・。イエティの使い魔がいるのは」
あたりを見回す。すると奥の方に黒い影が動いていた。
「あれかな・・?近寄ってみよう」
近寄ると、黒い影の正体は、全身毛むくじゃらの人のような体をした怪物だった。
「ひゃっ」
思わず漏れる声。怪物はこちらに気づくと、ガアアアと声をあげてこちらに向かってきた!
「き・・来た・・・!」
私はさっきもらったステッキを目の前に出して、思いついた言葉を並べていった。魔法なんてよくわからないけど、今はこの言葉しか思いつかない!
「バウブランチ!!!」
すると地面からいきなり大枝がにょきりと生えて、それが一気に増殖する。そしてその大枝は怪物たちの足元に絡まり、そして何本かはお腹を突き刺した。
青色の、気持ち悪い体液(血液?)が飛び散る。
お腹に刺さった怪物は苦しそうな声をあげながら、倒れて、そしてただの青い液体になった。
「やった・・・の?」
初めての感覚。怪物とはいえ、初めての殺すという行為が私を油断させた。
お腹に刺さるのを避けていた怪物がまだ数体いたのだ・・。