8.微毒の蠍
とろとろ とろとろ
煮込んでみたの。
そしたら一緒になれる気がして。
もう離れないですむ気がして。
きっと重い・・・依存愛。
私は貴方を愛しすぎて、貴方は私を愛しすぎて・・・そしてきっと永遠を望んで、永遠に壊れたの。
「え、プレゼント?」
にっこり笑って、ヒナが手を差し出した。
彼の手のひらに握られた小さな包み。
ヒナは私に似合いそうだというものを見つけたら、こんな風に特別な日でない日であってもプレゼントをしてくれる。
包みを開けてみると甘い赤色の綺麗な石。
まるでとろとろ煮込んだ林檎ジャムみたい。
透き通る赤い色はヒナの赤とは違って見えて、でもやっぱりヒナの赤に少しだけ似ていた。
「なんか、俺たちみたいだよね。」
そう言って、ヒナが笑う。
ヒナの笑顔は雛菊の花に似ていると思うけど、
今みたいな甘さを含んだ笑みはどこか林檎ジャムに似てる。
ヒナが林檎、素直じゃない私はレモン。
砂糖という愛情で結ばれて、きっと私たちジャムになるの。
とろとろ とろとろ
弱火で煮込まれた私たちは、甘い赤色の林檎ジャムになるけれど、適度なところで火を止めないと。
相手を愛する気持ちだけではいつか鍋が壊れてしまう。
だけど私たちはあまりにも子供で、相手を愛し続けることしか知らなかったの。
煮込まれ続ける林檎ジャムと冷めることのない私たちの愛情。
気づいた頃には鍋はひび割れ、私の身体は動かなくなっていた。
甘いだけ、痛いだけじゃ物足りない。
それでも私たちはあまりに二人だけの世界を愛しすぎた。




