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  作者: 三谷湊
7/11

初めてのおつかい――実践編――

重いです。

執筆時間約一時間。

寝る前の気分はどん底になりました。

そう言えば、前回もう少しで400pvと書いたのにもう500pv越えました!

驚いたー。

こんな面白くない話をお読み頂き有難うございます。

「では勇者殿、お気をつけて」

将軍とそれぞれの部門のトップが見送る。

「ああ」

俺は軽い返事をして歩き出した。


相手の陣地までは3~4km程だ。

俺はその、長いとも短いとも言えない距離をゆっくり歩いた。

歩きながら魔力を使う練習をしてみた。

もちろん魔力を実際に使うとバレてしまう。なのであくまでイメージトレーニングだ。

(敵の陣地はどのくらいの範囲だろうか)

魔力に制限は無くどんな魔法も使え、新たな魔法も造りだせる。

俺を召喚した魔術士は、勇者の魔法面での恩恵をそう教えてくれた。

つまり無敵だ。

ただ制御は難しい。簡単に言えば自分の力を制限したまま本気を出すという事だ。

自分で言って訳が分からなくなるがそういう事だ。


あれこれ考えていると、かなりの距離を歩いたようで何となく獣のような声がする。

相手陣地は近いようだ。

ここからは気を引き締めないといけない。

俺は一度立ち止まり、気合いを入れた。

ついでに気配や姿を消せる魔法を思いついた。

だが今は試す事が出来ない。

だから無事に帰ったら試そうと思った。

無事に帰る為にもまずは相手陣地を奇襲する。

戦略としてはポピュラーで、基本的には牽制か陽動目的らしい。

昨夜から付け焼き刃で学んだ知識によるとそうらしい。

手段もそのまま魔力をぶつける気分だ。

ぶつけられた魔力が限界に達すると相手は体内の魔力の道管が裂けて血が吹き出し、ショック死か出血死する。

ところが常人(魔物も含む)の魔力には限度がある。

だから攻め手は大勢で一斉に。守り手は魔力でシールドを作り身を守る。

油断させない限り全く意味が無い。

しかし勇者、俺の魔力に限度は無い。

つまり力押しで勝てるという訳だ。

長々とした説明だったが、まとめれば一言。

(魔力でごり押し!)

心でそう唱えた瞬間に敵陣に変化が起きる。

上空の空気が揺らぐ。

全力では無いが無限の魔力をぶつけられ、大気が悲鳴をあげている。

そして大気の悲鳴は魔物の悲鳴に変わる。

殺戮が始まった。放出する魔力が受ける抵抗、つまりはシールドの感触が次々消える。

そして10分後には何の反応も無くなった。

どうやら終わったようだ。

相手陣地に近寄ると、そこは血の臭いと死の気配で覆われていた。

任務は終わった。

帰りは空を飛ぶか瞬間移動してみようと思った。

目の前の光景から目を背けるように、自分の気持を誤魔化すためにそう考えた。

だが、駄目だった。

「オウェェッ、ウゴゥグブェォッ」

込み上げる吐き気。

沸き上がる苦しみ。

それは生臭い空気のせいだろうか。

それともこの胸を痛ませる罪悪感と後悔からだろうか。

その後も吐き続けた。

初めは胃の中身を。やがて胃液を。

訳も分からないまま泣いた。

他人を傷つけるのがこんなに辛いなんて。

今の俺には耐えられないと確信した。

そして理解した。

甘いままで、この世界で勇者としては生きられない。

だが生きなければ。いや、生きたい。

その為なら何だってしよう。

俺が奪った命の分まで精一杯生きよう。

それが少しでも供養になると信じて。

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