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  作者: 三谷湊
5/11

騎士の言葉――現状――

明日、いや今日(9/3)学校が休校なので台風迫る実家からです。

長い間馬車に揺られ、何度か休憩しながらも馬車は進み続けた。

騎士達の沈黙と重い空気で本当に長く感じた旅だった。

馬車は少しずつ速度を落としていく。窓の外には野営地という感じのテントの群れ。

どうやら戦場に到着したらしい。

完全に馬車が止まると、外から戸が開かれた。

「どうぞ勇者殿、こちらへ」

言った男はもちろん鎧姿で、さらに胸元には多くの勲章。

どうやらお偉い人のようだ。

勲章に向けられた目線に気付いたのか、男は言った。

「ああ、これですか。これは」

「将軍、説明は私が」

今まで車内にいて、一言も話さなかった騎士の一人が急に会話に入り込む。

「この方は将軍様です。この方面軍の指揮官でもあられます」

「まぁまぁ、そう堅苦しくせずに。この方は勇者殿だぞ」

「はっ、仰せの通りに」

「それで、勇者殿。我が軍の状況は知ってらっしゃいますか?」

そう言えば、まったく説明されていない。

「いや、何も」

「やはりそうですか。ならば軍議に招待致しましょう」

ということで参加させてもらった。


会場は周囲のテントと違い、一際大きく豪華だった。

先に将軍が入口をくぐる。

「勇者殿をお連れしたぞ」

「失礼する」

それに習って俺も中に入る。

するとテントの中の目、ほぼ全てがこちらを見た。

「どうぞあちらにお座り下さい」

勧められた席は一同が向かう長机から少し離れた場所だ。

席に着くと将軍が話し始める。

「ということで現状だ。報告を」

「今回の襲撃は、我が国の北西部に向けてです。」

「敵の兵力は、おそらく幹部級が一体に低級多数。我が方とは互角の数です」

「地形は平地で特に障害物もありません」

「今は膠着しており、戦略を非常に立て辛いです」

「ふむぅ、あまり良くないな。何か状況を打開する力は……」

「将軍、勇者殿に出てもらうのはいかがでしょう」

悩む将軍に言ったのは魔術士風の老人。しかしその眼は鋭く俺を睨んでいた。

「しかたあるまい。勇者殿、出撃していただけますか?」

ここは誰かが状況を変えなくてはいけない。それは分かる。

だがそこで俺とは……。

しかし行くしかない。

「分かりました。行きましょう」

「では明朝にお願いしよう。それと、誰か随伴させようか?」

多分遠くからの魔法で終わるだろう。

「いいえ、一人で」

「うむ、分かった。ではこれで軍議は終わりにしよう」

言葉と同時に何人かは立ち去る。

しかし、中には俺を睨む奴もいた。

まるで嫉妬しているようだった。

ともかく俺は、明朝出撃する事になった。

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