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昔話
急にファンタジーが書きたくなりました。
「今日は、昔話をしよう。この国が出来る前の」
そう言って私は語り出す。周囲には異形の子供達。もっとも、この国では私のような人間形のほうが異形だ。
「あれは遠い昔、私がこの世界に召喚された頃の話だ」私は肩に羽織っているコートを指差す。
「このコートも召喚した国の王様がくれたんだよ」
「今もその国あるの?」一人の無邪気なゴブリンの子供が聞く。
「どうだろうねぇ、分からないよ」それは明らかな嘘だった。
何故ならその国が滅ぼされた事を私は知っている。というよりも滅ぼしたのは私のこの手だ。