十二話;用意
とはいえ、このままにしていても何も変わらない。
下手をするとじりじりと近づいてこられて銃弾を叩き込まれるのがオチだろう。動く必要がある。
ただ、銃弾が雨あられと降り注いでいる状態ではあるが。
さて、どうするか、だ。
今いるここはグラウンド。遮蔽物は何もない。
穴を掘っていくというのはどうだろう。そうすればここにいると見せかけての奇襲ができるかもしれない。
…いや、待て。駄目だ。練成をしたとしても、その練成したものをどうするかというものがある。
この能力は質量保全の法則に則っているらしい。ということは多少なりとも穴を掘ったことで練成物が出てくるわけで、その量が多くなった場合、銃野郎にばれる恐れがある。
それに地中からじゃどこにいるのかわかんねぇしなー。
つまりこの案は却下である。
では他には。
今の銃撃を止めている塹壕を少しづつ動かして近づく。
却下。これも移動されたら困る。というか俺ならゆっくりと近づいてくるのに合わせてゆっくりと打ちながら下がる。
塹壕から飛び出て気合いで避け続ける。
却下。出来るわけがない。
ヤンキーが今戦っているやつを倒すのを待つ。
…これが一番現実的かなぁ…。正直言って。
それでも倒せるかは微妙なところだけれども。飛び道具って、怖いな本当に。ここがグラウンドじゃなければなぁ。もうちょっと遮蔽物があればまだなんとかなるのだが…。
…あ、そうか。作ればいいんだ。
『練成』
銃撃が止む。
塹壕から出て後ろを向く。
そこには大量の石柱が乱立していた。
…やりすぎたかもしれない。
太さは大体国民的タヌキ型ロボットアニメの空き地に転がってた柱くらい。高さは、えー、普通の建物の2階くらいはあるのか?柱の根元の周りは練成の影響か、少し抉れている。
それが大体1、2メートルくらいの間隔で立っているのだ。
…まるで石の森が出来たみたいな光景だった。
もちろん銃撃をしてきた男は見えない。そうでなきゃ銃撃が止むこともないだろう。これで銃撃は防げた。やってみるもんだな。
さて。
首を回す。こきり、と音がする。準備は整った。
反撃開始だ。覚悟しろ。
久しぶりにこっちを見てみたらお気に入り登録をしていただいている方がいらっしゃいました。
…何だろう、ここ数年でなかなかなかった嬉しさを感じます。
具体的には普段飲まない酒でお祝いするくらいに。
このような拙い文章を読んでいただきありがとうございます。
更新も遅く、なかなか先の見えない話ではありますが、見捨てずにお付き合いいただければ幸いです。
読んでくださる方がいるからこその文章です。
読んでくださった全ての方に無上の感謝を。
誤字脱字の指摘、感想、お待ちしております。