十一話:銃撃
短いです。
「練成」
その言葉で自分からあふれる力を感じる。
欲しいものは銃弾を防ぐ盾。
やるべきことは三つ。
あふれる力を周りに浸透させ。
形を変えたい物質を把握し。
その物質のあるべき姿を錯覚させる。
地面に力を流し、成分を理解し、そのいくつかの物質にあるべき姿を説き伏せる。
そして『練成』と言葉で発してからの数瞬後には、俺の手には全身を隠し、弾を流すために多角形で構成された無骨な盾が現れていた。もちろん相手を見るための小さなのぞき窓付きだ。
それを見た銃の男は一瞬驚いた顔をする。先ほどまで仲間が使っていた力を使ったのだ。当たり前だが驚かないはずがない。
その隙が致命傷だ。
俺は盾を目の前に構えたまま全力で走りだす。
このまま体当たりすればそれで相手には致命的な隙が現れるだろう。
そして走り出した俺を見て、男があわてて銃を構える。しかし遅い。スピードに乗った俺を止められるわけがない!!
銃の形は突撃銃。
それを構えて。撃った。
銃の威力を舐めていました。
「おおおおぉぉぉぉおおおおお!!?!?!??」
ハンマーで殴られたような衝撃が盾から伝わってくる。両手で持ち手をつかみ、必死で耐えるがまぁ、もつわけないよね。
最終的に盾の斜め上に当たった衝撃で盾が手から離れ、さらなる銃弾の衝撃で盾が回転し、側頭部に持ち手がぶつかり、吹っ飛ばされた。
当たり所が悪かったのかよかったのか横に転がる。勢いが完全に殺されたことは最悪だったが、それによって射軸から外れたことは最高に運が良かった。
近くに転がってきた盾を急いで拾い、構える。
『れんしぇい』
噛んだ。思いのほか焦っている。
しかし問題なく発動してくれた。盾を補強、自分の周辺を覆えるように、そして銃弾の衝撃を受け流せるように変形させる。円錐を縦に切って半分にし、その先端部が相手に向かっているような形になった。
さらに盾の下部から地面に突き刺さる形でいくつかの杭を練成する。これで盾が動かなくする。
その練成が終わった直後に銃弾が襲ってきた。
盾に弾が当たる爆音が響く。
後ろを見ると周りの地面が細かく抉れていくのが見えた。
しかし盾…すでにこれは塹壕というのが正しいかもしれない。それは、びくともしない。
これなら耐えられる。あとは銃撃が止まった時にどうするか考えなきゃいかん。盾はマズイし、さて、どうするかな…。
まぁ、無難なところでは銃弾が止まったらすぐに飛び出し、機動力で弾を避け続けるって手かなぁ…。それもシャレにならない話だなぁ。
と、塹壕を銃弾がたたく音が止まった。
なんだ?諦めたのか?なら今しかない。考える前に飛び出してしま。
「機構変形 連射」
そんな声が聞こえた。
飛び出しかけた体を必死で塹壕の中に戻す。
布を引き裂くような連続的な射撃音と共に先ほどに倍する銃弾が襲ってきた。
後ろを振り向くと。
うん、見なきゃよかった。
…これでどうしろって言うんだ…。
だいぶ遅くなりました。忙しかったんです(言い訳)!!
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