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箱庭の遊び方  作者: 麦頭
第一章
12/15

幕間1 ヤンキー安藤克己


安藤克己は普通の男である。ある一部分を除いて。


黒峰にヤンキーと認識されていた安藤だが、いうほどアウトローというわけでもない。


煙草を吸う。せいぜいがその程度。あとはバイクなどに憧れて、付き合ってるカップルを見たら思わず嫉み僻みで舌打ちをする。テストが近付くと現実逃避でスライム連鎖消しゲームで八連鎖の壁に挑む。そんな普通の高校生だ。


普通でないところがあるとしたら、喧嘩が大好きだということだろう。

もともと中学生のころにそういう漫画に影響されたということもあるのだろう。高校に入ったと同時にかつあげの現場を見た安藤は、思わずその現場に飛び込んでしまった。『うわ、俺かっこいい』とか思いながら。


しっかりとしたしつけを受け、早熟だった安藤は子ども自体から思い出しても喧嘩らしい喧嘩はしたことがなく、ぼっこぼこにされて終わるのだが。




ただ、安藤には才能があった。




一つは体験したことによる学習能力が高いこと。


文字などを使った学習はすさまじく成績が悪いが、一度実際に経験したことは二度と忘れない。安藤が苦手なのは数学。昔は英語も苦手だったのだが、あるときに片言の日本語を

をしゃべる外人と知り合ってからは、発音、聞き取りともにほぼ完璧となった。

それと同じで、体を動かすことで覚えたものは驚くべき速度で上達していく。


もう一つは、喧嘩が好きだということ。

つまりは一種のMであり、Sであるということ。殴り合いによって感じるいろんなものに取りつかれてしまうという病気だったこと。


そしてもう一つ。

何故かはわからないが、喧嘩に関してだけは負けず嫌いだったこと。



この三つが安藤にはあった。

つまりそれは、喧嘩の才能があるということだった。



高校一年で初めての喧嘩をしてから一年。


その短い期間で県内に安藤に喧嘩を吹っ掛けてくるような男はいなくなった。


安藤は、退屈で、退屈で、退屈だった。


基本的に安藤は自分から喧嘩を売るということはしない。なんかそれだと喧嘩を楽しめなくなりそうだから。


だからいつもの放課後、いつもくる屋上で煙草をくゆらせていた時も、『退屈だ』と、独り言をつぶやいていた。


『そんな貴様に朗報だぜぃ!カツミン!』


何だよ馬鹿。うるせぇよ馬鹿。飛び降りろ馬鹿。


視界に入ってきたのは茶髪の鼻ピアスの男だった。佐々木 昇。なんつーか悪友。喧嘩仲間。


『ひどいなー。いつも退屈だと言ってるカツミンにお土産を持ってきたのに。』


んだよ。エロ本じゃねぇだろうな。


『それはカツミンに全部没収されました。あー思い出したらいらついてきた。さっさと返せよ!』


で、なんだ?持ってきたのは。チラシ?


『なんってこった!この野郎自分から振ってきてガン無視ですよ!!死んじまえカツミン!!』



―――それは、俺の運命を変えたチラシ。めくるめく戦いへの切符だった。


まぁ最初は退屈がまぎれればいいなというような感じではあったのだが。


『君の望みは何だい?』


俺の望みは一つだけ。喧嘩ができること。燃え尽きるほどに熱い戦いを。


『了解した。それは確かに君の望みに相応しい。』


そして、戦いの日々が始まる。


久しぶりに喧嘩を売ってきたやつがいた。


数は五人。知ってる顔ばかり。昔叩きのめした奴らだ。


きっとこいつらは能力者だ。そんな気がする。

能力を手に入れたから喧嘩を売ってきたんだろう。

少しだけめんどくさくなる。どんな能力を使われるかはわからないし、初めての能力を使用しての喧嘩だ。


―――なんとか半分に減らせねっかなー。


そんなことを考えていると、視界に影が映った。


知った顔。向こうは知らないだろうが、前ちらっと見たことがある。

『腰巾着』『双竜の片割れ』『妄想戦士』『暴走戦士』などなどで呼ばれていた。

なんだそれ。どこの恥ずかしい二つ名だ、という感想を持ったことを思い出した。


あと一つ。結構喧嘩が強いことも思い出した。


巻き込もう。


そう決めた。





そして戦いが始まる。一人をのした所で金髪が『箱庭』を使ってきた。


能力者確定ー。


遠慮はいらない。思う存分力を振るおう。


さぁ燃えろ俺の心。全身に溶岩のような血を滾らせろ。

そこにあるのはお前の好物。


心が躍る喧嘩の舞台だ。





―――目覚めろ魂!!


―――能力発動!!『内燃機関(フレイムハート)』!!!



さぁ!!戦いのはじまりだぁ!!!







自分の考える話に何かしらで必ず出てくる男。


誤字脱字の指摘、感想、批評等お待ちしております。

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