描写力を鍛えたくてR18作品を書いたら、短編が初の4桁を超えた件
私は小説を書いています。
そしてつい先日、ムーンライトノベルズに投稿した短編が、ありがたいことに初めて総合評価1000ポイントを突破しました。
日間ランキングにも入り、PVもこれまで書いてきた短編とは明らかに違う伸び方をしていて。
作者本人が一番、「……え?」
となっています。
もちろん、読んでくださった方、評価やブックマーク、リアクションをくださった方のおかげです。
本当にありがとうございます。
ただ、今回書きたいのは、
「1000ポイント取ったぞ!」
という話だけではありません。
むしろ、その作品を書くようになるまでの話です。
少し前までの私は、今とはだいぶ違うところを見て小説を書いていました。
* * *
きっかけは、カクヨムのコンテストでした。
コンテスト期間中。
気になるのは、どうしても数字です。
☆はいくつ増えた?ランキングは何位になった?
昨日より上がった!下がった……。
毎日のように数字を確認して、作品を書いているはずなのに、気がつけばランキングと戦っていました。
もちろん、☆をいただけるのは今だって嬉しいです。
読んでくれた人がいる。
面白いと思ってくれた人がいる。
それは、とてもありがたいことです。
でも――あの頃の私は、作品そのものに、本当に向き合えていたのか?
今振り返ると、少し怪しいのです。
コンテストの結果が発表されて、周りから次々に、「通過しました!」という報告が流れてきます。
「おめでとう!」
そう思う気持ちは、本物でした。
でも同時に、
「どうして自分は……」
と思ってしまう自分もいた。それがまた嫌でした。
人の成功を素直に喜びたいのに、自分が落ちていると苦しい。
頑張って書いて、調べて。
それでも結果が出ない。
しばらく落ち込みました。
* * *
そして、少しずつ考えるようになりました。
自分に足りないものは何だろう、と。
文章力? 構成? 設定?
タイトル? 流行?
もちろん、どれも必要です。
でも、自分の昔の作品を読み返したり、他の作品を読んだり、評価シートをもらった作品を直したりしていく中で、私は一つのことが気になるようになりました。
「このキャラクターって、どんな人なんだろう?」
ということでした。
昔、私の作品を読んでもらった時にも、
「文章は悪くない。でも、この子がどういう子なのか、もっと知りたい」
というようなことを言われたことがあります。
何が好きなのか、何が嫌いなのか。
どういう時に怒るのか。
好きな人の前ではどうなるのか。
怖い時には強がるのか、泣くのか。
嫉妬したら黙るのか、怒るのか、それとも笑って誤魔化すのか。
設定欄に、
「優しい性格です」
と書くだけでは、キャラクターは生きてこない。
その人が、その場面で何を欲しがり、何を怖がり、どう動くのか。
そこまで書いて、ようやく「この人」が見えてくる。
そんなことを考えるようになりました。
そこで私は、ちょっと変な方向へ行きます。
R18作品を書いてみよう!
となりました(笑)
念のため書いておきますが、
「R18を書けばポイントが増える!」
という話ではありません。
(挑戦してみたかったし笑)
そんな攻略法があるなら私が教えてほしいです。
私がR18を書こうと思った理由は、別にありました。
欲望をごまかせないからです。
一般向けの作品を書いていると、
「好き」
「大切」
「守りたい」
という言葉だけでも、ある程度は場面を進めることができます。
でもR18になると、それだけでは足りません。
この人は、本当は何を求めているのか。
どこまで相手に触れたいのか。
逆に、どこでは踏みとどまるのか。
相手が傷ついていたらどうするのか。
嫉妬したらどうなるのか。
普段冷静な人が、好きな相手の前でも本当に冷静でいられるのか。
そういうところから逃げにくくなる。
言ってしまえば、
キャラクターの「社会用の仮面」を剥がす練習
みたいなものだったのかもしれません。
たとえば、普段は完璧で冷静な男がいる。
誰に対しても淡々としていて、女性から人気があっても興味を示さない。
それだけなら、
「クールなイケメン」
です。
でも、実は幼い頃から大好きな女の子がいる。
彼女の前だけでは感情を制御できない。
格好良くありたいのに、余裕がなくなる。
迷惑をかけたくないから遠ざける。
でも、本当はずっとそばにいたい。
……となった瞬間。
私の中では、ようやくその人が「キャラクター」になります。
今回、ムーンライトノベルズに投稿した短編でも、そこをかなり意識しました。
王道の設定、王道のシチュエーション。
それ自体は、珍しいものではないと思います。
でも、
「この男なら、この時どうする?」
「この女の子だから、この言葉を言うんじゃないか?」
というところは、かなり大切にしました。
そして面白いことに、私はキャラクターを最初から全部設計できるタイプでもありません。
書いている途中で、
「あ、この人、こんなこと言うんだ」
と自分でも気づくことがあります。
そこから前半へ戻って、
「だったら、ここにこの描写を入れておこう」と直す。
後から見れば伏線に見えるけれど、実際は、書いている途中でキャラクター本人に教えられたことを、前へ戻って埋め直しているだけだったりします。
最近は、これがとても楽しい。
そしてR18作品を書いていて気づいたことがあります。
欲望って、性的なものだけじゃないんですよね。
認めてほしい。一番になりたい。
この人だけには弱い自分を見せたい。
離れたくない。格好悪いと思われたくない。
嫉妬してしまう、守りたい。
触れたい、でも傷つけたくない。
全部、欲望です。
そこを具体的にすると、キャラクターの輪郭が急に濃くなる。
逆に、
「主人公は優しい」
「ヒロインは主人公が好き」
と説明しているだけでは、なかなか読者の心までは届かない。
私は以前、 物語を進めるために必要な文章
ばかりを考えていた時期がありました。
でも今は、 一見するとストーリーの進行には必要なさそうな、
好きな食べ物、ちょっとした嫉妬。
くだらない会話、拗ねた顔。
強がり。 触れようとして、やめた手。
そんなものが、後になってものすごく大きな意味を持つことがあると思っています。
事件の伏線ではなく、
感情の伏線。
それが積み重なった時に、
「ふーん、面白かった」
ではなく、
「このキャラ好き」
になってもらえる。
少なくとも私は、そういう作品を書きたいと思うようになりました。
そして今回。 描写力、とくに人物の感情や欲望を書く力を鍛えたいと思って挑戦したR18短編が、初めて4桁の評価をいただきました。
もちろん、
「R18を書いたから1000ポイントになった」
なんて単純な話ではありません。
タイトルやジャンル、投稿タイミング、ランキング、読者さんとの巡り合わせ。
いろいろなものが重なった結果だと思っています。
運だって絶対にある。
それでも。
昔の私が、
ランキングを何度も更新しながら、
「どうして☆が増えないんだろう」
と悩んでいた頃から比べると、
少しだけ見る方向が変わった気がします。
「どうすれば☆をもらえるか」ではなく、
「どうすれば、このキャラクターをもっと好きになってもらえるか」
考えていることは、今はこちらの方が多いです。
皮肉なことに。数字を追いかけることから少し離れて、作品そのものをどう面白くするかを考え始めたあとに、
今まで届かなかった数字へ届きました。
もちろん現在、
1000ポイントを超えた数字を見て、
私はめちゃくちゃ動揺しています。
人間なので。
ランキングも見ています。
めっちゃ見ています。
「数字を気にしなくなりました!」
なんて格好いいことは言えません。
むしろ今、株価チャートを見るみたいに作品情報を開いています。
でも、昔とは少し違います。
数字の向こうに、
「クレイとアイリスを好きになってくれた人がいるのかもしれない」
と思えるようになりました。
それが、すごく嬉しい。
コンテストに落ちたことも。
悔しくて泣いたことも。
周りの通過報告を見て、自分と比べてしまったことも。
評価シートと睨めっこしたことも。
作品を書き直したことも。
R18なんてどう書けばいいんだ、と悩みながら書いたことも。
無駄ではなかったのかもしれません。
* * *
まだ私は、何者にもなっていません。
書籍化したわけでもありません。
これからまた普通に落ちるでしょうし、数字が伸びない作品も書くと思います。
でも。
少なくとも以前より、
「キャラクターを書く」ことが好きになりました。
そして、前より少しだけ、
自分のキャラクターを信じられるようになりました。
なので、もし今、 ☆が増えない。
ランキングに入れない。
コンテストに落ちた。
周りばかり通過している。
そんなことで苦しくなっている人がいたら。
数字を見るのをやめろ、とは私は言いません。
私も見るから。
ただ、ときどき作品の中へ戻って、
こう考えてみるのも面白いかもしれません。
「この子は、本当は何が欲しいんだろう?」
その答えを探しているうちに、
今まで知らなかったキャラクターの顔が見えてくるかもしれません。
そして私は今後も、一般向けもR18も関係なく、
もっともっと、
「このキャラ好き!」
と言ってもらえる人物を書けるようになりたいです。
……というわけで。
描写力を鍛えたくてR18を書き始めた作者、
なぜか短編で初の4桁を達成しました。
人生、何が繋がるかわからないものですね。
読んでくださった皆さま。
本当に、本当にありがとうございました。
そして――。
次に作品を書く時も、ポイントより先に、
「この子なら、どうする?」
から考えてみようと思います。
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