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創作論エッセイ

【小説技術】セリフに頼らないファンタジー設定の出し方

作者: はまさん
掲載日:2026/04/22

 ファンタジー小説での、ごく初歩の話。設定をどう提示するかで、初心者がやらかしがちなんですが。セリフで全て喋ってしまう。


《例》

「かつてナンタラという国がかくかくしかじかで滅びました。私はその姫なのです」

「そうか」


 これ典型的な悪例です。


 設定解説をね、わざわざセリフでやる必要性ある? セリフというのは、キャラ独自の口調や受け答えと言ったノイズが入るもの。

 もちろんキャラの会話を楽しみたいなら、そうしたノイズこそ大切でしょうけど。解説やるなら、単に邪魔なだけ。

 解説なら解説だけやってほしい。


 ならばどうするか。答えは簡単。地の文を使えばいい。


《例》

「私はナンタラの姫なのです」

「あの!?」

ナンタラの国はかつて、かくかくしかじかで滅んでいる。


 こうすれば会話は会話で楽しめる。解説は一箇所にまとめられ、読みやすくなる。

 情報を伝えるにも、伝えるに相応しい文体を選ぼう。


 そもそもが、セリフとは地の文の一形態なんです。例えば


・彼女は言った。「おはよう」

・彼女はおはようと言った。

・彼女は朝の挨拶をした。


 と三つの例文。

 下になるほど、セリフが地の文の中に埋もれるようになっている。

 大昔の文学では、セリフにはカギカッコなんてなかった。地の文の中で直接、太郎はこう言った、と説明していた。


 このへん直接話法とか間接話法という種類があるけど、それは省略するとして。

 セリフやるなら、セリフやるなりの効果を出せ。セリフの効果、それはキャラの描写だ。キャラの魅力を出せないなら、セリフで説明するな。

 なので解説セリフというのは、手法として下の下になる。


 というか地の文で世界設定を全て解説するというのも、ファンタジーやる上ではまだ下手なうち。基本はストーリーの中で出すもの。


《例》

「あの絵画は」

「ご存じですか」

「私の母です」

男は察した。あの絵に描かれた国は既に滅んでいる。


 みたいに。


 すると、それじゃあ考えた設定を全て解説できないだろう、みたいな文句いう人が出てくるけど。ファンタジーの設定を出すコツ、二つ目。

 本筋と関係ない情報は削れ。

 例文の場合なら、「女は亡国の姫である」と伝えられればいい。その国がどう滅んだかの情報は不要なら、今は書かない。


 そもそもファンタジーが下手な人は、その「自己紹介」における情報の取捨選択が下手。

 読者は主旨に沿ってストーリーを読んでいる。なのに関係の薄い話をされても、ダレるだけ。

「私は亡国の姫。ところで今朝の朝食は目玉焼き」

 とか言われても、どうでもいいだろう。


 設定は、基本的にストーリーの中で「見せる」。解説は最後の手段。解説セリフは下の下。

 その上で語れない設定があるなら削れ。むしろ最初から、そんな要らない設定を作るな。


 読者がファンタジーを読むというのは、観光に来ているようなもの。珍しい光景を見たくて、この世界に来ている。

 そこに口うるさい人がやってきて、ずっと解説されても興ざめにしかならない。ファンタジーだからこそ、光景を見せろ。面白い奴らと会わせろ。


 と、ここからやっと描写力とか、キャラ立てといった小説の基礎力の問題になる。

 セリフ頼りの人というのは、表現したいことが頭の中で小説になっていない。恐らく漫画のコマとか、ゲームの立ち話をイメージしているんじゃないだろうか。そのへん読書不足もあるかもしれない。


 だから脱・セリフ依存は初心者の第一試練として定番。

 意識してやってみようね。


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― 新着の感想 ―
僕の小説では説明キャラみたいなの導入しましたが、確かに違和感マシマシになってしまうんですよね、まぁそのキャラの説明一切聞かなくてもストーリーは追えるようにはしてるんですが
こんにちは。 >本筋と関係ない情報は削れ。 本当にその通りです。 でも、なかなか実行できないんですよ。 なぜなら、書いている人間が「本筋と関係ない」のに、「本筋と関係ある」と思ってしまっているから…
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