【小説技術】セリフに頼らないファンタジー設定の出し方
ファンタジー小説での、ごく初歩の話。設定をどう提示するかで、初心者がやらかしがちなんですが。セリフで全て喋ってしまう。
《例》
「かつてナンタラという国がかくかくしかじかで滅びました。私はその姫なのです」
「そうか」
これ典型的な悪例です。
設定解説をね、わざわざセリフでやる必要性ある? セリフというのは、キャラ独自の口調や受け答えと言ったノイズが入るもの。
もちろんキャラの会話を楽しみたいなら、そうしたノイズこそ大切でしょうけど。解説やるなら、単に邪魔なだけ。
解説なら解説だけやってほしい。
ならばどうするか。答えは簡単。地の文を使えばいい。
《例》
「私はナンタラの姫なのです」
「あの!?」
ナンタラの国はかつて、かくかくしかじかで滅んでいる。
こうすれば会話は会話で楽しめる。解説は一箇所にまとめられ、読みやすくなる。
情報を伝えるにも、伝えるに相応しい文体を選ぼう。
そもそもが、セリフとは地の文の一形態なんです。例えば
・彼女は言った。「おはよう」
・彼女はおはようと言った。
・彼女は朝の挨拶をした。
と三つの例文。
下になるほど、セリフが地の文の中に埋もれるようになっている。
大昔の文学では、セリフにはカギカッコなんてなかった。地の文の中で直接、太郎はこう言った、と説明していた。
このへん直接話法とか間接話法という種類があるけど、それは省略するとして。
セリフやるなら、セリフやるなりの効果を出せ。セリフの効果、それはキャラの描写だ。キャラの魅力を出せないなら、セリフで説明するな。
なので解説セリフというのは、手法として下の下になる。
というか地の文で世界設定を全て解説するというのも、ファンタジーやる上ではまだ下手なうち。基本はストーリーの中で出すもの。
《例》
「あの絵画は」
「ご存じですか」
「私の母です」
男は察した。あの絵に描かれた国は既に滅んでいる。
みたいに。
すると、それじゃあ考えた設定を全て解説できないだろう、みたいな文句いう人が出てくるけど。ファンタジーの設定を出すコツ、二つ目。
本筋と関係ない情報は削れ。
例文の場合なら、「女は亡国の姫である」と伝えられればいい。その国がどう滅んだかの情報は不要なら、今は書かない。
そもそもファンタジーが下手な人は、その「自己紹介」における情報の取捨選択が下手。
読者は主旨に沿ってストーリーを読んでいる。なのに関係の薄い話をされても、ダレるだけ。
「私は亡国の姫。ところで今朝の朝食は目玉焼き」
とか言われても、どうでもいいだろう。
設定は、基本的にストーリーの中で「見せる」。解説は最後の手段。解説セリフは下の下。
その上で語れない設定があるなら削れ。むしろ最初から、そんな要らない設定を作るな。
読者がファンタジーを読むというのは、観光に来ているようなもの。珍しい光景を見たくて、この世界に来ている。
そこに口うるさい人がやってきて、ずっと解説されても興ざめにしかならない。ファンタジーだからこそ、光景を見せろ。面白い奴らと会わせろ。
と、ここからやっと描写力とか、キャラ立てといった小説の基礎力の問題になる。
セリフ頼りの人というのは、表現したいことが頭の中で小説になっていない。恐らく漫画のコマとか、ゲームの立ち話をイメージしているんじゃないだろうか。そのへん読書不足もあるかもしれない。
だから脱・セリフ依存は初心者の第一試練として定番。
意識してやってみようね。




