第12話 暴力は全てを解決する(たぶん)
※クレーネ視点※
(どうして、どうしてこんなことになったの……っ)
目の前に広がる死屍累々のように倒れている護衛達を見て、クレーネはがくがくと震えた。
リネアに護衛がやられて屈辱をうけたその次の日。
クレーネはすぐさま実家にたより、腕のたつ護衛を複数送ってもらった。
(今度こそ、リネアを屈服させて、私が調教してやるんだから!!)
そうクレーネが思い、魔道師からなにから世界で名をはせたレベルの騎士達まで今回はかけつけたのに、それすらリネアにあっさりとやられてしまったのだ。
兄に、最強の護衛だと言っておくられてきたものたちは、5分もたたないうちにリネアにやられてしまったのである。
「ねぇ、これはどういうつもりかしら、クレーネちゃん?」
リネアが血まみれになった拳をテーブルにあったナプキンで拭きながら笑顔で聞いてくる。
(うそよ、リネアを虐める立場なのは私、カミラ様を虐めたリネアの心根を入れ替えてあげるのも私のはずなのに、なんでこんな屈辱を私がうけないといけないの!?)
しりもちをついたままの状態で、後ずさるが、そんなものも構わず、リネアはにっこり笑いながらクレーネに歩みよってくる。
「普通は前回で心が折れるんだけどね。あれで折れないなんて、本当かわいい子♡」
そう言ってリネアは血まみれの聖衣のままにたぁっと笑った。
※レティア視点※
かたかたかたかた
クレーネの部屋で。
私と向かい合ってお茶を飲むクレーネの手がかくかくと震えている。
今回は少しきつめの調教あとなのでまぁ仕方ないだろう。
「クレーネ。カミラにはちゃんと私を虐めているって報告してくれてる?」
私がにっこり笑顔を浮かべて聞くと、クレーネが震えながら頷いた。
リネアを威圧していた立場から、威圧される立場になるのはさぞ屈辱的だろう。
私と仲良くティータイムの時間は地獄の時間に違いない。
クレーネ自身がリネアを虐めるために設定したお茶会。いびるために設定したそのお茶会が自分を苦しめるなんて、なんて自業自得なのかしら。これが毎日あるなんて最高♡
毎日お茶会の時間に怯えているとおもうと楽しくて仕方ない。
いつ暴力をふるわれるかという恐怖におびえていたリネアの気持ちを味わうといい。
まぁ、小物のクレーネは今のところ大事な金ずるなので、現時点で断罪するつもりはないが。
あくまでも今のところである。
まずは大元のカミラを処さないと。
カミラの前ではまだ気弱で逆らえないリネアを演じ続けるため、クレーネにはカミラに毎日私を虐めているという嘘を報告させている。
「ところで、私の婚約者予定の第二皇子ウィル殿下ってどんな人なのかしら?」
「は、はい! 従者に暴力を振るい、我儘の酷い傲慢皇子と言われています」
「悪い子ね。私がそんな表向きの情報が欲しいと思っているの?それ以外の情報は?」
私が言うと、クレーネはぶるぶる震えながら
「も、申し訳ありません、それ以上の情報は……」と涙を流し始める。
「役にたたない子ね?」
と、指で顎をくいっとやると、真っ青になって泡を吹き始めた。
今皇室は皇帝が病に伏せってから皇妃が実権を握っている。わが子、第一皇子のアンヘルLOVEの皇妃が流した第二皇子の噂などあてになるわけがない。彼女は第一皇子のアンヘルを皇位につけるために、第二皇子を虐げている。リネアの記憶をだけで皇妃がいかに親馬鹿で溺愛しているかはわかる。正直気持ち悪いレベルだ。
だが、クレーネの怯えっぷりを見ると知らないは嘘ではないだろう。
第一皇子と婚約者だったリネアですら会ったこともないのだ。
一令嬢のクリーレが知らないのは当然だろう。
かといって敵側のクレーネに調べろなんて命令しても貴族令嬢ができることなどたかが知れている。
嘘かどうか調べる手間ができてしまう分、最初から自分で調べたほうがはやい。
(もう少し情報を収集できる伝手を探さないとね……)
私はテーブルに置かれた豪華なお菓子を食べながら思うのだった。
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