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序章3 魔法を教える

今回もご覧頂きありがとうございます。

トントン

ノックが聞こえる。ああ、朝か。

そういえば昨日から美少年が私の元に来たのであった。彼だろうか。

急いで飛び起き、寝癖がないか確認しまだ覚めきっていない声で返事をする。

扉を開けると案の定金髪の少年が立っていた。

ウィル「昨日は沢山ありがとうございました!らいやーさん朝ごはんをご一緒に行きませんか?ご飯を食べる位なら持っているのでお礼をさせてください」

真面目な子だな。別に保護者としてやるべき事をしているだけなのに。

ご飯を奢ると言われたのは初めてだな。すこし口角が緩む。

らいやー「ありがとう。気持ちで充分。それはもっと必要な時が来る」

断られてシュンとしてしまったウィル…ケモ耳があったならきっと頭の上にしなしなと倒れ込んでいることだろう。

子犬のようで、悪いことをしてしまったという気分になる。私は慌てて

「ご飯行こう。ギルドでも?」と提案する。ウィルは断られたのがショックだったようですこし目を下に向けている。どうしてもお礼をしたかったのだろう。

答えてくれのはお腹だった。

ぐぎゅううううううう…

ウィル「…いきます」恥ずかしそうに顔が下を向いた。


朝食が終わり、クエストボードには人が群がっている。いつもの光景だがウィルには新鮮だったようだ。釘付けになっている。

本当に14歳なのだろうか、時々もっと幼く見える。

らいやー「ウィル、魔法練習しようか」

パッと私に視線が向き爛々と輝いた表情が刺さる

ウィル「ほんとですか!!いいんですか!!うわぁ!!」これは。期待に添えるだろうか…

席を立ち、ギルド向かいの演習場へ向かう。

ウィルがとたとたと慌ただしく着いてくる。


演習場にはガッツがいた。昨日ぶりだ。

ガッツがこちらを見るなり駆け寄ってくる。

ガッツ「おはようございます!何用ですか〜!」

らいやー「ガッツ、ここ魔法使う。」

ガッツ「分かりました!どうぞ!ただエクスプロージョンだけはやめてくださいね」すこし苦い笑いを浮かべている。エクスプロージョンは私がガッツに最初に打った魔法だ。厳密にはエクスプロージョンもどきなのだが。

この演習場の設備が新しいのはその為だ…

ガッツは足早に向かいのギルドへ向かったようだ。

演習場の使用許可を出しに行ってくれたのだろう


らいやー「ウィル、手を出して」今から行うのは手っ取り早く誰でも魔法が使えるようになる儀式だ。もちろん半端な人がやれば自身もろとも魔法が使えなくなる危険な儀式ではあるが、その点は私に掛かれば問題ない。魔法の回路を刺激して無理やり開けて使えるようにするのだ。

ウィルはおずおずと期待と少しの緊張を持って手を差し出した。

らいやー「やー」

私の手とウィルの手が暖かな光を放つ。ウィルの体の隅々まで魔力を流す。いい回路を持っている

らいやー「とりゃー」バチバチと音を立ててウィルの全身が光る。少々強めに流して拡張も行う。

ウィル「うわわあああッ!!」驚いたのだろうすこし体制をグラグラさせている。車酔いのような感覚のはずだから当然だろう。

らいやー「せーい!」ウィルの頭の上に演習場を覆い尽す半径5メートル程の魔法陣が現れる。足りない部分は今から私が作ってやろう。ついでに回路破壊を防ぐための防御陣をオマケして。

らいやー「回路精製」その言葉と同時に魔法時は淡く光を放ち消えた。

らいやー「よし、ウィルくん行くよ」

ウィルは手を離し咄嗟に防御の構えを摂る

初日にガッツにやられたことを身をもって覚えているようだ。

防御の構えと同時に私は火の玉をウィルに向かって放つ。

らいやー「火球」

火の玉がウィルに当たる直前、ウィルの前に光の文様が現れ火の玉と共に消失した。

らいやー「出来てる。ウィル、魔法は意志の力。あなたが守りたいと思ったから守る魔法が出た。」

ウィルはポカンとしている。恐らくあまりにも呆気なく魔法を習得してしまったからだ。

ウィルは未だに両手を見ている。

らいやー「ウィルくんが使えるのは光に関連するものだけ。防御やカウンターに強化。力の流れとかは追追掴めてくると思う。とにかく回数やる。」はウィルに杖を向ける。

ウィル「分かりました!やります!」

力強い目は私の杖を捉える。

これならもっと沢山魔法が打てるところに言ってもいいかもしれない。

らいやー「じゃあ、移動」その言葉はウィルと私を光で包み見知らない山奥へと運んだ。

ウィルは周りを見て驚いている。

ウィル「らいやーさんこれって!!」そう。転移魔法…ではなくすっごく早くウィルを抱えて移動しただけ。

私もそこまで凄いものは使えない。ウィルも分かっているようだ。昨日銭湯に行く時にすごくゆっくり見せたし。

ウィル「らいやーさんのことこれから師匠って呼んでもいいですか?」急に!?

師匠!?私が…その言葉はあまりにも甘美な響きを私の心にもたらす。誰だって呼ばれてみたいその名称で私を呼んでくれる…だと…私は動じてるのを悟られぬように、なるべく、師匠らしく

らいやー「も、モチロン」すこし声が裏返ってしまった。

ウィル「師匠!」今から何をするのか聞きたくて仕方の無い顔をしている。

らいやー「ゴホン。これより行うのは魔力操作。ひたすら私からの攻撃を受けるだけ。カウンターもしていい。攻撃を私に当てた時点でこの訓練は終わり。」ウィルは理解できないという表情をしている。まだ魔力の形すら理解していないのだから当然だろう。

ウィル「師匠、質問は」

らいやー「だめ。始める。時間が惜しい」

私は地面に杖を刺した。狙ってくるなここ。案の定ウィルは私に向かって剣を振りかざそうとしている。

「甘い。展開」私を中心に大地が波打つ。周りの木々は倒れ鳥たちは慌てて空へと逃げる。ウィルは体制を崩すまいと踏ん張り、私目掛けて飛んだ。普通の人間の脚力では無い…

らいやー「鎌鼬」驚きつつも攻撃を仕掛ける

ウィルへ見えない風の攻撃が襲いかかる。ガガンッと鈍い防いだ音が響き

らいやー「続けて、火球」数の指定などありはしない。

私の魔力の1パーセントを分割して魔法に起こして居るから数など当人も分かりやしない。

ウィルはありえないと言う顔をする間もなく

火の玉の嵐に襲われる。この程度で死にはしないだろうけど、立てない位にはなるはず。やりすぎてしまっただろうか。噴煙の中かから影が見える。魔法を覚えてまだ1日も経っていない彼が、今のを防ぎきるなど想定外もいいとこだ。私の体のそこから強者に出会った時のようなワクワクが湧いてでる。

ウィル「師匠加減ありがとうございます」そう言いながら私の懐を目指している。

らいやー「無駄口叩けるならこれはどう?小鬼火」この炎は厄介だ。防いだあとも地面に残り続ける。私の魔力が尽きるか雨が降るまで。

「うわっ!」と言うウィルの声と共に小鬼火はウィルに当たっては消え、周りに飛び散る。

飛び散った小鬼火は防壁に当たり弾かれる音が何重にも聞こえる。そしてその音は徐々に小さくなっていく。火が減るということはありえないのだが、何故だろうか。煙が引きウィルが見える

らいやー「ウィル。面白い」久しぶりに出会った。戦闘の中で成長する生物に。

ウィルは防壁を足に集中させ立っていた。普通であればあの技は魔力の流れを理解してなければ出来ない。それを土壇場でやってのけた。この戦いの先が楽しみでならない。

ウィル「やー!!!」突進を仕掛けてくる

距離は2メートル程。この程度であれば魔法を発動する時間は充分にある。

らいやー「爆発」俗に言うエクスプロージョンもどきである。これは人が死ぬレベルではあるがウィルであれば防げるだろう。

噴煙の後、ウィルの姿は見えなかった…

「やって…しまっ…」丸焦げになった森をみて、杖を落とす…本当に…ああ…辺りには焼けた森、爆発範囲外には青々とした森があるだけ。ウィルの姿は無い。

ウィル「師匠!こっちですよ〜!」明るい声が空から降ってくる。なんということだろうか、彼は

エクスプロージョンもどきの知識などないと言うのに、見て、抜けたのか。内側から外側に広がる断続的な爆発が膨れ破裂する魔法を…

初見で足に纏った防壁とカウンターを利用し範囲外へ逃げたのだ。そして小鬼火をカウンターに利用して森からここまで詰めてきたのだ。

素晴らしい戦闘センス。これならどこに出しても喜んで教えてくれることだろう。


そうして私の幻影はウィルに貫かれた。


空から一連の流れを見ていた本体の私が偽物から送られてきた情報は以上だ。

誰が敵の前で使うというのか。それはよほどのアホかバトルメイジくらいだ。

私の幻影は意識を共有できるので刺された感覚も残っている。相変わらず慣れないものだ。


ウィルは私を刺して慌てているが

消えたことに驚き辺りを見ている。


らいやー「お疲れ様、お見事ウィル」

空からウィルの前に降りる

目の前に現れた私を見て安堵の表情を浮かべる。

らいやー「カウンターと防壁をあれだけ使いこなせれば怪我はせずに済む。」ウィルの頭を軽く撫でる

ウィル「わぁ!師匠!ご期待に添えて嬉しい限りです」すすだらけの顔はまだ余力を残しているようだった。

らいやー「ご飯とお風呂行こう」

辺はすっかり日が落ち獣達の時間が近づいていた。

ウィルの手をとり銭湯を目標に飛ぶ

「移動」

あっという間に銭湯の前へ着く。

すすだらけのウィルは私に手を振りながら

「行ってきます師匠〜!」私は手を振り返す。

さて、私もすすだらけ。宿の前に着くなり指をパチンと鳴らし汚れを落とす。

本来私は呪文を唱える必要などないのだけども、ウィルのお手本にならないと思い一応適当に言っている。


部屋につき、窓を空け

月明かりに照らされた街並みは変わることなく今日も明日が来ることを待っている。そんな街に青く光る魔力で出来た蝶がヒラヒラと私の手元へ届くのだ。

どこから嗅ぎ付けたのだろうか、私が連絡をするより早くあちらから声がかかるとは。

ちょうどいい。ウィルには剣を教える人が必要だ。

返事を描き赤い蝶を飛ばす。


コンコンと戸が音を立てる

「師匠!おやすみなさい!」

らいやー「おやすみなさい」


本当に濃厚な2日だった。パーティとはこういうものなのだろう。楽しいものだ。

静かに眠りにつく。


次回剣術と依頼

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