初雪と毛玉
「みっ!」
雪だ!
朝起きたら、妙に床が冷える。
そして、パパがカーテンを開けて気が付いた。雪が降ってる! 初雪だ! と。
わたし、前世は雪国出身だからねー。懐かしい。毎年、とんでもない量の雪が降って、雪かきが大変なんだよ。
でもここは都心に近いので、あまり降らないと思う。そう思うと、大変だけど、あの豪雪が懐かしい。
***
朝食を食べた後、わたしはリビングで一人遊び。とは言っても、手足がないも同然だから、絵本も捲れないし、ぬいぐるみも積み木も持てない。
飛び跳ねて食後の運動をして、テレビを見て過ごす。
パパがいると、パパが代わりに絵本を読んでくれたり、積み木でなにか作ってくれたりするんだけど。でも今、パパはお風呂掃除や洗濯に忙しい。
今日は窓の外を見て、ちらちら降ってくる雪を眺める。意外と楽しい。
すると、リビングのドアが開いた音がした。
開けた人物は、一人しか該当しない。
「みみっ!」
パパ!
と振り向いたわたし。だが、入ってきたのは、股下一メートル疑惑があるあのイケメンパパではなく、銀色の毛玉。
「みみっ!?」
誰!?
「み」
パパだぞ。
…………あ、なんとなく、なんかよくわからないけど、この毛玉がなにを言ってるかがわかった。
「み? みみ?」
パパ? 本当に?
「みみみ」
本当。おいで。
と言われたので、謎の毛玉改め、パパに近寄る。
わたしよりも二まわりぐらい大きい。パパの毛の方がキラキラしてる。やっぱりパパの毛は綺麗!
「みみーっ」
パパーっ。
抱き付……けない。腕がないから。なので擦り寄る。
パパも顔をこちらへ寄せて、すりすりしてくれた。もふもふ。
「みみみー?」
なんでパパも毛玉になってるのー?
「みみ。みみみ」
寒いから。人間は毛皮がなくて寂しい。
ソファーの上で二人……二匹? 寄り添って、おしゃべり。
「みみみ?」
パパが毛玉なのは嫌?
パパはきゅるんとした目でわたしを見てくる。
「みっ! みみ!」
嫌じゃない! パパだいすき!
わたしはもう一度、抱き付……けないので、パパにタックル。
…………ところで、「み」がゲシュタルト崩壊しそう。大丈夫?