海リターンズ! 〜幼女を添えて〜
転生して、二度目の海!
ちなみに、去年は入院していたから来れなかった。
一歳を目前に死んだ兄、二歳を目前に死んだ姉を持つ中、無事に三歳の誕生日を迎えられました。おかげで、パパは再び大号泣。慰めるのが大変だった……。
今年もまた、ダイドさんが勝手にくっついて来た……
と思ったら、見知らぬ幼女を連れている。その姿に、パパもわたしはドン引きした。
「みぃ……」
とうとう幼女にまで手を……。
パパはわたしを守るように抱き締める。
「真白の半径三百メートル以内に近付くな。そして俺と縁切り神社に行こう」
「なんでぇ!?」
ダイドさんは慌てて幼女を示す。
「違うよ! 前に話したじゃん! この子は俺の娘のヴィオラちゃん!」
あ、菫の妖精ヴァイオレットさんが産んだ娘だという、ヴィーちゃんか。
確かに、すっごく可愛い。菫色のワンピースタイプの水着が似合ってる。父親が美形だからかな。いや、でもダイドさんとはあまり似てないかも。お母さんも美人で、母親似なのかな。
「ほらヴィーちゃん、ご挨拶して」
ダイドさんに促されたヴィーちゃんは、おずおずと口を開いた。
「ヴィオラ……さんさい……。よろしく……」
消え入りそうな小さな声。人見知りなのかな?
「みみっ」
真白です! よろしくお願いします!
「娘の真白だ。同い年だから、よければ仲良くしてやってほしい」
パパが代わりにわたしを差し出しつつ、紹介してくれる。
恐る恐るわたしを受け取ったヴィーちゃん、すぐにパッと笑顔になる。
「もふもふ!」
「みっ」
ふふん。そうでしょ。
父親二人が見守る中、わたしとヴィーちゃんは貝殻拾い。例によって、わたしは自分で拾えないけど。
「これ、ましろちゃんみたい……!」
「み?」
そう?
ヴィーちゃんが拾った貝殻を見せて来る。
「しろくて、ちっちゃくて、かわいいの」
「みーっ」
やーん。可愛いなんて、照れるー。ヴィーちゃんもすっごく可愛いよ!
「ダイドの娘とは思えんな」
パパも後ろでボソッと言う。
「なんでぇ!? それを言うなら、真白ちゃんだってそうなんだけど!」
失敬な! パパとわたし、似てるでしょ。丸くてもふもふで、おめめも大きくて!
「パーたちうるさいから、あっちいこ」
「みっ」
OK〜。
「えぇっ!?」
ダイドさんがショックを受けたような顔をしたけど、わたしはヴィーちゃんと波打ち際へ。
「ましろちゃんのおとうさんはかっこよくて、あたまよさそうでいいなぁ」
「み? みみ」
そ、そう? えへへ。
「それにくらべて、ヴィーのパーはあたまがパーだし……」
ん? パーって、パパを短くしたとかじゃなくて、頭がパーって意味だったの?
「ママが、パパはあたまがパーなのよっていつもいってるんだ」
愛人にも言われてんのかよ。
その時だった。
「へーい、そこのキミ! 一人? かっうぁいーねぇー!」
「もし良ければ、オレらと遊ばなーい?」
水着姿の男が二人、話しかけてきた。どっちも大の大人。なんの種族かは知らないけど。
って、ちょっと待て。こっちは三歳児ぞ? ロリコン?
まぁ、ヴィーちゃん、めちゃくちゃ可愛いから気持ちはわかるけど。でも、わたしはもふもふの三歳児だから許されるんだ! 大人の男であるお前達は大人しくすっこんでろ!
「えっ……。え、あっ……」
突然、見知らぬ男に話しかけられたヴィーちゃんは、青褪めて震えてしまった。
少しでも安心させようと、わたしは自らヴィーちゃんの腕の中にダイブ。しっかりわたしを受け止めたヴィーちゃんは、ぎゅっとわたしを両腕で抱き締めた。
でもまぁ、
「「うちの娘になにやってんだぁぁぁぁぁ!!」」
パパとダイドさんはちゃんとわたし達のことを見守っていたんだけど。
勢いよく走り寄ってきたイケメン二人に、ロリコンナンパ野郎共もびっくり。
二人は片手でそれぞれナンパ二人の腕を掴むと、そのまま海へ投げ入れた。
「「海妃でもナンパしてこいっっっ!!」」
…………なんか、既視感があるんだけど。まぁ、いっか。