これのどこがエンタメにゃ
マドカの私服はこちらです(外部サイト)
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集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)
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懲りるどころか、人を辱しめたエンドラゴンを懲らしめてやった。
乙女の女体を安売りするような奴には当然の報いだ。
まったく、アタシの身体をなんだと思っているのか。
もっとも、こうして小さくなっているクソトカゲを虐めたところで、本当に聞いているかは謎だ。
最初に出逢った本体は、あんな山のように大きかったのだから。
こっちは分身か何かなのだろうか。
捨てても戻って来る呪いのアイテム状態だし。
本当に面倒なものに懐かれ、もとい憑かれたものだ。
『グァァ、目が回るガネ……』
「ケッ! 一生目を回してろにゃ! それよりも、いい加減にこの恥ずかしい格好を戻せにゃす!」
肌を隠す面積自体は確かに多い¥ドレスだが、厚みというものがまるで無い。
実質ただの全身タイツ。
シルエットは完全に裸と同じようなものだ。
やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
これ以上、生き恥を重ねたくないもの。
だいたい、こんな恰好で歩き回るなんて馬鹿みたい。
『何が不満なんだガネ! 無敵の防御力! そして効果が切れたら硬貨が投げられ復活! まさに無限のサイクル! エンドレスの名を冠した、¥ドレスは最高の防具といっても差支えは無いんじゃないカネ?』
端末の上で胡坐をかくクソトカゲが、心底心外だとばかりに鼻息荒く憤怒している。
所詮はトカゲ、乙女の純情など理解できる脳ミソは詰まっていないらしい。
「その、『復活』の仕方に問題があり過ぎるって言ってるのにゃ!! いちいち裸になる必要ニャんて無いにゃろが!!」
五円玉みたいな黄土色の鱗に包まれたトカゲには分かるまい。
女子の肌はさ、見られたら減るステキ成分で出来てるんだよ!
むやみやたらに見せつけるものじゃないってことをさ!
『バッカもん! 視聴者が求めているものを言ってみるガネ! そう、エンターテインメント、いわばエンタメだガネ! 円を稼ぐために奴等の喜ぶものを見せる……これぞ¥タメ! マネーファイターの基本だガネ!!』
確かに先程も、稼ぐためには恥を捨てろと言われたが、いくらなんでも限度がある。
人として捨ててはいけないラインがあるだろうに。
だいたい、マネーファイターってなんだよ。
勢いに任せなんとなくで変身したけど、意味が分からない。
「んにゃぁぁぁ!!! ああ言えばこう言うにゃぁ! いいから、さっさとモ・ド・セ・にゃ!!」
ともかくコレだ。
まずはちゃんとした服を返せ泥棒トカゲめ。
変身した時に消えたなら、解除すれば元に戻せるのが道理だろう。
『まったくワガママな娘だガネ。 変身した時と同じように、¥トリーデバイスを操作すれば一瞬だガネ』
「ニャんと! さっそくポチっとにゃ!」
左腕の端末に胡坐をかいている邪魔なトカゲを叩き落とし、指先をツツっと液晶に滑らせる。
すると、全身が光に包まれて元の衣装へと還元されていく。
こうしてみると、やっぱり魔法少女っぽい。
「ふぃ~。 服のセンスはともかく、ちゃんとした布生地に身を包むと落ち着……かにゃい!! 肝心なところが戻ってニャいんにゃが!?」
スパッツにジャケットと来て、次いで中のシャツが復元されている途中で止まってしまった。
丸見えである。
咄嗟に腕で隠したが、両腕が塞がってしまった。
仕方がないので、叩き落としたクソトカゲをヒールで踏みつけ白状させる。
「おいぃぃ!! どうニャってるのにゃ!! 話が違うにゃす!!」
『グエェェ!! ギブ、ギブアップ!! ¥ドレスはその名の通り、金を着る服だガネ! 無一文のお前に残された金品なんて服しかなかったから、換金しただけなんだガネ!! お前が身の丈に合わない必殺技なんか使うから、足りなくなったんじゃないカネ!?』
なるほどそういうことか……と納得できるか!
だがつまり、金さえ用意できれば元に戻るのだろう。
「ぐぬぬ……そうにゃ! あの貯金豚が落とした小銭! あれを集めればいいのにゃす! アタシは天才にゃ!」
腕を組むような姿勢で動きにくいが、なんとかカメラに映されないように振り返る。
あれだけ吐き出させただけはあり、辺り一面にポツポツと小さな硬貨が転がっていた。
「あったにゃ!……なんにゃ?」
喜びも束の間、空からの異音に気が付き見上げると、何かが落ちて来た。
「ぷぎっ! ふ、ふごぅ?」
さきほど倒したと思っていたモンスター、スカンピッグだ。
安物ゴム製なだけはあり、ポンポン跳ねて落下ダメージは無いらしい。
そして向こうも何が起きているか不思議らしく、首をひねっている。
「倒したんじゃなかったのにゃ!?」
『ゼニャハハ!! アレはオレ様が練習のために産みだした存在だガネ。 創造主の許可なく消えるわけないだろうカネ』
今更だが、コイツがこの世界で凄い存在らしいというのを忘れていた。
そして、同時に嫌なことも思い出した。
このブタの特徴は……飼い主に似て大の金好き。
「ということは、ま、まさかにゃ……!!」
「ふご! ふごぉぉぉぉぉ!!」
大きな鼻をひくつかせたと思いきや、その鼻の穴を大きく広げて息を吸い始める。
その吸引力たるや、有名な掃除機すらも恐れおののく竜巻のような凄まじさ。
地面に落ちていた小銭は悠々と空の旅へ急行便。
その貪欲で空き腹なお腹へと着陸姿勢を取っていた。
「ギニャァァ!! やっぱりこうなるのにゃぁ!!」
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