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放て必殺の爆¥・ゴールドラッシュにゃ

マドカの変身した姿はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123495

https://tw6.jp/gallery/?id=134602


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319


 野生の(いのしし)に突進されれば、普通の人間ならひとたまりもないとニュースで見たことがある。


 目の前で脚をバタ付かせて天を仰いでいるスカンピッグは、猪というには威厳がないものの身体は大きい。


 それが全力でぶつかって来ても、自分がこうして怪我一つ無く元気だなんて信じられない。


 終始怪しいヤツだが、このエンドラゴン(クソトカゲ)の言うことは本当だったらしい。

 このスーツさえ着ていれば、アタシは無敵なんだ!


(エン)ドレス……にょほほほ! やったにゃ! これさえあれば、アタシはこの世界で最強になれるにゃす! 荒らし回って賞金をガッポリ稼いだら、さっさと借金生活から抜け出せるのにゃぁ!!」


 ゲームの知識が無くても身体がこれだけ丈夫なら、たとえどんな格上相手であろうとままごと遊び。


 いわゆるチートな存在として選ばれたのだ。

 絶対的強者、約束された勝者、逆転一発バラ色人生の始まりである。


 あんなに地獄の底を突き破るくらいまで落ち込んでいたアタシの心は、一気に色を取り戻していく。


 今まではセピア色の(わび)しい視界だった。

 それが時代を跳んで8Kフルビジョンの鮮明な夢の世界を映し出していった。


「にゃ~っはっはっは! アタシは勝ったのにゃ! この人生というゲームに勝ったのにゃす!!」


 誰に見られていようが構わない。

 カメラの存在は意識しているが、自然と出て来る高笑いを誰が止められよう。


 あれだけ不幸な気分に浸らされたのだ。

 この嬉しさをスルメのように噛みしめて、目一杯に楽しまなくては。


『なぁに笑っとるガネ。 勝利の笑みは、キチンと勝ってからするものじゃないカネ? ほれ、敵はまだ生きとるガネ!』


 左腕のデバイスから頭をだしたクソトカゲが、間抜けに転がっていたスカンピッグの方を見ている。


 つられて視線をやると、どうにかあの短い足で体勢を戻して立ち直ったようだ。


 だからどうした。

 どうせ相手にならない雑魚には変わらない。


「ふごぅ、ふごっ! ぷひ!」


 素寒貧(すかんぴん)のくせに鳴き声は『富豪(ふごう)』なのか。

 生意気なやつ。


 あれで一丁前に怒っているらしいが、もう怖くなんてない。

 格の違いというものを見せてやる必要があるようだ。


「おぅおぅ、やる気みたいだにゃ。 にゃっふっふ! ここらでいっちょ、アタシの実力を見せちゃるにゃす!」


 実際はスーツの力だけど、着ているのはアタシなのだから、アタシの実力でいいよね?


 バキバキと拳を鳴らし……とはいかず、女の子らしいフニャフニャの手を揉んで敵と対峙する。


 両者睨み合いの火花が爆ぜる中、先に動いたのはこちら。

 力を得た以上、恐れることなど何もないのだ。


「喰らえにゃぁ! うぉぉ超・必殺・ウルトラ・ハイパー・スーパー・デラックス・猫パンチにゃ!」


 腰の入っていない上に、無駄に大きく振りかぶった素人パンチがスカンピッグの胴にめり込む。


 ところが、ゴムボールでも殴っているかのように、強い弾力で押し戻された拳が帰って来た。


「あにゃ?」


「ふごぅ?」


 スカンピッグは何が起こったのかと不思議な顔を浮かべているが、おそらくこちらも同様の表情に違いない。


 見た目は簡単に割れそうな陶器性のくせに、安物のゴム素材だったらしい。

 こんなの詐欺だ。


 防御力がどれだけ高くたって、攻撃力がないんじゃ話にならないじゃない。


 抗議の意を込めて、デバイスから頭を出しているクソトカゲの首根っこを鷲掴(わしづか)む。


「にゃにゃにゃ!? どうニャってるのにゃ!? 全然効いてニャんだけど!!」


『グエェ!! やめるガネ!! 引っ張るんじゃないガネェ!!』


 グッと力を込めて引き抜くと、またあの肥えて丸々とした身体が姿を現したので手を放す


 オヤジ趣味といい、コイツの身体が中年太りみたいに見えて来た。

 ザ・成金(なりきん)って感じだ。


『ゲッホゲッホ、ええい、ワザを使わないからダメなんだガネ! ここはVR、ゲームの世界だというのを忘れたカネ?』


 そういえばそうだった。

 力に酔いしれていて、少し冷静さを欠いていたらしい。


「確かに……って、お前がチュートリアルをスキップしたから分からニャいんにゃろが! なに偉そうに言ってるんにゃす! 技の出し方をさっさと教えろにゃ!」


 元はと言えば、全てコイツのせいだった。

 罰として、また首を掴んで振り回す。


『アバババ! え、(エン)トリーデバイス! それをタップして技を選ぶだけだガネ! は、放すガネェ!!』


 聞くことを聞けたなら、もうコイツは用済みだ。

 ポイと投げ捨てておく。


 どうせまた光の粒子になって、戻って来るだろう。


「ニャるほど、これのことだにゃ。 え~っと、最初に選べるのは……コレにゃす! ポチっとにゃ!」


 見た目はスマホみたいなものだ、直感で操作することが出来た。


 左腕にハマるそれをツツっとなぞると、両手のガントレットに力が湧いてくるのが伝わって来る。


「キタキタキタ、来てるにゃす! 今度こそ覚悟するにゃブタ野郎!」


 赤熱する両拳、揺れる焔が空気を燃やす。


「必殺……爆¥(ばくえん)・ゴールドラッシュにゃぁ!!」

爆¥・ゴールドラッシュのイメージ画像はこちら(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=144848

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