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無限の力とエンゲージにゃ

マドカの変身した姿はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123495

https://tw6.jp/gallery/?id=134602

 マネーファイト。

 まるで以前から知っていたかのように、口から飛び出した言葉。


 これも、エンドラゴン(あいつ)から影響を受けているからなのかな。


 そんな疑問を頭に浮かべた瞬間、デバイスとセットしたガントレットから光が迸る。


 白く輝くラメ入りの塗料みたいなものは、左腕を伝ってどんどん身体を包み込んでいき、一瞬にして首元まで達してしまった。


「うぉぉい!! 何が起こってるのにゃ!? 服が消えて真っ白になったにゃす!!」


『いいから黙って見ているガネ。 ゼニャハハ!!』


 黙ってなどいられるものか。

 今、この瞬間だって、あのカメラに写されているのだぞ。


 白一色とはいえ、ボディライン丸見えのヘンタイみたいなこの恰好。

 このクソトカゲは、乙女の身体をなんだと思っているんだ……!!


「んにゃ!? ニャんか出て来たにゃ!!」


 あのモンスターが現れたの同じように、データのようなものが身体へ集積していく。


 なるほど、いわゆる魔法少女のように変身するというわけね。

 子供の頃にテレビで見ていたのと同じパターンだ。


 これから可愛いフリフリのドレスを着ちゃうんだろうな。

 魔法なんかも使えちゃったりして。


 流石にそれで喜ぶ歳じゃないけれど、童心に帰れると思うと少し心が(おど)った。


『何勘違いしてるガネ? お前の思い描くような代物じゃぁ客は付かないガネ! もっともっと儲けを狙うなら過激に素敵に思いきるガネ!! ゼーニャハハハ!!』


 ちょっと期待で高揚していた顔が、急に引きつるのを感じる。


 このクソトカゲはまた余計なことをしでかすつもりなのか。


「やっぱり、止めにゃ! ストップ、ストォォォォップにゃぁぁぁ!!」


 渾身の叫びも虚しく響き、無情にも変身は止まらない。


 身体にデータが集まり切ったのか、一際眩く発光して目が眩む。


 目を瞑る前に、辛うじて前方を確認できた。

 モンスターもこの光で怯み、一時足を止めたようである。


「ど、どうニャったのにゃ……?」


 恐る恐ると両目を開いた。

 最初に目に入ったのは、思わず頭を庇うように上げていた両腕。


 左腕はガントレットのままだ。

 だが、右腕にも似たようなガントレットを装着していた。


 それだけではない、二の腕から肩、そして胸元へと目を滑らせると、全身タイツのようなピッチリしたスーツを身に着けていたのだ。


 招き猫のような柄で誤魔化しているが、あまりにも変態な衣装。

 このクソトカゲの趣向は、いくらなんでもエロオヤジ過ぎる。


 こんなもの今時は身体を張った芸人だってなかなか着ないだろう。

 ましてや、うら若い女子に着せていい物ではない。


「ギニャァァ!! なんなんニャこのエロい恰好は!?」


 結局ボディラインが丸見えなのは、先程と何も変わっていないのだ。

 咄嗟(とっさ)に両腕で、胸や股を隠して(うずくま)る。


『バッカもん! 何してるガネ!? そんなことじゃ、視聴者は喜ばないことも分からないカネ? 恥ずかしい思いをしようが、稼ぐためなら手段は択ばずと教えたばかりじゃないカネ!!』


「どアホー!! バカはどっちにゃ!! こんな恰好で動けるわけニャいにゃろが!!」


 色が違うだけでほぼ裸も同然。

 水着の方がずっと健全な見た目だろう。


 これで走り回ろうものなら、頭の心配をされるに決まっている。


『1000円の声¥札(せいえんさつ)が投げられました』

『2000円の声¥札(せいえんさつ)が投げられました』


 そんなアタシのことも気にせず、頭の中にアナウンスの人の声が何度も連続して響く。


 先程まで閑古鳥(かんこどり)が鳴いていたのに、急に金が舞い始めたのだ。


『ゼニャハハ!! そうら、ヤツラはオレ様の意見にそうだそうだと賛同しとるガネ!』


「んにゃぁぁ!! エロトカゲにエロ視聴者どもめ、いい加減にしろにゃす!!」


 そして金が振り込まれていくと、ピコピコと身体から音が鳴っていることに気が付いた。


 左腕の二の腕、それと右脚の太ももの二カ所に目盛り(ゲージ)のついたリングが発しているらしい。


「……なんニャこれ?」


 どうも、高額な金が動くと増減の幅も大きいようだ。

 赤かった目盛りが、今ではほぼ満タンになって青く光っている。


 携帯の充電みたいなものだろうか。


『そいつは(エン)ゲージリングだガネ。 いい感じに金も溜まってきたようだし、戦闘に移るとするカネ。 そら、奴さんはもうその気みたいだガネ』


 説明は結局無かったが、戦闘に関わる物なのだろうか。


 ふと顔を上げると、脚を止めていたスカンピッグが再び突進してきていた。

 今度は鬼気迫る表情である。


「どぉうわ! さっきよりも殺気がヤバェにゃす!?」


 100円で駆け寄って来たのだから、数万も抱えている今は格好の餌食というわけだ。


 何が声¥札(せいえんさつ)だ。

 応援どころか、逆にピンチを招いているではないか。


 いくらこのスーツが招き猫の柄をしているからって、こんな不幸を呼ばなくてもいいのに。


 目の前に迫る豚の牙。

 怖くなって、頭を抱え丸くなる。


「もう避けられニャい…………んにゃ?」


 ド派手な衝撃音が鳴り響き、土煙が高らかと舞った。


 もう身体はバラバラになったのだろうか、おっかなびっくり目を開くと、驚いて目まで丸くなる。


 (うずくま)っていたため、まともに回避行動もとれなかった。

 しかし、いざモンスターにぶつかっても、特に痛みを感じなかったのだ。


 五体満足、アタシの身体はピンピンしている。

 それどころか、ぶつかって来たスカンピッグは弾かれてひっくり返っていた。


『ゼニャハハ!! ドレスの着心地はどうだガネ! これが(エン)ドレス、金が生み出す無限の力だガネ!!』

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