悪だくみするにゃ
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「よぉし! ギルドも建てたし、早速ガッポリ稼ぐ依頼でもイベントでも、どんと来いにゃぁ!!」
「あ~、盛り上がってるところ悪いけど……流石にたったの三人しかいないギルドじゃ、そんなに大きな大会とかは出れないよ?」
「なんでにゃ!? マイノリティ差別にゃす!!」
「いや、そういう問題じゃなくてね……競技人数とかあるから」
せっかく面倒ながらも役所まで出向いたのに、これでは完全に無駄足ではないか。
ぶつけどころの無い怒りを奴隷一号こと、スカンピッグをもみくちゃに引っ張り八つ当たりする。
「むきぃ~!! これじゃ、何時まで経ってもアタシの借金を返せニャいじゃにゃいか!!」
「ふごご!? ぷひぇ~!!」
陶器みたいなツヤの割りに、実際の触り心地は安物のゴム製貯金豚。
面白いようにグニグニ伸びるので、ストレス解消にもってこいなペットである。
ひたすら人の神経を逆撫でしてくるエンドラゴンとは大違いだ。
「そ、そんなに荒れないでくれ円稼くん。 こればかりは仕方ないだろう? ここは急がば回れ、地道に活動してギルドを大きくしよう。 あの『サルマネー』みたいに急成長することだってあるかもよ?」
「キュィ……キヨも入ってましたけど、本当にあっという間に大きくなってたでひゅ」
声を聴くまでついつい存在を忘れる奴隷三号の三郷が、月兎の話題に乗っかり深くうなずいた。
そっちはお遊びでゲームしているから仲良しこよし出来ればいいのだろうが、コチラはそうもいかない事情がある。
なにせアタシは早く借金を返せないと、現実の身体に何されるか分かったものじゃないのだ。
そんなに悠長な手段で事を進める気なんて毛頭無い。
「なら、そのサルマネーくらい大きくニャれば、大きな大会に出れるのにゃす?」
「え? まぁ、あそこほど大きければ余裕だよ。 むしろ自分達でイベント組めるんじゃないかな」
「ほぅほぅ、にゃぁるほど……」
自分で開催、そういうのもあるのか。
そんなの八百長し放題、大儲けのチャンスでしかない。
結局コロシアムではズル出来なかったし、羨ましいな。
でもアタシならもっと上手く儲けられるだろうに。
『人が集まるところには、金も集まるガネ! お前も小さなサル山の大将してないで、もっと大きくヤマを張ってみるべきじゃないカネ?』
「簡単に言ってくれるにゃぁ。 それが出来たら苦労してにゃいやい」
「キュィ……そ、それで、これからどうするんでひゅ?」
「聞いてたにゃろ、どうもこうもニャいにゃす。 あ~ぁ、どこかにポンとギルドメンバーが大量に落ちてニャいかにゃぁ……にゃ?」
腕を組んで頭を悩ませていると、キュイキュイ鳴いて煩い河童が眼に留まる。
そういえば、コイツはそのサルマネーというギルドから追い出されたのだったか。
「にゃっふっふ……良いこと思い付いたにゃす!!」
「キュィ……?」
「君が不敵に笑うんだから、絶対にろくでもないことなんだろうね……」
キョトンとした三郷とは対称的、月兎は引きつった顔で乾いた笑いを零していた。
コロシアムでの一件がまだ尾を引いているのだろう。
「弱い集団が強い集団に勝つにはどうすればいいと思うにゃ?」
「え、唐突になんだい? そうだね……やっぱりちゃんと地力を付けてから挑むとかじゃないかな」
「バカタレ! そんニャんだから、素人のアタシにも負けるのにゃ!」
なんという平凡な思考。
この男のつまらない所が凝縮されたような解答だ。
「キュィ、あ、あの……相手の隙を突くとかでひゅか? 闇打ちとか……」
「お前、顔に似合わず意外と物騒なヤツだにゃ……」
キレた時に根暗な人こそ何をしでかすか分からないというが、三郷を見ていると本当かもしれないと思わせる。
コイツはあまり刺激しない方がいいかも。
「はぁ~お前ら全然なってニャいにゃぁ。 アタシの考えは、『相手を仲間割れさせる』ことにゃ!!」
『ゼニャハハハ! 古今東西、真の敵は身内にアリだガネ! 組織が大きくなるほど、人は欲に目が眩み、内に闇を抱えていくんだガネ。 お前の着眼点、中々悪くないんじゃないカネ?』
クソトカゲに賛同されるのは癪だが、人を騙す手練手管に長けたヤツだからお墨付きが出たのは上出来だろう。
「しかし、仲間割れなんてそう簡単に起こせるものなのかのい……?」
「甘いにゃ! サルマネーは叩けばホコリだらけの臭いギルドにゃす! このエロ河童が追い出されたのが、何よりの証拠にゃ!」
「そうか、まぁ確かに……。 上納金のことだってあるし、色々と不満のタネはありそうだね」
ようやく、お利口さんの月兎でも飲み込めたらしい。
急成長の裏には、絶対に何かやましいことの一つや二つは眠っているだろう。
それを突いてやれば、勝手に内部分裂を始めたっておかしくはない。
「キュィ!? キヨの前いたギルドを狙うんでひゅか!?」
「だからにゃ! 追い出された立場を逆に利用して、内部を掻き乱してやるのにゃぁ!」
「キュィィ、な、なんだか大変なところに巻き込まれちゃったでひゅぅ……」
ただでさえ涙目の両目を、さらに目一杯涙を浮かべる三郷。
どれだけ困っても、もはやアタシの奴隷三号なのだ、拒否権は無い。
さぁ、これからサル山のボスを引きずり降ろしてやろう。
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