結成!ギルド・ガネー社にゃ
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しばらくすると、かしこまった役所のような建物から月兎が顔を出す。
手を大きく振って、『こっちに来い』と言っているようだ。
「なんにゃ? 手続き一つ満足にできないのかにゃ、あの男」
「あのぉ、名前とか、活動内容とか……色々決めることがあるんでひゅ。 キヨもさっき作ろうとしたんでひゅが、一人じゃ迷ってしまって決められなくてぇ……」
「かぁ~、それくらいスパパッと適当でいいんにゃす! とりあえずの形が欲しいだけなのにゃ!」
「キュィ……たぶん、勝手に決めると怒られるからじゃないでひゅか?」
「誰ににゃ!?」
「キュ、キュィ……」
アタシの問いに対し、三郷は涙目で遠慮がちにコチラを見つめている。
口には出さないが、暗にアタシが愚痴愚痴と後から文句付けるだろうと言っているのだ。
なんと失礼な!!
常に弱腰なクセに、こういう生意気な主張だけはしっかりしてくるのか。
頭に来たので、アタシの答えはこれだと言わんばかりにキッと睨み返す。
『ゼニャハハハ! そこのエロ河童の言う通りじゃないカネ? どうせ図星だから腹が立つんだガネ!』
「うるせいにゃ!! アタシはそんな度量の小さい女じゃニャいわい!!」
「キヨもエロくないですよぅ!」
「いや、お前はエロにゃ。 その恰好、まごうことなきエロ河童にゃす」
「キュィィ!?」
そんなはずはないと言いたげに、三郷は心底驚き見開いた顔を浮かべている。
だが事実、彼女のアバターはかなり過激なデザインをしていた。
顔はあんなに地味なくせに。
まず目に付くのは、身体の至る所が浮き彫りになるピッチリとしたウェットスーツ。
露出度こそは控えめなものの、こんなにくっきりとスタイルが見えていては実質裸も同然。
なにせ、アタシの変身した¥ドレス並みの破廉恥な姿なのだ。
あのスケベな月兎が喰い付いただけはある。
そして胸の谷間にはクチバシのようなプレートと、鎖骨のあたりに目玉のようなパーツが二つ付いている。
首元の皿のように広がる襟も合わせると、まさに河童のような見た目なのである。
エロくて河童、だからエロ河童といって何が悪いというのだ。
もっとも、本人はまるで自覚が無いようだが。
「まぁ、そんなことはどうでもいいにゃす。 さっさとゲットのケツを叩いて申請を終わらせに行くにゃ」
「キュィ……キヨの見た目はどうでもいいんでひゅね……」
落ち込むかと思いきや、何故かホッとしているようだ。
アタシも散々変態スーツを着せられていたので、今更三郷の見た目で敬遠する気もない。
むしろ、月兎のようなアホな男を釣るのに便利なくらいだ。
彼女が安堵する理由は知らないが、精々ぬか喜びさせておこう。
大人しく後ろを付いてくる奴隷三号を従えて、アタシ達は登録所の自動ドアをくぐる。
すると、待ちわびとばかりに奴隷二号が駆け寄って来た。
「まったく何していたんだい君達。 ある程度細かいところは終わらせたけど、ギルド名やメンバー登録はギルド長になる君にやってもらわないと。 もう少し、ギルドを持つという自覚をしてほしいものだね」
「えぇ~、アタシがギルド長やるのにゃ? 面倒臭いから、ゲットがやってほしいにゃす」
「だめだめ! 君の言うことは聞くとは言ったけど、甘えさせるつもりは無いからね! 初心者をちゃんと支えるのが、僕の役目なんだから!」
元々は出逢い厨のクセに、こういう所で無駄に正義感を燃やす暑苦しさがウザすぎる。
うんざりしながら月兎を押しのけると、嫌々ながらも受付カウンターの前へと進んだ。
「はぁ……で、ニャんだっけにゃ。 ギルド名? 特に思いつかんにゃぁ」
『それなら、ガネー社にするガネ! ガネーシャは富の神、まさに金を稼ぐのにうってつけの名前だと思わんカネ?』
「ほぉん、ならそれでいいにゃす。 ガネー社、と」
正直、ガネガネ言ってるエンドラゴンみたいで気に入らないが、どうせ他に思いつかないのでそのまま記入する。
それに、縁起にあやかることは悪いものでもないし。
「あとは、メンバーの個人登録だね。 設立後は自分のギルドで整理できるんだけど、最初だけは個々人でやる必要があるんだ」
「それも一々書くのにゃ!? 役所は本当にめんどくせーにゃ……」
「いやいや、流石にそれはデバイスをかざすだけで大丈夫だよ。 まぁ、だから各員が直接来る必要があるんだけどね」
月兎に促されるがまま、左腕の¥トリーデバイスをカウンターの液晶に近付ける。
すると、ピピッという売店のレジ打ちのような音が鳴って、画面にアタシの情報が映し出された。
自分のステータスを見るのは、何気にこれが初めてかもしれない。
チュートリアルはクソトカゲのスキップされてしまい、まともにこういう画面も開き方も分からないのだから。
「よし、これで円稼くんの分は終わりだね。 さぁ、キヨくん! 次は君の番だよ、さぁさぁ!」
「キュィィ!? そ、そんなに引っ張らなくても、大丈夫でひゅ!?」
アタシの世話が終わった途端、ここぞとばかりに声色を変えて三郷へと振り返える。
この男も中々いい根性してるな、皮肉抜きに。
月兎に手を取られ、強引に受付カウンターの前に立たされた三郷。
注目されるのに慣れていないのか、恥ずかしそうに顔を俯けながらもおずおずと左腕を差し出した。
すると、アタシの時の同様にステータスが表示される。
そういえば、コイツのことはまだ何も知らなかったなと流し読みしていると、ジョブ欄に目が留まる。
「にゃるほど、お前はソーサラーなのかにゃ。 魔法使いが加わって、アタシ達も結構バランスのとれたチームになってきたんじゃニャいか?」
「キュィ……? あの、キヨはソウサラーなんでひゅけど……」
「へぇ、いいじゃないか! 前衛後衛が揃ったし、これで色んなイベントも参加できそうだよ」
「本当かにゃ!? ならガッポリ稼げるやつを探せにゃ! にゃっふっふ、面白くなってきたにゃす」
「あの、ですから……ソウサラー……」
なんとも凸凹な三人組で結成したギルド『ガネー社』。
これを拠点にこの世界の脆弱性を探しつつ、あわよくばジャリンジャリンと大儲けを狙いに行ける。
そうと決まれば、早速活動するしかない。
もごもご言ってる三郷を小突くと、月兎を連れて役場を後にしていった。
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