奴隷ゲットだぜにゃ
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いきなりの奴隷宣言に、月兎は膝から崩れ落ちていく。
した。
確かに、『勝利者は何でも聞く』と約束した。
しかし、勝って当たり前の盤面での約束だ。
負ける事なんて端から頭に無かったのだから、こうなるなんて予想もしていなかったである。
「ま、待ってくれ! いくら何でも、奴隷なんて許されるわけがないだろう!? 冗談だよね円稼くん!!」
地べたへ四つん這いの状態で頭を上げ、藁をも掴むような必死の形相を浮かべている。
客観的に見れば土下座である。
あれだけ自信に満ち溢れていた男の姿は何処へ行ったのか。
「本気も本気、超マジにゃ。 世の中、そんなに甘くニャいんにゃよ。 アタシだって散々騙されて来たのにゃす、手前だけ都合よくなんて認めるわけがニャいんにゃが?」
『ゼニャハハハ!! なにせ、お前は騙されて借金100億も背負った女だガネ。 言葉の重みが違うガネェ?』
いつの間にか光の粒子となって、エンドラゴンがアタシの左腕へと戻っていた。
スカンピッグの唾液でベチョベチョの身体を手早く綺麗にしたかったのだろう。
汚れたまま戻って来ていたら、振り回して捨てていたところだ。
いや、この踏ん反り返った憎たらしい態度の時点で、猛烈に捨てたくなってきた。
何様だよお前、試合でもブタ以下の活躍だったくせに。
「はぁ!? 借金100億って……!? 冗談じゃないぞ! 僕を変なことに巻き込まないでくれ!!」
クソトカゲがいらんこと口走ったせいで、月兎が狼狽し始めてしまった。
まったく、せっかくネコを被って隠していたのに。
面倒を増やしてばかりだなこのAI。
「まぁ、バレてしまってはしょうがにゃい。 そうにゃ! アタシはこのクソみたいな借金のせいで金が必要なのにゃす! 金を得るにはまず人手! その貴重な労働力に、お前を選んでやったのにゃ! 泣いて喜べにゃす!!」
「嫌に決まってるだろう!? うぅ……なんでこんなことに……」
「にょほほほ! 本当に泣いて喜んでいるにゃ!」
アタシを貶めた黒服達もこんな気分だったのだろうか。
すごく気分が良い!!
自分以下の存在を見下すって、とても心が満たされる!!
「む、無効だ! あんな口約束、なんの拘束力もない! 僕は君の借金なんかに関わらないぞ!!」
零れる涙を飲み込んで、月兎の往生際の悪い抵抗はまだ続く。
寝耳に水な衝撃の事実を明かされて、彼も必死なのだろう。
だが、借金を背負っているこちらは、それ以上に必死なのだ。
見苦しい抵抗は無駄だと思い知らせてやろう。
「ほ~ん? にゃるほど……? 確かに契約書すらニャいが……しかし証人がいるのを忘れたのかにゃ?」
パチンと指を鳴らすと、試合を中継していた浮遊カメラが集まって来る。
そのカメラ越しにあるのは、何千という視聴者達の目だ。
『『Boooo!!』』
月兎の先程の見苦しい発言もバッチリ撮られている。
当然、画面の向こうの彼らはご立腹だ。
会場を埋め尽くすブーイングの嵐。
その威圧感に圧され、月兎の顔はますます青くやつれていく。
「ふご! ぶー!!」
「ほれみろにゃ、ブタだって怒ってるにゃす」
腹のでっぷりしたスカンピッグも高らかに吠える。
おそらく、狼の遠吠えのように呼応しているだけだろう。
やっぱり何を言ってるか分からないが、こういう時は一人でも多く味方にしておくほうが得。
民主主義は偉大だよね。
「うっ……ググ……」
もはや退けなくなったこの状況。
逃げ場を失い、ただ唇を噛み締める悲しい男の姿がカメラに捉えられている。
「分かった……!! やる、やるとも! 僕も男だ、約束は守る!!」
「おぉ~良く言えましたにゃ、えらいえらい!」
月兎の口から、直接その言葉を吐かせた瞬間。
アタシの口元はきっと悪党のように歪んでいたに違いない。
しかし、騙されたあの日に『アタシは変わる』と決めたのだ。
こうやって人を蹴落としていくことに躊躇する気はない。
(くそっ、今は我慢だ……隙を見て逃げ出してやる……!!)
「ん? ニャにかいったかにゃ?」
「はは、何でもないよ!! そうと決まればコロシアムを出ようか。 これ以上騒ぎを広めたくない」
「まぁ、そうだにゃ。 どうせこれ以上『応¥貨』を投げられたって、一銭にもニャらんしにゃぁ」
プライドの高そうな男だ。
情けない姿を長く見せたくないのだろう。
奴隷宣言の言質も取れたし、用済みの試合会場を後にする。
外へ出ると、ファイトマネーの振込アナウンスが飛び込んで来た。
明細を確認すると、中々のまとまった金額。
「にょほ~! コイツは美味しいにゃ! もしかして、八百長を繰り返せば借金返済も夢じゃニャいのでは!?」
「いや、それは無理だよ。 君は戦績の真っ白なズブの素人、対して僕はそこそこの戦績があったからオッズが高騰したんだ。 僕に対して勝ち星を上げてる君と何度やっても、どんどん配当が落ちるだけださ」
「はぁ~ツマランにゃす……世の中もっと甘くなれにゃ」
「世の中甘くないって言ったのは円稼くんじゃないか……だいたいね、君みたいなズルするやつが増えるからこうなったんだよ……」
会場を出てからすっかり覇気の抜けた月兎が、呆れた様にアタシを見ている。
流石にもうガールハントの相手として狙う気も失せたらしい。
まぁ、その方が奴隷としてこき使いやすい、
これからどんどん働いてもらおう、覚悟しておくがいい!
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