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魅せろ必殺の¥ブレムドライバーにゃ

マドカの変身した姿はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123495

https://tw6.jp/gallery/?id=134602


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319

「血迷ったのかい!? 真っ向からぶつかったら、余計に痛い思いをするぞ円稼(マドカ)くん!!」


 こちらの動きは予想外だったのだろう。

 月兎(ゲット)は泡喰ったように、あんぐりと口を開けて両目を丸くする。


「ところがどっこいにゃす!」


 アタシを何の策も無く突っ込む、頭の足りない女だと思わないことだ。

 もっともそう思わせるのも策の内。


 女性は皆、産まれながらの名女優なのだ。


 そうこうしていると、禍々しいプレッシャーを放つ重力球はもう目と鼻の先。

 左腕の(エン)トリーデバイスをチョチョイと操作し、両手を大きく広げた。


(エン)技・ネコダマシにゃ!!」


 白く輝き出したガントレットをシンバルのようにバチンと打ち鳴らす。

 見た目は相撲のネコダマシと同じようなものだろう。


 ただし、これはネコを騙す技ではなく、ネコが相手を騙す技なのだ。


 合掌した手の内から、眩く直視することが出来ない光量が瞬時に溢れ出してく。

 その閃光は、離れていた月兎の大きく見開かれた両目をも貫いた。


「うぁ!? 眩しいッ!?」


 身体が反射的に動いてしまったのだろう。

 月兎は両目を強く閉じて、顔を背けてしまう。


 閃光弾のように一瞬だけの輝きが収まると、ようやくぼんやりと眩む目を開いて会場を見渡した。


「えぇ!? なんで君がここに!! ターゲットしたはずなのに!!」


 彼が最初に目にしたのは、大きく拳を振り上げる円稼の姿。


 彼女へ放ったのは、一撃でゲームエンドも狙える必殺技。

 とても防御技に見えないその場凌ぎで打ち消せるほど、決して安い攻撃ではなかったはずだ。


 なのに何故。

 きっと彼はそんなことを思っているに違いない。


「くっ……まずい!! レディ、ムーングラビティだ!!」


『了解しました、ゲット。 スキルを発動します』


 大きく屈伸するように屈むと、身体全体をバネにした垂直跳びで遥か上空へと跳躍してまう。


「迷ったら避ける! 悪いね円稼くん! 戦闘で相手の間合いの外へ出るのは、基本中の基本なのさ!」


 なんというデジャヴ。

 眼下の地上では、最初の大振りと同じように、円稼の攻撃は宙を殴っていた。


「いちいち芸の無い男にゃす」


「へ……?」


 あまりにも予想外の方向から声が聞こえ、思わず月兎から素っ頓狂な声が漏れ出た。


 ここはコロシアムの照明付近。

 誰もこの高みへと来れるはずはないはずなのに。


 だが、見下ろしていた視線を上げると、目の前には()()()姿()()()()()


「な、なんでここに!? だって、今……下に!!」


「にょほほほ! アレは閃光が見せた幻影にゃす! 影法師ってやつにゃ! アタシは爪研ぎがてら、壁を登って来たんにゃよ!!」


 そう言い放ち、隠していた鋭い爪をジャキンと見せつける。

 重力球で見えない壁に叩きつけられた時、見えていなくても触れられると気が付いたのだ。


 壁登りはネコのお家芸、これくらいお茶の子さいさいなのである。


「さぁ、タダで人の身体を見たツケを払ってもらうにゃす!」


「ちょ、ちょっとタンマ!!」


「待った無しと言ったのはお前の方にゃ!!」


 お互い空中浮遊をしているわけではない。

 どうせ落ちるのであれば、その落下の速度と威力を捨てるのは勿体無いだろう。


 守銭奴は、なんだって節約倹約再利用、使える者は何だって使うのだ。


「続けて大技いくにゃす!」


「嘘だろ!! な、なんでそんなに技が使えるんだ!?」


 跳躍の頂点で一瞬動きを止めた月兎に飛び掛かって摑まえる。

 そのまま彼を逆さにクルリと反転させてしまう。


「おいおいおい! 僕に何する気だ!? あひっ!!」


 月兎の背中に抱き着き、体勢が崩れないようにしっかりと密着する。

 胸を当てたら、コイツも黙るだろう。


 そのままアタシの両手両足でしっかりと組み付き、簡単に解けない完璧なロックを掛ける。

 恰好はプロレスのパイルドライバーに近いだろうか。


 逆さの男に組み付く手脚、天に伸ばされた二本の足は、さながら『¥』マークそのもの。

 それを象徴するように、¥のエンブレムが浮かび上がって来た。


「必殺・(エン)ブレムドライバーにゃぁぁ!!」


 完全に極まった体勢のまま、照明の逆光を背に墜落していく。


「ひぃぃぃぃ!!!」


 スケベ男も流石に怖くなったのか、今更必死になってもがくがもう遅い。

 ガッチリと組み合ったロックを外すなど、支えの無い空中でが到底不可能なのだ。


 涙と鼻水を垂れ流しながら酷い顔を晒している。

 これでは視聴者の心も完全に離れただろう。


 そして長い長い紐無しバンジーの終着点、凶器の殺人マットへと逆さになった頭を突き立てた。


「ゴッォホォ!?!?」


 ゲームだからもちろん死にはしない。

 しかしだからといって、痛くないわけではないのだ。


 着地の衝撃で目を剥き、月兎はヒクヒクと痙攣している。


「忘れ物にゃす!! お前のボールは、まだアタシを追いかけ続けてるのを忘れるにゃよ!!」


 ¥マークの体勢でリングへと突き刺さった二人、そこへ天井から追尾してきたノイズ交じりの球が降って来る。


 ターゲットはもちろん円稼。

 しかし彼女は今、自分よりも背の高い月兎と密着しているのである。


 当然、そのまま落下で加速し続けた重力球は、円稼よりも先に男の股間へと着弾してしまった。


「ハンガァァァァ!!!」


「これぞ、ネコババ奥義・金玉潰し(ゴールドクラッシャー)にゃ!!」


『戦意喪失確認。 バトルエンド! 勝者・ガッポリマドカ!!』


『『ワァァァァ!!!』』

必殺・¥ブレムドライバーの画像はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=136598

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