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コロシアムで勝負開始にゃ

マドカの私服はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=126924


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319

 優男、月兎(ゲット)の案内した先には、『参加者入り口』と書かれたゲートが立っていた。

 隣を見れば『観客席入り口』とあるので、分けているらしい。


 試合なら、あの浮遊したカメラ越しに見ればいいのに。

 ところがゲームなのにわざわざ観戦席で見たい酔狂もいるらしい。


「あぁ、そっちが気になるのかい? このコロシアムはある程度の平等なルールで行われる、いわばeスポーツなんだ。 だから一部には熱狂的なファンがついていたりするのさ」


「ふぅん、月兎にはいないようだにゃ」


 アタシ達の立つ、この入場口はがらんとした閑古鳥が鳴いている。


 自称、結構名の通ったプレイヤーなのに。

 流石にそこまでトドメは刺さないが、それでも彼は慌てた様子を見せる。


「ご、ごほん! 言っただろ……本当に一部の、トッププレイヤーにしかいないんだよ。 なんなら、この試合で円稼(マドカ)くんをファン一号にしてみせるさ、なんてね」


 相変わらずキザったらしい事を恥ずかしげも無く言い放つ男だ。

 ちょっと尻尾の毛が逆立ってしまった。


「まぁそこはどうでもいいにゃ。 そのルールってどんなのにゃす? 平等なら初心者のアタシにもチャンスがありそうにゃ」


「細かいところは移動しながら説明するよ。 でも一番大事なのは、ズバリ……()()()()()ことさ!」


「楽しませる、にゃ? 普通逆じゃニャいか、()()()なら分かるんにゃが……?」


 だがその質問の答えは返ってこなかった。

 月兎は口元に人差し指を立てて、首を振る。


 ここから先は、試合で確かめてみろということなのだろうか。

 女々ししいことぜず、さっさと教えてほしいものだ。


 仕方がないのでゲートをくぐり、大まかな試合説明をしてもらった。

 要は、強者がバカスカと強い技を撃てないように制限されているというもの。


「鍛え上げた強いスキルや技を振り回せば勝てるじゃ、見てる方はつまらないからね。 彼らの求めているのは逆転のチャンスであり、それを活かしたドラマ性なんだよ」


「ニャるほど……」


 とはいっても、弱者に与えられたのはチャンスでしかない。

 ゲームに精通して慣れているプレイヤーの方が有利だし、技やスキルの幅が広くて選べる戦術も多くなる。


 格上にはラッキーパンチが何度も入らなければ、そう簡単には勝てないと注意を受けた。


「なら大丈夫にゃぁ! なにを隠そう、アタシの勝負服は招き猫にゃ! ラッキーパンチの一つや二つや、十も百も、いくらだって招いてやるにゃす!」


「へぇ? 勝負服って、そのユニークジョブは何か隠された機能でもあるのかい?」


 通路を抜けて試合会場の明かりが見えて来る。

 そこで脚を止めて振り返ると、口元に人差し指を立てて首を振る。


 先程の仕返しだ。


「はは、なるほどね。 こわいお嬢さんだなぁ。 もしもバフ系なら化けるかもね、能力の制限されたコロシアムでは結構評価が高いんだ。 これはいよいよ僕も油断していられないかな?」


「にゃっふっふ……吠え面拝んでやるから、覚悟しとけにゃ!」


 いつまでその余裕ぶった態度を取れるかな?


 恰好はともかく、あのスーツの力自体は本物だ。

 甘く見ている所に、一泡吹かせてやる!


 そんなやりとりを交えしばらく歩く。

 ロード時間というやつかな。


 長く暗い通路を抜けて、明るい試合会場へと脚を踏み入れた。

 その明暗差で一瞬視界が奪われるも、すぐに会場の熱気で眼が冴えていく。


 すると、機械音が会場に響き出した。


『オンユアマーク』


「なんにゃ?」


 いつも頭に響く、あのシステムメッセージのような声だ。


「位置に着けって言ってるのさ。 ほら、あそこの床に僕達のシンボルマークが浮かび上がってるだろ?」


 月兎の指差す先に、床から10㎝ほどの高さに浮かぶ平坦なホログラム。


 片方は、アタシのシンボルなのが一目でわかった。

 『¥』マークなんて、どうせエンドラゴン(クソトカゲ)の奴が設定したに決まっている。


 もう片方は消去法で月兎のだろう。


 丸い月に可愛い兎が描いてある。

 彼の名前そのままなのだろうが、男でそのマークはどうなのか。


 ちょっと女子受けを狙いすぎていて引く。


「位置に着いたにゃ。 この後はどうするにゃ……にゃにゃにゃ!?」


 自分のホログラムマークに脚を突っ込みながら中心に立つと、なんとそのホログラムが上昇してきたのだ。


 身体を通過していくそれが頭の天辺まで辿り着くと、マークがクルクルと回転し始めた。


「大丈夫。 ただの準備OKって合図だよ。 さ、僕も位置に着いた、ゴングが鳴ったら勝負開始だよ。 気を引き締めてね!」


 そういわれると、柄にもなく少し緊張し来た。

 試合前の武者震いというやつかもしれない。


 だが、ここまで来たらもう退けない。

 覚悟を決めると、再びあのアナウンスが会場に響いた。


『ゲット()()()……ファイト!!』


『『ワアアアァァァ!!!』』


 掛け声と共に、景気よくゴングが鳴って会場が湧く。

 ただのサクラかもしれないが、見られているという感情が強くなってきた。


 アタシも配信者として、結構板についてきたのかもしれない。


『お呼びですか、ゲット』


「レディ……呼んでないし、後にしてくれないかな……」


 相手は出端を挫かれ、隙を見せている。

 ここは、アレを済ませてしまう絶好の好機!


「うぉぉ(たぎ)ってきたにゃす! クソトカゲ、アタシ達の本気を見せる時にゃ!」


『ゼニャハハ! やっとお呼びカネ? ならば、あの掛け声を忘れるんじゃないガネ』


「わかってるにゃ!」


 あんな姿、二度と御免だと思っていたが、勝つためには手段を選んでいる場合じゃない。

 こうなればとことんやってやるぞ!


 左腕のハメ込まれたデバイスを一度引き抜き掲げると、大声と共に勢い良く再度挿し入れる。


『マネーファイト・¥トリーだガネ!!』

「マネーファイト・¥トリーにゃ!!」

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