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筋力よりも資金力にゃ

マドカの私服はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=126924


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319

「まぁまぁ、落ち着いて……それにしても君のマネーファイターなんてジョブ、初めて聞いたなぁ。 うぅん、このゲームに結構精通してるつもりだったけど……説明役を買って出たのに詳しくなくてゴメンね?」


「にゃ? アタシのジョブって、そんなにマイナージョブだったんにゃす!?」


 自称とはいえ、この世界で少しは名の知れた男だと名乗った足羽月兎(アスワゲット)

 その彼ですらアタシのジョブはよく分からないらしい。


 なんだか、ますます雲行きが怪しくなってきた。


『ゼニャハハ! ならオレ様から説明してやるガネ! マネーファイターとはズバリ、筋力(きんりょく)よりも資金力(しきんりょく)! その名の通り、カネで闘う職業のことだガネェ!』


 全く懲りていないらしいエンドラゴンが、胸を張りすぎて海老反りになりながら講釈を垂れた。

 まるで自分の功績だと言わんばかりに弧を描く、その得意げな目元がことさらムカつく。


 その時、アタシの中に渦巻く思考が一本の線で繋がった。

 まさか……?


 不安を隠し声を落とすと、左腕でふんぞり返るクソトカゲへと耳打ちする。


(やい、お前もしかして……ブタだけじゃなく、ジョブまで作ったんじゃニャいだろうにゃ……?)


(ゼーニャハハハハ! 珍しく(さと)いじゃないカネ? 勿論だガネ、円環(えんかん)の契約でオレ様の一部がお前に流れ込んだ結果ということだガネェ)


(誰も知らないジョブなんていらねぇにゃ、こんニャもん! 安定ツヨツヨ人権職に転職にゃ! とっととジョブチェンジするにゃす!)


(魂レベルの契約だと何度も言っとるガネ。 管理者でも絶対に変更不可だから、諦めるといいカネ)


(そんにゃぁぁぁ!!)


 考えてみれば、こいつはアタシのアバターを勝手に作った奴だ。

 キャラメイクを全て弄っていてもおかしくはなかったのである。


 あぁもう、クソトカゲが余計なことをしなければ……!!


 アタシは楽して上級者に介護してもらいながら、早く簡単に強くなれる……はずだった。

 しかしこんな未知のジョブでは、誰も助言なんて出来やしないだろう。


 ましてや、目の前の絶妙に頼りにならなそうな男では期待するだけ無駄そうだ。


「ど、どうしたんだい、円稼(マドカ)くん……? いきなり顔色が悪くなったみたいだけど?」


「うぅ、なんでもニャいですにゃ……」


 心配するなら金をくれ。

 さもなくば、さっさと稼がせろ。


「しかし、どうしようね? マネーファイターの装備って普通に買えるのかい、レディ?」


『検索……アクセサリーを除き、全て固定装備のユニークジョブです。 彼女は現在ペットを連れているため、実質的に全て変更不可となります』


「あぁ、どうりで見たことないと思ったよ。 キャンペーンやイベントとかでたまに配布されてるユニークタイプだね」


 ゲームに手慣れているらしく、月兎(ゲット)は迷わずサポートAIに情報を聞いていた。


 うちのポンコツAIと交換してほしい。

 切実に。


 ともかく、一縷(いちる)の望みに掛けて、経験者の意見を求めてみることに。


「えっ!? それって強いのかにゃ!?」


「あぁ……いや、控えめに言ってその……ほとんどが、言葉に詰まる性能かな……なりきり遊び用とかだし」


「やっぱりにゃぁぁぁ!!」


 やっぱりだった。

 たぶんそうじゃないかとは思っていたのだ。


 チュートリアルで散々だった記憶がまだ新しい。


「ま、まぁ……ほら? 買い出しの手間が省けたんだし、コロシアムへ直行しようよ円稼くん」


 慰めるように肩を叩かれるが、それが余計に悲しくなる。


 お前のその手に着けた装備は、もちろん自由に変更出来るんでしょうね!!

 こっちはずっと、あの変態スーツを着せられるんだよ!!


 こうなって来ると、この優男のことがムカついてきた。

 コロシアムでボッコボコにして、借金の足しにしてやるから覚悟しろ。


「にゃは~ん! それでは早速行きましょうですにゃぁ!」


 腹の底では煮えくり返っていても、ネコを被るのは忘れない。

 能ある猫は爪を隠すのだ。


『ナビを開始します。 ゲット、まずは道なりに進んでください……』


 有能な方のAIに導かれ、アタシ達は決戦の地へと向かうのであった。






「ここがコロシアムかにゃ!! アホみたいにデッカイにゃぁ~!!」


「はは、ゲームの世界だからね。 土地の心配なんていらないから、自由に作れるんだと思うよ」


 街中にこんな巨大施設があるとは驚いた。


 それにしても、コロシアムと聞いていたから石造りのコロッセウムみたいなものだと思っていた。

 しかし実物を見るに、全然違うようだ。


 ライブ会場のようなドームに、色んな戦闘が映し出された映像が宙にいくつも浮いている。


 その下ではバトルリングが設営され、アタシのと同じような浮遊カメラがあちこちと動き回っている。

 どうやら、上の映像はアレらが撮っているらしい。


 忘れがちだが、アタシもあんな風に四六時中盗撮されているのだろうか。


「さ、受け付けは予約済みだし、会場へ入ろうか。 ()()()ファースト、さぁどうぞ」


『お呼びですか、ゲット』


「……君じゃなくて、円稼くんのことね」


「月兎のとこのAIも結構ポンコツみたいにゃす」

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