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カモを捕まえたにゃ

マドカの私服はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=126924


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319

 この足羽月兎(アスワゲット)と名乗る男、下心で近付いてきたというなら使い道はある。


 今までの不運な遭遇と違い、関わった所で借金が増えることもない。


 女の武器をニンジンとしてぶら下げれば、馬車馬のように働かせることも夢じゃないだろう。


 適当に話を合わせながら使い潰して、借金返済の足掛かりとしよう。

 そうと決まれば、早速色仕掛けで虜にしてやるのだ。


 奴隷をこき使い、楽して優雅な生活をするために!


「にゃは~ん! アタシィ、始めたばかりで、右も左も分からニャいのにゃぁ。 お願いしてもいいですかにゃ?」


 色気の出し方がよく分からないが、見よう見まねでしなを作ってみる。


 お目々もバチコリと煌めかせ、少女漫画空間を展開して華のトーンまで浮かび上がるイメージだ。


(ゼニャハハ!! 猫かぶりが下手過ぎて、腹で茶が沸くガネ!)


(うるせぇにゃ! 黙って見てろにゃす!)


 茶々を入れてくるエンドラゴン(クソトカゲ)を左腕の端末へと押し込み、力づくで無理やり収納する。


 こんなやつが見えていては、雰囲気台無しだ。

 100億年の恋も冷めるというもの。


「本当かい!? いやぁ、君はツイてるね! 丁度今、僕も時間が空いていてね。 勿論いつもは忙しいんだけど……今日だけは、君にだけは特別に指導してあげようかな!」


 拍子抜けするぐらい簡単に釣れてしまった。


 こちらだってお世辞にも上手く色気を出せたとは言えないが、向こうもあまり女慣れしてないようだ。


 無駄に恩着せがましく、厚かましく、暑苦しいこの男。

 案外チョロいのかもしれない。


 経験の浅いアタシでも手玉に出来そう。


「にゃふ~ん! 頼りになりますにゃぁ! とりあえず、ガッポリ稼げるオススメな方法とかありますかにゃ?」


 相手に気に入られようと、さりげなく距離を詰めて腕を取る。

 どうだ、アタシの色気も捨てたもんじゃないだろう。


「ヒュッ!? も、ももも勿論あるとも!」


 軽く胸を押しあてると、月兎(ゲット)は鼻の下をこれでもかと伸ばして赤面している。


「ニャんと! ぜひ、ぜひ、お聞かせくださいにゃ~ん!」


「手っ取り早いのは、街の外でモンスターを地道に倒すこと。 これはゲームの基本だね」


「にゃるほど?」


 正直、スカンピッグを倒した報酬が激マズだったので、そっちはパスだ。


「あとは、少し難しいけど対人戦のコロシアムとかがあるよ。 リアルの観客がいるから、ファイトマネーが支払われるんだ」


「おぉ、ファイトマネーかにゃ!?」


 これだ。

 まさにアタシが求めていたモノ。


 視聴者のウケも良さそうで、なおかつ金が多く手に入る。

 今の自分に打ってつけのコンテンツだ。


「そのぉ、コロシアムについて、もっと詳しく教えて欲しいにゃぁん」


 指の腹で月兎の脇腹をくすぐるようになぞっていく。

 ほれほれ、さっさと情報を吐き出せ。


 当の本人は、こそばゆそうに頬を緩めて更に調子付いていった。


「あはは、いやぁそうだねぇ。 でも、口で説明するよりまずはやって覚えるのが一番だと思うよ? 僕が練習相手になるから、どうかな?」


「えぇ~いいんですかにゃ? じゃぁ胸を借りたいですにゃん!」


 よしきた!

 これは所謂、接待姫プレイ的なやつのお誘いってことだよね。


 女子の特権、チヤホヤされる伝説のアレだ!

 友達が男性比率の多いサークルに入ったら、これで凄いことになったと自慢していたのが記憶に新しい。


 その手に縁の無いアタシにも、ついに手番が回って来たか。

 ちょっと感動する。


「まずは最低限の装備を整え……あれ? 君、ジョブは魔物使い(テイマー)を選んだのかい? まぁ女の子らしくていいと思うけど」


 さっきまで胸に視線が釘付けだった月兎だが、今はさらに下へと視線を落としている。


 テイマー?

 時間のことかな、いやそれはタイマーか。


「なんのことにゃす?」


 要領の得ない言葉で混乱し、頭にハテナマークを浮かべている場合ではない。


 言葉の真意を確かめようとアタシも足元を見下ろしてみた。


「ふごぅ?」


「ふにゃ?」


 この『富豪』という身の丈に合わない鳴き声。

 そこには見覚えのあるブタ、スカンピッグの姿があった。


 コイツ、あのチュートリアルの草原に置いてきたはずでは……?


『なにとぼけた顔しとるガネ。 オレ様が生み出したんだから、オレ様と一緒に来るに決まっとるじゃないカネ』


「そんな呪いの装備機能、初耳ニャんだけど!? これ以上タダメシ喰らいが増えるのはゴメンにゃ! さっさと消せにゃす!」


『生み出した命を粗末に出来るわけが無いガネ。 せいぜい懸命にメシ代を稼ぐガネ、ゼニャハハ!!』


「こんの役立たずめ、引っ込んでろにゃ!」


『グエッ』


 クソトカゲを端末に押し込んだ所でハッとする。

 しまった、こんなやり取りを見られては幻滅されてしまう。


 恐る恐ると月兎を見上げると、唖然とした感じで口を開けていた。

 やはり手遅れだったか。


「なんだ、もうサポートAIのカスタムまでしていたんだね。 もしかして、実は結構ゲーム慣れしてるのかい?」


「んにゃ? ニャんのことですかにゃ……?」


 よく分からないが、向こうで勝手に解釈し納得している様子。

 良いのか悪いのか曖昧だが、ともかく危機は去ったらしい。


 月兎はそのまま何食わぬ顔で左腕を目の前に掲げて、口を開いた。


「ほら、僕のサポーターはこんな感じだよ。 そうだろう、レディ?」


『お呼びですか、ゲット』


 アタシと同じように着けた左腕のデバイスから、清楚な女性の声がする。

 どやらレディと呼ばれたAIのものらしい。


 同じAIとはいえ、うちのクソトカゲとは大違いだ。

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