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ナイスボートにゃ

マドカの私服はこちらです(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=126924


集円竜エンドラゴンの姿はコチラ(外部サイト)

https://tw6.jp/gallery/?id=123319

 嗅覚に優れるブタがモデルなだけはあり、スカンピッグの探知能力は眼を張るものがある。


 地面に零れた小銭という小銭の位置を正確に把握しているらしく、小刻みに首を振っては吸い取っていた。


「ふざけんにゃぁ!! それがニャいと、アタシの服が復元されないのにゃす!!」


「ふごご、ぷぎ!!」


 慌てて駆け寄り、貯金豚を抱える。

 これでアタシの胸はカメラから見えないはずだ。


 ともかく、早くコイツを止めないと胸を隠すシャツが返ってこない。


「ぬぎぎぎ……これで、どうにゃぁ……!! ぜぇ、ぜぇ、だったら……こうにゃ!! ぬぎゃ!?」


 とりあえず、思い付くままに鼻を引っ張ったり塞いだりして妨害するも、まったく止まる気配は無かった。


 引っ張ったところで吸い込む穴が大きくなるだけ。

 塞いだらこちらの腕まで飲み込もうとしてくる始末。


 なんて強欲なブタなの……!?


「んにゃぁぁ! エンドラゴン(クソトカゲ)、こいつどうすれば止まるのにゃ! 親ならちゃんと(しつけ)けとけにゃす!!」


 左腕にハメ込まれた携帯端末に向かって怒鳴り散らす。

 アイツは都合が悪くなると、すぐに引っ込んで顔を見せなくなるのだ。


 こちらも扱いに慣れて来たので、脅しとばかりに左腕をブタの鼻へと近付ける。


 ダンマリを決め込む気なら、お前ごと吸わせやるんだから。


『ちょちょちょ、待つガネ! 言うガネ! それ以上は勘弁するガネ!!』


 作戦は効果覿面(てきめん)

 泡喰ったクソトカゲが液晶から身体を出すと、尻尾を使ってブタの鼻から遠ざかろうとあがいている。


『どうせ腹が減っているだけだガネ。 一番手っ取り早いのは、金を喰わせることだガネェ!!』


「そんな金があったら、まずはアタシの服を戻してるにゃ! ドアホ!!」


 しょうもない提案をしてきた罰として、ブタの鼻へとさらに近付けていく。


 じりじりと距離が縮まると、クソトカゲが風にあおられて大変なことになっていた。

 いい気味だ。


『アバババ、そうだガネ! ファイトマネー! 勝負に勝った報奨金が振り込まれてないカネ? それをぶち込めば落ち着くはずだガネ……あッ!! ガネェェェ!!』


 それだけ言い残すと、ついにブタの腹の中へと吸い込まれていった。


 どうせ助けなくても光の粒子になって戻って来るのだから放っておこう。

 あわよくば、そのまま消化されてくれ。


 邪魔なトカゲが丁度よく端末からいなくなったので、件の振り込みを確認してみる。


「え~っと、これかにゃ?」


 トントンと画面をタップしていくと、銀行(バンク)マークが目に付いたので触ってみた。


 すると案の定、これが残高確認のページだったらしい。


「ビンゴにゃ! にゃっふふ、どれくらい稼げたかにゃ……たったの2000円!? 投げ銭の方が稼げるじゃニャいか!!」


 なんてシケた報奨金なのだろう。

 所詮は雑魚戦ということなのか。


 しかし、今更文句を言っても仕方がない。

 迷わず残高を引き落とし、スカンピッグの目の前に現金化する。


「そうりゃぁぁ!! 大盤振る舞いにゃ!! もうどうにでもなれにゃす!!」


 なるべく腹が膨れるように、すべて10円玉にしておいた。

 こうなったらもうガムシャラだ。


 勝利を祝う紙吹雪がごとく金を撒く。

 ジャリンジャリンと飛び交い舞い散る小銭の雨あられ。


「ふごぅ!? ふごご!!」


 掃除機みたいなスカンピッグは大興奮のあまり、さらなる暴走状態にスイッチが入ったようだ。


 抱えていた腕の中で暴れ出す。


「ちょにゃ!? や、やめろにゃす!! 見える、見えちゃうにゃぁ!!」


 服の再現が中途半端で終わっている今、まろび出ているお乳を隠しているのはこのブタだけ。


 もうこれ以上、恥ずかしい思いをするのは御免こうむりたい。


 なんとか暴れる貯金豚を必死に抱きしめ、カメラの視界から身を護る。


『ゼニャハハ!! バーカめ! お前はまた人の話を鵜呑みにしたガネ! 振り込まれた金を服に使えば良かったものを、無駄遣いご苦労様といったところカネ!』


 ブタを抱えて耳を近づけると、腹の中からクソトカゲの生意気な声が響いてきた。


「そうだったにゃぁ!! アタシはニャんて無駄なことを!!」


 やはりコイツはクソ野郎だ。

 人の不幸を喜んでいる。


 アタシが恥ずかしい思いをすると知っていて、わざと誘導したのか。


 毎度簡単に騙されるアタシも悪いが、一番悪いのはこのクソトカゲに決まっている。


『おかげでこっちはカネのプールを満喫しとるガネェ! ゼニャハハ!!』


 中々戻ってこないと思ったら、スカンピッグの腹に貯まった金を堪能しているらしい。


「ムキィー!! こんニャろめ! こんニャろめぇ!」


 とうとう頭にきたので、抱えていた貯金豚を思いっきりシェイク。

 金に埋もれて溺れてしまえ!


『ゼニャァァァァ!?』


「ふごごごご!?……ふぐッ!!」


「にょほほほ! ざまぁ見ろにゃ!……にゃ? どうしたにゃす?」


 あれだけ何をされても食い気が勝っていたスカンピッグ。

 ところが、急に吸い込むのを止めて震え出した。


 どうしたことかと顔を覗き見れば、なんと真っ青に蒼白している。


「ぷえぇぇぇ……」


「ギニャァァ!!」


 早食いして運動するのは危険。

 そう学校で教わった記憶が甦る。


 目の前には、画像加工された虹色の何かがナイアガラのように流れ落ちていた。

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