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ファイヤランスは超能力  作者: ふぁいやらんす
2/6

フィーッシュッッ!!

飛んでいる。


「ここはやはりパイロ的なアレだろうか、炎だけに」


光の中を薄赤く輝く俺が飛んでいる。


「いや、炎を通した千里眼というのも悪くない」


とにかく何処かへ飛んでいる。


「もしくは炎から炎への瞬間移動なんてのも捨てがたい」


いつまでもどこまでも飛んでいる最中であった。

これはもしかして到着地点を外れているのではないだろうか。

悩み始めたその時…ふっ、とそこにむやみやたらと光り輝く玉が見えた。


「おや、これはまさか噂に聞きし伝説の異世界玉…」


ガッシ

俺はその光り輝く玉を手にし…


「ゲェーーーーーットーーーー!!」


グゥィーン

俺の掴んだ玉はこれでもかとひっぱりあげられて…


「ぐえぇー」


べしゃり

何処かの床にたたきつけられた。


「ふっふっふっ、またつまらぬものを拾ってしまったわ」


…なんてことだ、この俺がつまらぬもの扱いされるとは。

たとえつまらなくても可能性を信じてのびやかな未来を信じて欲しい。


「…何だかよく分からない上に…赤いだけで大したチカラも感じないわね」


なんだとう。

この青く光る人はなろらーの事をわかっていないな。

もっと褒めて伸ばして甘やかしての三原則を守っていただきたい。


「何よそのダメ人間製造原則」


ダメ人間はよくない。


「…それで、ここが俺の呼ばれた世界ということなのか?」


にしては光っているだけのただの広い場所でしかないわけだが。


「いいえ、ここは…そうね…異なる世界への道筋にある隠された釣り場的な所よ」

「釣り場…ほう…」

「ここで転送中のチカラを拾い上げて、良さげなものがあったら…」

「成程、その良さげなサムシングを集めて伝説のパーティを組ませるわけだな、わかる」

「チカラだけ引っこ抜いて私の世界で活用するのよ」

「まさかの強奪フェスティバル」


そこはキャッチアンドリリースの精神でお願いしたい。


「とはいえ、あまり使えそうにないチカラだわ…」


なんだとう。

超能力だぞ?

それはもう超すごいとしか言いようのないパーフェクなアレだぞう。


「それよ、その…超チカラ?」

「うむ、炎に関しては完璧だと言わざるを得ないチカラだ」


まだ具体的に何なのかはわからないわけだが。

きっと炎がらみなら何でもできる凄いヤツのはずだ。


「…何だか凄く期待しているみたいだけど、普通は大したことのないチカラのはずよ」

「…いや、あの光る人ならやってくれるはずだ」

「誰よその光る人…」


光る人なら超能力の一つや二つ…できれば七つくらいは何とかしてくれるはずだ。

物体を動かしながらテレパシーで運命操作しつつ、未来予知しながら転移して燃やせるはずだ。

それぐらいじゃないとチートとは言えまい。


「…基本的に人間一人の残された寿命から得られるチカラなんて大したことがない物なのよ」

「いやもしかしたらあと何千年と生きた可能性すらありうるべきだ」


ヒトの遺伝子の可能性を信じたい。


「ないわ」

「ないのか」


まぁ、そりゃそうか。

そうか…大したことのない超能力か…

今のはメラではない、全力のメラゾーマだ、ってやつか。

しょっぱい未来になりそうだぜ。


「…で、そのチカラも転生前ならチカラの塊でしかないから、集めてまとめて一塊にすることができるのよ」

「ほほう、つまり合体ビルドドッキングで元気弾ってやつか」


おらにも少し分けて欲しい。


「まぁ、所詮残骸みたいなものだから、集めてもそれほど大きなチカラにはならないんだけれども」

「世知辛いな、チカラの世界」


せめて可能性だけは信じてあげたい。

きっとこのチカラにも何か生まれた理由があって欲しい。

ただ赤く光り輝く照明としての人生で終わるなんて無残すぎる。


「それでも、私の世界を救う為なら…大したことのないゴミのようなチカラでも集めてみせるわ」

「ゴミ扱いはやめて欲しい」


きっとその中から思いもよらないような可能性が湧き出るはず。

汚れていれば汚れているほど光り輝くアレのように。


「アレとは」

「まぁ、どうやら俺では力になれないようだからここは笑顔で別れようじゃないか」

「…言ったでしょう…たとえゴミのようなチカラでも、と…」

「いやいや、俺のチカラはゴミどころかむしろ可能性しかないはずだぞ」

「…どんなチカラでも…かすかなホコリでも…むしろ世界に災いを起こしかねないイブツだとしても」


やめてください。

言葉で痛みを感じる人もいるんですよ。


「いや、だとしたら…この俺をこそ、選ぶべきだ」

「…ふぅん?」

「今までに拾い集めたチカラを、この可能性の塊としか言いようのない伝説の俺に、集めるべきだ」

「…何をどうしたらそうまでの自信を持てるのかしら」

「知っているか青い人」

「何よその青い人って」

「可能性は…見えないんだ」

「何よそのどこでも使われ尽くしていそうな言葉」

「…見えない可能性は…信じることから始まるんだ」

「ありきたりね、がっかりだわ」

「…それでも…それでも俺は信じている…」


「俺だけは何があってもきっと何とかなる星の下に生まれたただ一つの存在だと、信じている」


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