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へたれダンマス奮闘す  作者: 南雲司
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ワルキューレの卵

新展開の予感

[新婚]

 森人の習慣として、結婚したカップルは10日程を誰にも会わず森の中で過ごす。

 勿論モンスターの湧かない安全な場所だ。

 シャオとサルーも「忙しいのに」と、

 口では言いながら満面のにやけ面でその習慣に従った。


[紫の薔薇]

 サルーの女性航空士官構想は起死回生の対策として参謀部、総務部、作戦司令部で大いに議論され、最終的に女性だけで固めた混成中隊を視野に陸上編成で一個小隊規模(50めいほど)の募集を掛ける事に、為った。

 女性だけで固めたのでは士官不足対策にはならないのだが、戦力の回復と言う点では有効で、ハラボテ回避には必要だと強硬に主張する者がいてそうなった。

 なにしろ、航空士官だ、妊娠に気付かず高機動で流産等に至れば命に関わる。


 セクハラ・パワハラ絡みの命令は拒否出来るのだが、古いタイプの士官には違いの分からぬ者も多く、陸水軍では、セクハラとも考えずに女性兵士を孕ます事件が、年間数件あると噂されていた。噂であるのは表に出てくる事がまずあり得ない事件であるからだ。

 仮に訴えたとしても、男性には軽い処罰(もみけされるため)しか下されず、女性は発覚した事で人生が終わる。

 そう言う性質の犯罪なのである。


 幸い空軍では、歴史の浅い事もあり、シャオを筆頭に女性の立場が他の二軍より高いのもあって、そう言う事態には堕ちていないが、いつまでもそうとは限らないのだ。

 なので女性士官候補生達は教練一個小隊に纏めて配された。


 ハニームーンから帰って、紫の薔薇小隊ワルキューレプラトーンと名付けられた教練小隊の責任者となったシャオは、大いに困惑していた。

「なぜ、虎治の嫁が大量に」

 隊員48名中22名がダンジョンマスターの眷族だった。


[嫁達]

 募集の掲示は現職の女性下士官や兵も対象としていた為、此処彼処に張り出された。当然、虎治達候補生にも知れ渡り、コアの知るところともなった。

 即座にコアは、適正のありそうな嫁達二十二名の願書を送付した。

「えー、イチャイチャ出来ないじゃん」

 そう言うところだ、とコアは思う。刹那的で先々を俯瞰する視点がない。とは言え、まだ子供なのだ。未熟は当然でもある。

「新たに召喚すれば良いではありませんか」

「せっかく馴染んできたのに、また始めからって面倒臭いんだよな」

 それだ、とコアは思う。

 DPを増やすのに必要なリピドーの接触が簡単に出来るようになって、虎治は手抜きを覚えた。その事がDPの伸びの鈍化の原因だとコアは踏んでいる。その検証のためにも、この措置は必要だ。


 詰まるところ、コアにとって虎治にしろ[嫁達]にしろ、結節点保持のためのアイテムに過ぎない。非人道的な扱いを内包しているからと言って、なんら忌避する理由にはならない。


[休暇]

 候補生達は10日に1度休暇を貰える。虎治や森人達通い組にはただの休暇だが、宿舎に寝泊まりしている女子士官候補生にとっては久々に実家の、母の手料理が食べられる、貴重な物だった。

「アサミ、休暇どうする?」

 訊いたのは虎治の嫁の一人マリコ・ホンゴーである。

「あたしは居残りかな~、帰ってもエロガッパに弄られるだけだし」

 応えたのは、やはり虎治の嫁のアサミ・ナカノ。

「あたしも残ろうかな?ご飯此方のが美味しいし」

「だよねー」

 この二人に忠誠心が無いわけではない。当初はマスター虎治が前屈みで待っているだろうからと、帰る気ではいたのだ。コアから「新人を多数召喚したので」帰るに及ばずと連絡があって、代わりがいるのなら、これ幸いと居残ることにしたにである。

「最近マスター手抜きだものね」

「うん、あれなら中指のがまし」

 中指とは、この場合、寝床でゴソゴソする例のあれの隠語である。

 リピドーの接続と言う、アーカイブ経由の同期もあるのだから、同時の絶頂も有る事は有る。しかし、軽いのだ。初期に感じた[めくるめく快感]等、都市伝説であったか、と言うくらい忘れかけている。

 虎治の房事は嫁達には散々の評価だった。

 最初の休暇でダンジョンに帰ったのは三人だけだった。


[セーラー服効果]

 同じ訓練所で男女が同時に訓練するのは集中力が散漫になって危ないのでは、との意見もあった。しかし、蓋を開けてみると、男共に気合いが入って訓練の効果が上がった。

 特に降下訓練は格好の悪いところを見せられないと思ってか、兵曹に一人も蹴飛ばされずに、全員が飛び降りると言う、まだ緒に付いたばかりのこの時期に、快挙を成し遂げた。

「まじで?」

 アサミは虎治がカッコつけて二回転捻りで飛び降りて、吊り下げロープに絡まってジタバタするところを目撃した。勿論教官にこっぴどく叱られ教練場をぐるぐる走り回らされたのだが、てっきり柱にしがみついてビービー泣き出すのかと思っていたので、びっくりしたのだ。

「男子は三日間目を開けているから、まっかっか」

「なに?それ」

「多分覗き」

 マリコも驚きすぎて、格言を意味不明にしてしまった。

「そこ私語は慎む」教官に叱責された。


 アサミ達は棒術の訓練中だった。

 まだ型と見取りの段階で見取りに付き、

 体育座りで見ていたのだが、座った位置が悪かった。

 正面で降下訓練をしていたのだ。

「アサミ候補生、今のをやって見せなさい」(あっちゃー)

「次回に続く、乞う御期待」

 マリコはまだ混乱しているらしく、メタ発言をした。

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