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季節外れの迷い子 9

「お戻りくださいお嬢様!もし旦那様にばれたら・・・」

「別に構わないわ。だってあたしは、なにも悪いことをしてないわ。村長の娘なんだから!」そうきっぱりと言い切るときょとんとした彼女を残し、慣れた足取りで飛ぶように雪面を駆け登っていった。

「・・・・・って、お嬢様!」すぐに彼女も我に返り慌てて後を追いかけようとしたが何度も雪に足を取られ、結局追いかけることを諦めて大きくため息をついた。

「どうしていつも、こうなるのかしら・・・」

「お前が悪いわけではない」

「え!旦那様!?申し訳ございません」

「キヨは一族の中でも主様に愛されている。だから不思議と雪は、あの子の味方をしてしまうのだ」

「旦那様、何故ご挨拶をやめると仰ったのですか?お嬢様を主様にご紹介したのは確か半年前。やっとお目にかかれると大変喜ばれておられましたのに、どうして急に行ってはならないなどと・・・・・」

「お前が気にすることではない!もうキヨのことは良いから、普段の持ち場に戻りなさい」

「し、失礼致しました!畏まりました」

「・・・悪いのは間だけだ。どうしてこの時世に、キヨは生まれてしまったのだろうか」彼は大きくため息をつくと、山頂に向かって伸びる小さな足跡を見つめた。

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