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魔女の最高傑作 8

「選べ。ここで息絶えのを待つか、もしくは我が器となるか」

「・・・・器?」

「汝を養ってやろう。但し我が望みが叶うその日まで、決して逆らわず離れることは許さん」

「そんなの嫌だ!それじゃ、あいつらのところにいるのと同じだ」

「愚かな人間と我を同じにするな!」

「だったら、もっと違う言葉にしてよ。例えば・・・協力者とか」

「協力者?我と汝が平等などありえん。人間の分際で傲慢なことを言うな」

「傲慢はどっちだ!器なんて絶対に嫌だ!」

「ならばさっさと出ていけ。汝でなければならぬ理由はない」

「それも嫌だ!」

「なんて奴だ。これだから人間という者は・・・」暫し両者は睨みあったがやがて彼女のほうが観念したようにため息をついた。

「そう呼ばれたいのならば、誠心誠意仕えることだ」

「それどういう意味?」すると風もないのに豊かな漆黒が靡き恐ろしいほど澄み切った2つのペリドットが楽しげに輝いていた。

「さあ、小さき種よ。好きなほうを選べ」

「僕は器にはならない。僕は協力者のエイトだ」よろめきながら立ち上がり彼女を睨むと、彼女は望むところとばかりにやりと広角を上げた。

「邪心を捨て復唱せよ。我エイト、契約を結ばれる者。オクトアに全力を尽くし付き従うと誓う」

「・・・我エイト、契約を結ばれる者。オクトアに全力を尽くし付き従うと誓う」

「我オクトア、契約を結ぶ者。エイトを器とし付き従えると誓う」

 そう彼女が顔を近づけ息を吹きかけた瞬間、ペリドットの海の中に放り込まれたかのようにエイトの前の前全てが染まりそれに飲み込まれるのを恐れて目を閉じた。そしてあっという間にそれは黒く染まり、意識も飲み込まれていった。

「・・・・・あれ?誰?それにここどこ?あいつらはどこ行ったの?」

「・・・記憶があろうとなかろうと、一度結んだ契約は破れん。契約通り尽くしてもらおう」わけが分からずキョロキョロと辺りを見渡すエイトに、彼女は静かに目を伏せた。

「種よ、汝は我の側にいるだけで良い。この地が我の魔力を受け入れる器となるその日まで」

「は、はい・・・」

その日から彼はは無限の魔女の器の代用品、実質的な世話係となったのだった。そして彼女と共に研究にあたっていたある日突、突然彼女は彼を弟子と呼びその名を封じた。そして新たな名が与えられるときに備えよ、とまたしても一方的に言い放ったのだった。

「・・・・・師匠は言っていた。時が来れば、名乗るべき名前が分かると。ありがとう。君のお陰でやっと思い出せたよ」その瞬間翠玲葉には、彼から水晶が砕け散るような音が聞こえた。そしてゆっくりと立ち上がると黙って成り行きを黙って居ていた一同に向かって、あの日の彼女と同じように恐ろしいほど澄み切った2つのペリドットを光らせ堂々と宣言した。

「師匠に倣って宣言します。我は無限の魔女の弟子、師匠の意思を継ぎ魔術を完成させる者。魔導士『橄欖石の種』師匠代理として、先日の依頼を受けます」

「うん。ありがとう。でもはやく作ってね」

「もちろん、満足の出来るものをお作りします。でも良い物を作るのには時間がかかるので、そこだけは許してください」

「やった!よかったね、レーハちゃんシュガ!」急に話を振られた翠玲葉は思わず顔を引きつって固まり、朱牙は非難するように顔を歪ませ、カルコスは髭を撫でながら大きくため息をついた。

「・・・・・しばらく工房は弟子たちに任せて、こまめに顔を出したほうが良さそうじゃな」

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