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プロローグ ~ 魅惑の公開処刑 ~

 打ち鳴らされるドラムに合わせ、暗闇を無数のライトが走る。


 次第に強く、高まるビートとともに乱れ舞う光線は、やがて1点に集まり……


 舞台の上、豪華な椅子に脚を組んで座る、私を浮かび上がらせた。


 ぴったりと身を包む黒ボンテージ。

 黒の網タイツとガーターベルト、煽情的な赤いヒール。


 手に持った鞭を音高く打ち鳴らし、私は艶然と微笑む。


「いらっしゃい、罵ってあげるわ!」




 ――― 拝啓、お姉様。

 シヅルは、今日も頑張っています。 ―――




 §∧§∧§∧§§∧§∧§∧§




「……あら、昔の私みたい」


 舞台の上の 『女王』 を眺め、静那(しずな)はクスリ、と笑みを漏らした。


 高級SMクラブ 『辛子浣腸』 のオーナーがプロデュースする、観客参加型SMショー 『公開処刑』 初演。

 もと 『辛子浣腸』 のナンバーワン女王様であったよしみで招待され、夫の昭野(あきの)と共に舞台を観にきたのだ。


「静那様の方が、凄い女王様でした……!」


 足台となっている昭野の、恍惚とした声に応じて、静那(しずな)は踏みつける(かかと)に、更に力を込める。


「ううっ……」


「もういちど?」


「あっ……静那(しずな)様以上の、女王様はいらっしゃいません……!」


「あら。私の可愛い後輩をコケにするの? さ い て い ね ?」


「ひっ…… 申し訳ありません……!」


 昭野(あきの)の声が、苦痛と期待の両方の色を帯び…… 静那は唇を艶然と微笑ませた。


「後でたっぷり、お仕置きしてあげるわ! それから明日のお弁当も……!」


「ありがとうございますぅぅぅ!」


 感激に身を震わせる、昭野である。……きっと、明日の弁当は、ハバネロ唐辛子で赤く染まっていることだろう……。


「楽しみにしていらっしゃい!」


 ふふっ、と小さく笑って昭野の背にぐっと体重をかけ、静那は舞台の上で鞭をふるう後輩を、優しく見守るのだった。




挿絵(By みてみん)

 制作:秋の桜子さま


(Picrewの「ぼくの女王様」でつくったよ! https://picrew.me/share?cd=KXkjeiOcoO #Picrew #ぼくの女王様)

5/20 誤字訂正しました!報告下さった方、ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回もコラボ本当にありがとうございます!!ww 私の原案をここまで仕上げていただけるとは、恐悦至極に存じます!!ww
[良い点] ブクマしてしまいましたよ! まったく……私のことをドMだと誤解されたらどうしてくれるんですか! 悪いお二人です! 続き待ってます。
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