第6章 10話
「それにしても・・・」
私はユニコに顔を向ける。
「よく無事だったわね」
そう。
全然姿が見えなかったもの。
てっきり溺れたのかと思ったわ。
「すいません。だいぶヨーコ様から後ろでしたが、きちんと泳いでいました」
見えない所まで離れてたのね。
でも・・・。
無事でなにより。
「あとは・・・。ヨーコ様の所に来るまでに、水の勢いが弱っていたので・・・。なんとか無事に着地出来ました」
私の時はもの凄い勢いだったのに・・・。
知らないうちに、とんでもない事が起きてたのね。
さてと・・・。
私はドラゴンの所へと戻って来た。
「おお。無事だったか?」
「一時期死にそうだったけどね」
本当。
ユニコの治療が遅かったら危なかったわ。
「それで・・・これ何なの?」
私はダンジョンで見つけた指輪を見せる。
このドラゴンが付けるには小さすぎるような気もするけど・・・。
「そうか・・・やはり触る事が出来るか・・・」
・・・?
触る事が出来る・・・?
「どういう意味・・・?」
「それはアーティファクトでな。限られた者でないと触る事も出来ないのだ」
え・・・!?
アーティファクト?
「そうだ、それはその昔・・・神が作った道具。もの凄い力が込められているが、道具に選ばれた者でないと逆に呪いがかかってしまう」
・・・なんか、とんでもない品物ね。
単なる安物の指輪にしか見えないけど・・・。
「はめてみなさい」
私は恐る恐る指にはめてみる。
・・・まるで私のために作られたかのように、ピッタリとはまった。
確か指輪って・・・その人の指の太さに合わせて作らないといけないはず。
どういう事・・・?
それじゃ・・・本当にこれ・・・。
「それはきっと、これからの旅に役に立つだろう」
「ちょっと・・・待って!どうやって使うの?」
そう。
使い方なんてさっぱり分からない。
「残念ながら・・・俺にも分からない。何せそれは選ばれた者にしか使えない。俺がそれを使った所は見た事無いんで見当もつかない」
そんな・・・。
「だが・・・お前なら必ずそれを使いこなせるはずだ。何せそれはお前専用の道具なんだからな」
私専用の・・・。