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妖魔界  作者: 山本吉矢
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第6章 2話

フェアが教えてくれた。

このおばさんはドワーフのジンと言う。

もちろんそうやって呼び合うのは、ごく限られた親しい間柄であって他の人達は単にドワーフのおばちゃんとか呼んでるみたい。

「聞いたよ。あんたがこの妖魔界を救いに来てんだって?」

「えっと・・・。何の因果かその為に呼ばれたみたい」

今までくじけたり弱音を言ったりもしたけど・・・。

それでも旅を止める所まではいってない。

「あの子があんなに信頼してるのは珍しいよ。あんたは優しいんだね・・・」

「いえ・・・。だって、私のせいで巻き込まれたんだもの。みんなを大事に思うのは当たり前だわ」

そう・・・。

本当なら私一人で行くはずだったのに。

ゴブリンから助けたのがきっかけでここまで連れて来てしまった。

しかも・・・私達に合わせて。

その気になれば飛んで逃げる事も出来る。

それをしなかったのは・・・私達と旅をしたかったからかも。

「それにしたって命がけで守ったりはなかなか出来ないよ。誰だって自分の命の方が大事なんだから」

「確かに・・・そういうのは多いです。でも・・・私のせいで危険な目に合ってるんだもの。例え私が死ぬような事になっても・・・二人を助けたいのは当然」

この気持ちは変わらない。

私一人だったら、絶対ここまで来れない。

フェアやユニコがいたからこそ・・・私はここまで来れる事が出来た。

それは二人のおかげ・・・。

それでも!

本来は二人は危険な目に合う事なく、お城の中で安全に守られるはずだった。

それが私に関わったせいで・・・。

だからこそ、二人を命を賭けて守り抜かないと。

「なるほどね・・・。ルドルフ様が言うだけあるね。命がけで仲間を守れるなんて、そんなに簡単に言える台詞じゃないんだよ」

それは・・・。

たぶん私の性分。

この私の性格は分かっていたからこそ、これまで冒険に出ようなんて思わなかった。

私のせいで巻き込まれたんだから、その私が責任を持つのは当然。

だからこそ、平和な私の街にいたのに。

今更愚痴言っても仕方ないけど。

「とにかく!今日はゆっくりと休んでおくれ!!」

ふふっ。

それに異存は無いわ。


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