第6章 街
そこはすぐに分かった。
とても大きな建物がいくつも見える。
砂煙の街って言ってたけど・・・。
今の所、砂煙がある気配は無い。
もしかして一定の時間で出るのかしら・・・?
私達は街へと入る。
そこには大勢の住人がいる。
いろんな・・・多彩な住人が。
この妖魔界にはこんなに沢山種族がいるのね。
あれ・・・?
ふと気づいた。
なんでここはこんなに平和なの?
ここはクロウの魔力が支配する地域。
欲望にやられた住人がいてもおかしくないのに・・・。
ここにはまるでその気配が無い。
おもいっきり平和な街そのもの。
これはどういう事・・・?
私はゆっくりと街の中心へと向かう。
本当に・・・いろんな姿の住人がいる事を除けば、私のいた街とそう変わらないぐらいの平和。
「あっ!ヨーコ様。見てください!!」
フェアが街の外側を指さす。
見ると・・・そこには砂煙が見える。
さっきは無かったのに・・・。
でもこれでまさしくここは”砂煙の街”になった訳ね。
やはり一定の時間でああなるのかしら・・・。
不思議な仕組みね。
とりあえず・・・。
「どこか泊まれる所ない・・・?いい加減疲れたわ」
思えば妖魔界に来てから、きちんと休んだ事って無いんじゃない?
そう考えると、かなり無茶な旅ね。
ユニコやフェアにもゆっくり休んでもらわないと。
「そうですね・・・。あそこがいいですよ」
フェアが案内する。
そこは小さな宿屋みたいな所。
結構造りは私達の世界と同じなのね。
扉を開ける。
「ごめんくださーい」
「あいよ!」
奥から出てきたのは、ヒューマノイドの姿をしているおばさんのような人だった。
人間と違うのは、結構背が低い事と・・・あと女性なのに髭が生えている事だった。
しかも・・・かなり立派な髭。
口の周りが髭だらけだもん。
それがまた似合ってるから不思議。
「あら。誰かと思ったらフェアリーじゃないかい。久しぶりだねぇ」
「お久しぶり。泊まりたいんだけど部屋はあります?」
「もちろん!いつでも歓迎だよ!!」




