第5章 10話
リッチが倒れた事により、アンデット達の力は無くなっている。
あちこち死体が見えるけど、動く気配も無い。
これでいいのよね。
死んでも勝手に悪い事に使われていたんだから。
このまま・・・静かに眠るのが本来の姿。
本当はきちんと埋葬したいんだけど・・・。
あまりにも数が多すぎる。
それに・・・。
中には骸骨も見える。
それにバラバラに飛び散っててるのもある。
「ごめんなさい」
私は謝る事しか出来ない。
「ヨーコ様・・・」
私に出来る事は少ない・・・。
改めてそう思う。
どうして私なんだろう・・・。
お姉ちゃんだったら・・・。
そう思う時がある。
お姉ちゃんなら何の武器も無くても戦える。
何せ幼い頃から格闘を習っていた。
でも私は・・・。
何の戦う訓練もしてない。
巻き込まれる形で妖魔界に来てしまったけど・・・。
今はフェアとユニコの為にも、この妖魔界を救いたいと思う。
そして・・・。
欲望のために平和を乱すクロウを許す訳にはいかない。
「あっ、ヨーコ様。ようやく脱出出来ました」
本当にようやくね。
最初は通り過ぎようとしてたけど・・・。
リッチのせいで中に入るはめになったし。
さて・・・。
次の目的地があの高台ね。
「ヨーコ様。ここからあそこへ行くとなると、途中で”砂煙の街”に着く事になるでしょう」
「”砂煙の街”・・・?」
というよりも街・・・!?
「はい。妖魔界の中でも活気のある街なんです」
へぇー・・・。
今までそういうの無かったけど・・・。
「あっ・・・でもそういう所ってお金って必要じゃないの?」
私はこの世界の貨幣なんて持ってないし。
今までの旅でもお金が出てきた事もないし。
「オカネって何です?別に何か特別な物なんていらないですけど」
へ・・・?
・・・そういう根本的な所から違うって事?
うーん・・・。
いらないって言うんならいいんだけど。




