第5章 4話
私は一旦穴の入り口である一番上まで戻っていた。
「どうしたんです?ヨーコ様」
「決まってるでしょ。あいつとどう戦うかを考えないと・・・ユニコを助けるのは無理だわ」
そう・・・。
あいつがこのゾンビ達のボスなんでしょう。
それはあいつが表れた時になんとなく分かっていた。
あいつが出て来た時、周りにいたゾンビ達が道を開けていた。
だからこそ、あいつがゾンビやアガラットを操っているんだわ。
つまり・・・逆に言えばあいつを倒せばゾンビ達の力も消える。
そうすればユニコの力も元に戻る。
それでここから脱出!
と・・・ここで問題なのはあいつを倒す方法。
何せこっちには何の武器も無い。
しかも多勢に無勢。
不利な事このうえない。
どうすればいいのかしら・・・。
「大丈夫でしょうか・・・。ユニコは・・・」
フェアが心配する。
「ユニコは大丈夫よ。あの口ぶりからして、ユニコは私を釣る為のエサなんだもの。そのエサを無くすような事はあいつだってしたくないはずだわ」
そう・・・。
罠にかけるためのエサは元気な方がいいに決まっている。
だからユニコが危険になる事はまず無い。
だからこそ私はゆっくりと策を考える事も出来る。
「ねぇ・・・。何か弱点は無いの?」
「ああいうアンデット系は聖なる物に弱いんですが・・・」
ふーん・・・。
でもここに聖なる物なんて無い。
聖なる物・・・。
・・・あれ?
「ねぇ・・・。ユニコ自体が聖なる存在じゃない?」
確かユニコの角には傷や病を治す力があるはず。
「でも・・・あれは清らかなる少女にしか効果が無いんですが・・・」
待って・・・。
「ねぇ。それを何とか利用出来ないかしら?」
そう。
それこそが今私達にある唯一の武器。
ユニコは私を釣るエサであると同時に、あいつらを倒せる弱点の武器でもある。
かなり危険だけど・・・。




