第4章 9話
例によってフェアがいない。
こういう時、体の小さい彼女は有利かもしれない。
おそらく隙を見てどこかへ隠れているのでしょう。
一体どこへ・・・?
ガサガサ・・・。
・・・!!
草をかき分ける音。
何か最近も聞いたような音。
そう・・・。
フォレスト・フィッシングが来る音。
その物音は大量にあちこちから聞こえて来る。
当然、私達を見張っているワー・ウルフ達もそれに戸惑う。
これは・・・。
その姿が見えた!!
間違い無い!
魚の姿。
フォレスト・フィッシングだわ。
その群れがここへとやって来た。
かなり混乱している。
「ヨーコ様!」
フェアがやって来た。
その手には鍵を持っている。
この混乱を利用してこっそり持ち出したんだわ。
「助かったわ。フェア」
フェアが牢屋の鍵を開ける。
「いいんです。私が下戸なのが助かりました」
なるほど。
フェアはお酒を飲まなかったから助かったのね。
そういえば・・・ユニコも飲んでいたわね。
お酒を飲むユニコーンって不思議な光景かもしれないけど。
とにかく・・・。
「脱出するわよ!」
私はワー・ウルフのリーダーの彼女を連れて、なんとか逃げ出す。
どうもフォレスト・フィッシングもワー・ウルフ達にしか標準を決めてないらしく、私達の所まで来ない。
私はさらに捕まえられていた他のワー・ウルフ達も助ける。
そして・・・。
全員で離れた所へと逃げ出した。
ふぅ・・・。
それにしても一時期は私を狙っていたフォレスト・フィッシングに、逆に助けられるなんて皮肉は話ね。
あいつらがやって来なければ・・・。
おそらく私は殺されていたかも。
「それにしても・・・クロウの魔力に負けるって・・・おっかないんだな」
「そうね・・・。あなた達はなまじ知恵があったからこういう事になったんでしょうね」
そうでなければすでに同士討ちや統率の取れない勝手な行動とか行っていたでしょうね。
「ねぇ。ルドルフ様のお城へ避難しては?」
フェアが言う。
「あそこへ行けば、クロウの魔力から守ってくれます」
なるほど。
それはいい案だわ。
「そうね。あなた達は今から行った方がいいわ。あまり長い間留まってると危ない」
「・・・悪いな。本当は助けられたお礼でもしたいのに・・・」
「いいのよ。私を助けてくれたでしょ?そのお礼にあなた達を助けたと思ってくれればいいわ」
それに・・・。
なんか彼女の性格だと付いて来るとか言い出しかねない。
フェアやユニコだって十分巻き込んでると言うのに。
それに彼女は守るべく群れの人達がいる。
群れのリーダーとして群れを守る事を優先した方がいい。
「ここでお別れね。クロウを倒したら城に戻るから。その時には一緒にお祝いしましょ」
「ああ・・・」




