第4章 6話
「ところで・・・ここへは何しに?」
私達に近づいている一匹の狼がそう聞く。
どうも・・・この狼がこの群れのリーダーみたいね。
他の狼は少し離れた所で見守ってる感じ。
「”巨人の目”に行く為の旅をしてるの」
「あそこへ・・・?また何故・・・」
「ルドルフとドルイドのオババに頼まれてね。クロウを倒す為にも”巨人の目”に行く必要があるの」
「へぇー・・・。あんたルドルフ様から頼まれるなんて・・・偉い様?」
あれ?
このリーダー・・・。
なんか・・・女性っぽい感じがする。
狼の姿のままじゃどっちかよく分からないけど・・・。
「そう偉いって訳じゃないけど・・・何せ違う世界から呼ばれたし」
「それじゃあ・・・あんたが噂の救世主って奴かい?」
「どういう噂かは知らないけど・・・一応救世しに来たわ」
そこは間違ってはいない。
まだ救ってもいないのに救世主ってのも変な話かもしれないけど。
「久しぶりのご馳走を狩りに来たら、知らずに救世主を救っていたなんてね。こりゃあルドルフ様に誉められるかな」
やはり・・・。
この妖魔界をこれまで平和に保って来ただけあって、ルドルフはかなり憧れの存在みたいね。
あれ?
そういえば・・・。
「あなた達・・・クロウの欲望の魔力にやられてないのね」
ここはあの山よりもクロウに近い場所。
あの山の周辺でも欲望にやられてるのがいたのに。
彼らはこれだけ集団でいるにも関わらず、きちんと統率が取れている。
「あっはっは。それはね。あたい達は始めから理性でなんて動いてないからさ」
・・・へ?
「あたい達は最初から本能で生きてるんだ。今更欲望なんか関係ないのさ」
へぇー・・・。
「それに・・・あんた山にいたラカスタを倒したんだろ?」
「え?なんでそれを・・・」
まだ倒してそんなに経ってないのに・・・。
「やっぱり。なんか変な魔力は感じていたんだ。ラカスタを倒したおかげでこの辺りの魔力も薄れて来てるんだ」
へぇー・・・そうなんだ。
「だから四天王を倒すだけでも、だいぶ違うんだ」
これはいい事を聞いたわ。
「そうだ!せっかくルドルフ様が呼んだ救世主に会ったんだ。宴でも開こう!!」
「・・・え?」
「いいだろ?豪勢にしようじゃないか」
でも・・・。
「まぁ・・・せっかくの申し込みだし。ずっと戦いばかりだから休息は必要ですよ」
う〜ん・・・。
まぁ、フェアがそう言うなら・・・。
「分かったわ」




