第3章 5話
一番奥に鉄格子が見える。
その中にはたくさんのハタカーンの若者が見える。
その鉄格子のすぐ側には2体の石像が見える。
あれがラカスタ・ソルジャーね。
さて・・・。
唯一の弱点である水が取れないと分かった今、どうやってあれと戦うべきか・・・。
何せ、あの位置だと鉄格子を外そうとすると自然と石像に近寄ってしまう。
つまり・・・どう頑張っても戦うしか選択肢が無い。
その辺の武器を使っても効かないし・・・。
でも・・・このまま諦める訳にもいかないし・・・。
待って・・・。
何も無駄に戦う必要無いんじゃない?
そうだわ!
「ねえ、フェア。提案があるんだけど」
「・・・はい?」
「あのラカスタ・ソルジャーは私が引き寄せるから。その間にフェアはあの扉を開けてくれない?」
「・・・!!それは危険です!!」
「危険は承知」
何せ倒せないなら、無理に倒す必要はない。
あの人質を解放すればいいだけの話。
これしか無い。
「お願い。フェアにしか出来ない事だから」
私はそう言うと石像に近づく。
すると・・・ゆっくりとだけど動き出した。
「さあ!来なさい!!」
目がこっちを見ている。
よーし・・・。
「こっちよ!」
少しずつ鉄格子から離れる。
こうしないとフェアや中に入っている人達にも反応してしまう。
それでは何の為に私が引き寄せているのか分からない。
2体とも引き寄せないと・・・。
ラカスタ・ソルジャーは腰に差してあった剣を抜く。
冷や汗が出る。
何せこっちは何の武器も持ってない。
お姉ちゃんみたいに素手で戦える訳でも無い。
かなりの不利。
だけど・・・これしかない。
2体ともこっちに来た!
お願い・・・フェア。
後は任せたわよ!