第3章 3話
「分かった・・・。私が処刑されるとあなた達が助かるのね?」
私はずばり言った。
こういう事は直球で言った方がいいと思うから。
予想通り。
彼らの表情が変わる。
「すまない・・・」
「別に責めてないわよ。それよりも・・・いったいどういう風にあなた達が助かるのか聞かせてくれない?どうせ死んじゃうんだから、その理由ぐらい聞かせてよ」
「・・・君には関係無い」
「関係ない!?どういう事よ!!私はその理由のせいで死んじゃうのよ!どう関係無いって言うのよ!!」
私は思わず声を荒げた。
「ヨーコ様・・・」
ユニコも心配する。
「どうせ奴らに何か脅されてるんでしょ?はたして約束を守ったからと言って、あっちが約束を守るかしら・・・」
みんなは押し黙る。
「いい?クロウの欲望にやられたらそんな事言えなくなるのよ?自分の思いのままに・・・この平和な場所は無くなるのよ!?」
そう・・・。
見える範囲だけでもここが平和だというのが分かる。
ここの中央に巨大な炎が燃えさかり、その周囲に家らしき建物が見える。
そして・・・無防備に子供が遊んでいる。
ここが平和でなくてなんだと言うのよ。
「分かってるの?邪魔者がいなくなった奴らがどんな事をするのか・・・。私はこれまで数体ぐらいしか妖魔界の住人に会ってないけど・・・、欲望にまみれたのがどんな状態なのか・・・それを体験してるわ」
「だが・・・それでもこうするしかないのだ・・・」
「だから・・・!なんで!?」
私はもう一度叫ぶ。
なんだか分からないけど・・・こういう理不尽は許せないわ。
「奴らに・・・村の若い連中をみんな人質にされてるからだ・・・。若い連中がいなくては村は存続出来ない」
・・・。
確かに・・・子供はいるけど・・・ちょうどいい年齢・・・つまり私と同じぐらいのは見えない。
そんな理由があるなんて・・・。
「それなら・・・その人質を取り返せば・・・」
「それは無理だ!!ラカスタの部下でもあるラカスタ・ソルジャーがおる・・・。あいつには勝てない・・・」
「それでも・・・。この村の平和を取り戻すにはそれしかない。私をそこに連れて行ってくれない?」
「何!?」
そう・・・。
これしかない。
「私が人質を取り戻す!そうすれば私を処刑する必要ないでしょう?」
「・・・死ぬぞ?」
「何もしなくても処刑されるんでしょ?だったら・・・何かやってる方がマシだわ」
このまま檻の中で処刑を待つぐらいなら。
この村のために戦って死ぬ方がマシ。
「少女よ・・・。処刑する為のを逃れる為にか?」
「私の為じゃないわよ。この村のためよ!!」
私は目をまっすぐに見据えて言う。
そう。
自分が処刑されるのが嫌だからという選択じゃない。
このまま黙ってもこの村はクロウの力で平和は乱れる。
それを見過ごす訳にはいかない。