第2章 10話
『ラカスタか』
「はっ・・・クロウ様」
遠くからクロウ様の声が聞こえる。
滅多に連絡はして来ないのだが・・・。
『この妖魔界を救おうとか言ってる無粋者が表れた』
「はい・・・。先ほど私の所に来ました」
『何!?』
「ですが小娘です。はたしてあんな小娘がその無粋者かどうかは分かりませんが・・・」
『だが油断はするな。その娘が本当に救う存在ならば・・・あの武器を持ってるはずだ』
「妖魔キラーですか・・・?だがあの娘は素直に下山していきました。本当に持ってるなら戦おうとするはずですが?」
そう・・・。
あんな凄い武器を持ってるなら使うはずだ。
あれを使われては俺でも危ない。
伝説の武器。
妖魔キラー。
その昔、この妖魔界を滅ぼそうとした危険な武器。
その時は一人の英雄によって守られたと聞くが。
『念には念を入れた方がいいな・・・』
「分かりました。奴らに始末させるようにします」
もし違うならそれでもいい。
万が一あの小娘が妖魔キラーを持つような事になるのなら・・・。
先に潰しておいた方がいいだろう。
俺はハタカーンの連中に連絡を取る。
その代表が俺の前に現れる。
「なんでしょう・・・?」
「この山を下山した小娘と妖精とユニコーンの連中がいる。そいつらを捕まえてお前らの好きにするがいい」
「・・・分かりました」
こいつらは俺の命令ならば何でも聞く。
そう・・・。
こいつらには人質がいるからな。
逆らえるはずもない。
これであの娘は終わりだ。
それにしても・・・。
この妖魔界を救おうなどと考えてるのがいるとはな・・・。
馬鹿な奴だ。
クロウ様を倒せる訳が無い。
なにせクロウ様は、邪魔な理性をというのを解放してくれる素晴らしいお方。
この世はそのうち混沌の世界と化す。
強い者がが弱い者を支配する世界へと。
なんて素晴らしい事だろう。
それにはあの娘は邪魔だ。